『アラン・ドロン』 2018年1月
髪の毛が伸びて来たな、散髪しようかな? 散髪屋さんに行って綺麗に揃えて貰おうかな? 合わせ鏡で頭頂部の枯れ草具合を
確かめてみる。あれ? 雑草で地肌が見えないね? 伸びてんのかね? 「そんなことはないだろう?」
蛍光灯の照明の加減かね? 天然パーマの髪の毛の勢いが失せてから整髪も手間いらずになったもんだよ。
蒸しタオル被せたら直毛ふうに素直になるね。云うか云わずかで、オレにとっては今の薄っすら頭が好きだよ。長い年月、
此の天然パーマが大嫌いだったからね。散髪しても直毛みたいに素直な整髪できない。パーマなんて鬱陶しいのに 「其のカールがええな」
なんて云うのがおったよ、馬鹿だよ。頭振ってパサッと乱れても元に流れる恰好良さが解らんのかね? 猫に小判だよ。
風呂上がりに湿ってる髪の毛整えて鏡を見れば、あれ? アラン・ドロンじゃないかって見間違うよ。「どんな目をしとんねん?」
此れがね、いいんだよ、額にパラリと伸びた髪の毛が眉まで垂れ落ちてる。「黒いチューリップ」のアラン・ドロンだよ。
彼も今じゃ歳をとったね。でも、オレと一緒だよ、歳を感じさせない恰好良さは通じるものがあるね。「それ、本気で云うてんか?」
『映画雑誌 スクリーン 映画の友』 なんでも大事に溜めるのが好きだったね 20年間分? 真っ新なまま最後には捨てちゃった
感じたままを云ってんだよ。写真を目の先に貼って見比べたらお笑いだよ。猿と人間だよ。「おまえが猿やな」 そうだよ。
だけど、もってる雰囲気かね? なんか似てんだよ。前にも書いたかな? オレが、まだ若い時にね、「スクリーン」だったかな、
「映画の友」だったかな? 映画雑誌の付録にアラン・ドロンのポスターが付いてて、其れを部屋の壁に貼ってたの。
で、同じビルに店を張ってた頃だね、並びの喫茶店の娘(こ)が家に遊びに来たんだよ。オレが留守の時に来たんだね。
おふくろが案内して「ここが、あの子の部屋」って見せたらしいんだね。そしたら 「いやあ、お兄さんやんっ」って、オレの写真と
間違ってアラン・ドロンのポスター見て驚いてたらしいんだよ。「その娘(こ)も目が悪いのか?」 其れを聞いてオレもそう思ったよ。
綺麗な娘(こ)だったよ。猿と美女だよ。「なるほど、そういう錯覚を起こさせる奴なんだな、おまえは」 まあ、そういうことだね。
ついでにね、手前味噌だけど、洗面所の鏡を見るとね、もう死んでも不思議じゃない歳なのに頑丈そうな身体は鍛え上げられて若々しいの。
実際は、弱弱しいんだけど恰好だけは若々しくて強そうなの。 「見せかけか?」 当然だよ。強いはずがないよ。
商売失敗して借金王になって肉体労働専門で生き長らえてきたけど働く姿勢は半端じゃなかったよ。何処へ行っても鉄人と云われたよ。
なのに性格はオカマっぽいんだよ。此のアンバランスが不思議と人を引き付けて押し出されて目立つから内向的になったのかな?
「どういうことやねん? 押し出されて目立ったら幸いじゃないか、なんで、内向的になるんだ?」 オレは目立ちたくないんだよ。
性格が月見草だよ。「誰か云うとったな?」 自分を甚振(いたぶ)って強くなりたいのかね? 自分に負けたくないってのがあるね。
『アラン・ドロン』
「変態の発想か?」 死ぬまでそんなのを引き摺って往くのかも知れない。オレに謂わせれば敵は己に在るってのが、のかんのだよ。
背負った業(ごう)かも知れない。息子を失ったとき、肝を据え直して人生を覚悟したよ。オレの内なる戦いだよ。
長い人生、世間さんには守られて生きて来れた。腑に落ちないほどの優しさで守られて生きて来れたと実感するんだね。
「オレが受けて立ってやる」って嘯(うそぶ)く姿勢は、誰あろう、神さんに対してある。
「払わねばならん負があるなら払いきって死んでやる」 転生して繰り返せと云うならば、それも受けてやるって男気がメラメラ燃えるよ。
オレの性根には、恨むってことが皆無に近いんじゃないかね? ゴミ箱漁るような愚かはせん。綺麗に頑張るに徹して闘うのみだよ。
神さん、無理しなくていいよ。 「なんやねん、来世も遣れって云われるぞ」 仕方がないよ、逆らえる相手じゃないよ。
そうだね、どうにも転生させて2度いじめたいなら、猿と人間じゃなくてホンマものの男前にしてくれんかね?
冷酷非情な男だよ。筋の通らん奴は黙って撃ち殺す、バスッ、バスッとサイレンサーだよ。モテそうだけどモテずに去る男もいいね。
「それは今世のままじゃないか」 ああ、そうか。モテてポイポイ捨てる男が好いね。「おまえが撃たれるわ」 なんの話をしとるのかね?
『アラン・ドロン』 「アラン・ドロン君、ヒス女の始末を頼む」 「誰のこと云うてんねん?」
隣の奥さんが洋間に来て訳の解らんこと云い出して自分自身の言葉で怒りを増幅してるような興奮ぶり。オレは何も云ってないよ。
「其れがおかしいんやっ、他所のご主人なんか、長く連れ添った奥さんに優しい言葉をかけたはるでっ」 テレビやろ? 「何処でもやっ」
そらあ、居るやろ、相性がええんだろうね。 「あんたは、わたしに感謝してるかっ?」 まあね。「何が、まあねやっこのお~っ」
痛いッ、痛っ、もおうっ、 「このおっ、これでもかっ」 痛、痛っ、ちょっ、ちょっと待て、バンッ痛っ。何を云うとおるねん?
「もうっ、腹立つわっ」 肩で息してリキんどおるわ。発作が起きてんか? 口歪めて 「感謝してるかっ?」
うん、腹立つことは別にして感謝はしてるよ。 「ほお~んまあかあ~」なんて顔しとおるよ。そんなもん、強制的に云わすもんかいな?
「せやから日本の男はあかんのやっ、一言のありがとうが大事やっ」 いつも云うてるよ。 「聞いたことないなあっ」
おまえな、〇〇〇〇が常に云うておったやろ、「おとんは、いつもありがとうって云ってるよ」って、思い出したかあ?
云っとくけど、オレは、ありがとうは口に付いてるで。なにごとも、ありがとうで始まるんだよ。熱冷めたかして疲れて引き上げよったな。
奥さんにも何か不満も有れば、憂さを晴らしたい思いも有るだろうね。ない人はおらんだろうね。人生は奥深くて単純じゃないよ。
不意に来てヒス起こされたら、駄文の話しのあとが消えてしまったよ。まったく、ホンマに困ったもんだよ。
ベランダに出て一服しようと思ったけど、冷あ~と寒いから部屋に戻った。人それぞれに物語があって捜し求め歩くのが人生だろうね。
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