チェコ・フィル ファンの日記

クラシック音楽の演奏会やCDを聴いた感想をアップしています。 クラシックファンが1人でも増えることを願いながら。

チェコ・フィルハーモニー管弦楽団日本公演(1996)

2013-02-25 22:00:00 | Czech Philharmonic Reviews

チェコ・フィルハーモニー管弦楽団日本公演(1996)

ドヴォルザーク : 序曲『謝肉祭』
ドヴォルザーク : チェロ協奏曲
ドヴォルザーク : 交響曲第8番

チェロ : ミハエラ・フカチョーヴァ
指揮 : ウラディーミル・ヴァーレク

チェコ・フィル創立100周年の記念の年。
指揮者は当初、首席指揮者のアルブレヒトが予定されていましたが、
直前に辞任してしまったため、代役としてヴァーレクが来日。
ヴァーレクは当時、プラハ放送交響楽団の首席指揮者でした。
チェコ指揮界の重鎮でチェコ・フィルとも関係が深かったため、
抜擢されたようです。

曲目は予定通り、ドヴォルザーク、スメタナ、フチーク、ワインベルガーといった
お国もの一色の内容となりました。

チェコ・フィルはこの年の1月に、本拠地プラハのルドルフィヌムで創立100周年記念コンサートを開催しており、そこではビエロフラーヴェク、アルブレヒトが指揮をしていました。
チェコ・フィルの最初の演奏会を再現したプログラムで、
指揮者としては、クーベリック、ノイマンも参加する予定だったそうです。

しかし残念なことにノイマンは前年(1995年)9月、マーラーの交響曲第9番を録音した直後に急逝。
クーベリックは体調が思わしくなく、このコンサートの指揮台には上れませんでした。
チェコの名指揮者、コシュラーもこの頃亡くなっており、
今後のチェコ・フィルはどうなるのかと、心配で仕方のない時期でした。

当日の演奏は、どれもヴァーレクさんらしい、
スッキリした流れの良いものでした。
チェロ協奏曲は、フカチョーヴァさんの繊細で優雅な音が、
安定感抜群のチェコ・フィルの音と、
美しく馴染んでいました。
交響曲第8番も極めて自然な、テンポの良い演奏でした。

同郷の作曲家、オーケストラ、指揮者、ソリストによる演奏を
たっぷり聴けた満足感がありました。
が、多少印象が薄いコンサートだったということも、
正直な感想です。

(1996.4.13 池袋 東京芸術劇場)



スメタナ : 交響詩『わが祖国』全曲

指揮 : ウラディーミル・ヴァーレク

毎年「プラハの春」音楽祭のオープニングを飾る『わが祖国』全曲。
日本にいながらにしてチェコ・フィルの演奏で聴ける。
この日は物凄くわくわくした気持ちで会場に向かいました。
1曲目、『ヴィシェフラット』のテーマが冒頭のハーブの独奏から始まって、
オーケストラ全体で合奏されるまでの間だけでも、
堂々とした演奏展開、盛り上がりに、大きく感動しました。

それまでにも国内のオーケストラ(群響、都響など)で何度か聴いたことはあり、
それはそれでとても印象に残っていました。
が、この日の演奏は、やはり何かが違いました。
もちろん上手い下手の話ではありません。
このチェコの歴史と自然を高らかに歌い上げた曲を、
心の底からの共感と誇りを持って演奏しているのだと思いました。

『ブラニーク』の最後の盛り上がりまで、
あくまでも自然体の、しかし堅固な演奏が貫かれました。

『わが祖国』の後に、アンコール曲はありません。

ぽかぽかとした、懐かしいような気分で満たされながら、
チェコ・フィルの音と演奏スタイルはいつまでも変わらないでほしいなと思いながら、
会場を後にしました。


(1996.4.23 赤坂 サントリーホール)

チェコ・フィルハーモニー管弦楽団日本公演(1994)

2013-02-16 09:00:00 | Czech Philharmonic Reviews
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団日本公演(1994)


ブルックナー : 交響曲第8番

指揮 : ゲルト・アルブレヒト

チェコ・フィル10回目の来日公演。
指揮者は前年(1993年)、楽団員の投票で選ばれた、
チェコ・フィル初の外国人首席指揮者、ゲルト・アルブレヒト。

プログラムもこれまでのお国物中心の内容から一気に変わり、
当日のほかは、以下2種類でした。

・モーツアルト:交響曲第38番『プラハ』
ブルックナー:交響曲第9番

・ドヴォルザーク:序曲『自然の中で』 『謝肉祭』 『オセロ』
ブラームス:交響曲第1番

ブルックナーの交響曲第8番は、この日のみの演奏。
先に同じコンビによるCDが発売されていて、美しく爽やかな演奏が特徴的だったこともあり、
普段チェコ・フィルを聴きに行くときとは少し違う、ワクワクした気持ちで会場へ向かいました。

