私訳 ラームチャリットマーナス

中世ヒンディー語の宗教詩人、トゥルシーダースの、「ラーマーヤナ」の私訳。

アヨーディヤーの巻 231

2016-10-16 08:16:33 | ラームチャリットマーナス
2311 世界全体が恐怖に沈んだ。その時、ラクシュマナの非常な腕力を称賛しながら、空に声が生じた。「坊や、おまえの威光と威力は、だれも述べることができず、だれも知ることができない。

2312 たとえどのような行為であれ、それが正しいか、正しくないかを、よくよく考えた上で行えば、だれもがそれを良しと言う。しかし、性急に事を為し、後で後悔する者を、ヴェーダも賢者も、賢いとは言わない」

2313 神の声を聞き、ラクシュマナは恥じ入った。ラーマとシーターは、彼に敬意を表して言った。「ラクシュマナよ、あなたは素晴らしい指針を語った。君よ、なによりも頑固な奢りは、王権の奢りである。

2314 聖人たちの集まりに奉仕しなかった王たちこそ、この王権の奢りという酒を飲み、酩酊する。だが、ラクシュマナよ、聞きなさい。バラタのような善人は、ブラフマー神の創造したこの世界で、耳にすることもなく、目にすることもない。

231do バラタは、ブラフマー神、ヴィシュヌ神、シヴァ神の地位を得たとしても、王権の奢りを持つことはない。一体カーンジーの数滴で、乳海を分離し、台無しにすることができるだろうか。