私達の育てた小さな緑が失われようとしています

緑のまちを望んで、私たちは緑を育てました。その小さな緑が失われようとしています。

NPOになぜ広報が必要か?

2005年03月01日 | 広報戦略
もしも私たちに広報についての意識がなかったら、エコプチテラス(市民菜園、以下エコプチ)は数多くある市民菜園のひとつになっていただろう。一見ふつうの畑に、取材・視察・フィールドワークなど、毎月のように現地を訪ねてくることもなかったに違いない。
私たちの活動が「普通の市民菜園」と違うのは、広報についての考え方と仕掛け方である。
私たちの組織目標がエコプチの運営であるならば、運営に関わる狭い範囲での広報だけを考えればよい。エコプチの運営自体には、広報が必要であるとは思わない。「エコプチに足を運ぶことでエコロジカルなライフスタイルになる」
が仕組みなので、現場での広報は黒板・口コミと電話で事足りてしまう。
しかしこれでは現地を訪れることのない外部の人は、活動の情報を得ることができない。エコ・プチテラスは、環境に負荷をかけない事業の具体例を提示することであり
「外部が活動の情報を得られない」
ということは、公益的な目標を持つ私たちにとって致命的だ。外部のあらゆる協力をえなければ組織の目標も達成できないのだから。

多くのNPOは、「外部に情報を開く」ことの重要性と、自らにもたらされる効果に十分気付いていないように思う。

資金的な裏づけや事業が確立している一部の例を除き、多くのNPOはボランティアや協賛者など外部からの多様な支援・協力なしに、活動を活性化させることはできない。またNPOの「志」に賛同したい外部の人がいるのに、それを知る機会をNPOが提供できないのは大きなチャンス・ロスだ。外部からの支援を得るには、まず活動を知ってもらうことが必要だ。情報を開くことで外部に無数存在する協力者と「志」をネットワーク化し、それによって組織は力を蓄えることができる。

広報のもうひとつの効果は、「情報の開示による信用の獲得」だ。

多くのNPOは活動実績も少なく、信頼されていない。最近はあやしい活動をしている団体もあり、NPO=善という構図は完全に崩れている。自分たちは信頼されていない存在であることを、まず自覚する必要がある。その上で、社会からの信頼を勝ち得ていくに自分たちの活動の様子を積極的に公開し、理解を得る努力が必要になる。

「自分たちは頑張っている」「いいことをしている」
というボランティアがいる。それが単なる「ボランティア」なら敬意を表するが、「ボランティアとして組織を運営するスタッフ」として発言するなら「それは甘えです」というしかない。いいことしている企業が儲かるならこんな楽なことはない。有給であろうと無給であろうと組織を運営する以上、その舵取りにはシビアな視点を持つべきだ。いいことしているのなら、なぜそれを広める努力をしないのか?全員がボランティアで運営される組織には、ときどきそういった「甘え」が見られる。
個人のがんばりという視点から一歩下がり、より広い視野で「組織の広報にたいする意識」をもつ必要がNPOにはある。外部を意識することで、効果的な広報戦略をつくることができる。

 そもそも広報の技術以前に、社会の課題解決という公的視点に立ち、市民に成果を還元していくために広く情報を公開していく姿勢は、NPOの原点なのではないだろうか?

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