演奏は折り目正しく、美しく、堂々たるものでした。

第1楽章・第2楽章は、金管の厚い響きが見事でしたが、
暑苦しい響きが一切しないのに驚かされました。

第3楽章、程よく整った弦の響きが、美し過ぎず、
温かみのある雰囲気を醸し出していて、好印象を受けました。
この曲ならではの神々しさを十分感じました。

第4楽章は終始金管がよく鳴り響き、曲の盛り上がりに
引き込まれました。
コーダの部分はまさに大迫力。
終演後長くアンコールが続きました。

一流オーケストラの名演を聴けたという満足感と、
慣れ親しんできたチェコ・フィルではないオーケストラを聴いたような錯覚を
同時に感じました。

(1994.6.13 赤坂 サントリーホール)

日本センチュリー交響楽団 第178回定期演奏会

2013-02-15 23:57:58 | Concert Reviews
日本センチュリー交響楽団 第178回定期演奏会



ハイドン : 交響曲第103番『太鼓連打』
モーツアルト : フルート協奏曲第1番
ソリストアンコール曲
プーランク : 廃墟を見守る笛吹の像
ストラヴィンスキー : バレエ組曲『火の鳥』(1945年版)

フルート : エマニュエル・パユ
指揮 : ドミトリー・シトコヴェツキー

パユさんのフルートの音色が響いた瞬間から、
会場内の空気が変わった感じがしました。

空気が変わったというよりも、
音が空気そのものに馴染んだと言った方がいいかも知れません。
上半身を左右に大きく回転させながら、
その空気のような音色を会場のすみずみまで
響き渡らせているようでした。
楽章間、終演後には、この空気を大いに味わった後の
ため息のようなものが、会場全体から溢れていました。

シトコヴェツキーさんはいずれの曲も、おどろおどろしくすることなく、
手堅い演奏をされました。

(2013.2.14 大阪 ザ・シンフォニーホール)

大阪フィルハーモニー交響楽団 第465回定期演奏会

2013-02-09 11:20:23 | Concert Reviews

大阪フィルハーモニー交響楽団 第465回定期演奏会

グリーグ : ピアノ協奏曲
セーゲルスタム : 交響曲第248番 『Errorings of Mirrorings...』
ソリスト アンコール曲
セーゲルスタム : 『SEVEN QUESTIONS TO INFINITY』
シベリウス : 交響曲第5番

ピアノ:小山実稚恵
指揮:レイフ・セーゲルスタム

フィンランド出身のセーゲルスタムさんは作曲者としても活躍しており、
これまでに交響曲260曲!ほかを作曲されているそうです。
100kgはあろうかと思われる体格、長い白髪と髭を蓄えたその姿はまさにサンタクロース。
10年以上前、読響の指揮で来日された時に拝見したのですが、
さらに大きくなられていました。
指揮台に置かれた小さな椅子にドシッと座って、演奏スタート。

◆ピアノ協奏曲
冒頭のティンパニ、ピアノに続いて管楽器の音が鳴った瞬間、
いつもと明らかに異なる大フィルの音がするのにハッとしました。

当日まで、ヘルシンキ・フィルやベルゲン・フィルのCDを聴いて
曲の予習をしていたのですが、
この日の音はこれら北欧のオーケストラの音色に近いものを感じました。

大フィルというとよく言われる「絢爛豪華」な響きが特徴で、
大植さんが指揮をするとき以外は特にそれが現れます。
明らかに音色が違うと感じたのは一昨年10月、チェコの巨匠エリシュカさんが
スメタナの『わが祖国』を指揮したとき以来のように思います。

「北欧のオーケストラの響き」に乗って、
小山さんのピアノの爽やかな響きが華麗に広がりました。

アンコール曲はピアノの鍵盤のさらに右の部分も弾く(たたく)、
変わった曲でした。

◆交響曲第248番
ピアノのアンコール曲の不思議な雰囲気そのままに、
休憩を入れずにスタート。
左右にピアノを配置し指揮者は左側のピアノを演奏。
舞台後部には見たことのない打楽器がいっぱい。
全体の拍子はコンサートマスターがとりながら、時にコンサートマスター、
フルート&ピッコロ奏者が立ち上がって演奏をしました。
視覚にも訴えるものの多い曲・演奏でした。

◆交響曲第5番
名曲なのにわりと演奏される機会が少ない曲。
この日の北欧的な響き、冷たい森の土の香りのする音が
しっくり馴染んで聴こえました。
最後の部分、たっぷり溜め込んだテンポで、
堂々とした雰囲気で曲が終了されました。

(2013.2.8 大阪 ザ・シンフォニーホール)