日々草

「つれづれなるままに・・」日々の事を記す。

柴錬と横尾と「うろつき夜太」と

2016-11-14 | リブレリア
リーサルウェポンが我が手のうちにある。
いや、アルティメット ウェポンかもしれん。
柴田錬三郎の究極作品 「うろつき夜太」
今夜も昨日に引き続きぬくぬくしながら、物語を読み進めている。
しかし、初にして究極のところに手を出してしまった感。
もう後戻りはできない。

柴田錬三郎の名前は時代劇 御家人斬九郎のテロップで始めて見かけて、読んでみなくてはいけない作家リストに名を連ねて早数年、それでも活字に手を出さずにいたのは圧倒的に映像作品が魅了を振りまいていたからだ。
活字を超える映像作品というものがあって、その最たるもの、最上級が時代劇 御家人斬九郎であったのだ。
だって、渡辺謙の出世作。
完璧に斬九郎は渡辺謙の声で、あの顔で出来上がってしまっている。
岸田今日子演じる母上との軽妙なやりとりや、若村麻由美演じる芸者蔦吉との恋模様も魅力で、鬼平以上に活字より映像で見たい作品。
個性的なキャラクター、魅力的な俳優が生き生きと交差して、挑戦的な演出。
最終回の雪降る濡れ場のBGMははまさかのQueenですぜ。
度肝を抜かれる演出とはこのことで、もう活字には戻らなくていいというところまで振り切っていたのだ。
Queenの名曲に負けない俳優 渡辺謙のすごさ、柴田錬三郎が作りあげた斬九郎のキャラクターのすごさ、乙甲つけるもんじゃあないと諦めて、原作は手に取らないと決めた。
よって柴田錬三郎とは

歴史小説に新風と一石を投じた小説家。
眠狂四郎 数々の剣豪小説を残す。
通称 柴錬(シバレン)





という一切の経歴と著作をなかったことにして御家人 斬九郎の原作者という認識でいたのに、さらに強烈なキャラクターが加わって、冒頭のため息とも決心ともつかない思いになるのだ。
もう、後戻りは出来ない。


面白いのに読了後の疲労感が半端ないのは本の物理的重量感だけでなく、画期的で実験的な演出にまみれても、横尾忠則にまみれても、個性が消えないキャラクターを練り出す柴田錬三郎という強烈なキャラクターが発する熱量なのかも。
ついでに若き横尾忠則も遺憾なく熱量を放射しており、やはりこの一冊は我が本棚のアルティメット ウェポンの名を欲しいままにすること間違いなし。
初にして究極。




















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