近代の保険の成立について話していきたいと思う。原始的保険として誕生した海上保険、火災保険、生命保険は、資本主義経済の発展とともに進化し、それぞれ独自の過程をたどりながら近代的保険へと成長していくのである。
いずれも18世紀に入ってからのことで、個人主義社会・自由主義社会の進展のもとに、人々が経済的合理性をより一層追求するようになって保険がさらに発展したのである。
17世紀の終り頃には、テムズ河畔のロイド・コーヒー店に荷主、船主らと個人保険業者が多く集まり、ここで盛んに海上保険取引を行った。こうしてできたのが、今日まで存続しているロイズである。
しかし、個人保険業者の中には資金力が不十分で財政的基盤の弱いものも多く、加えて、保険料率も合理性を欠いて、海上保険取引に投機性がつきまとい、そのため個人保険業者の破産・倒産も続出した。
そこで、会社組織で海上保険を経営する方式が考案された。かくして、資金力・財力の強化・拡充、経営規模の拡大、担保力の充実、海上危険の資料整備などが進んで、ここに海上保険が近代的保険として確立し、科学的経営方式が一般化した。
なお、個人保険業者の集りであるロイズは、ますます発展して1871年には法人化され、独特の地歩を築いていくのである。このような状況下で海上貿易はますます活発となり、商業資本の蓄積も進んで、利潤も巨額なものとなっていった。
18世紀にはヨーロッパ各地で海上保険会社が設立され、自由競争から過当競争も生じる有様であり、またアメリカにも18世紀末に最初の海上保険会社が設立された。この時代海上貿易と海上保険の発展が、資本主義経済の成長を促進したのであった。
産業革命を経て、資本主義は画期的な飛躍を遂げたのである。
イギリスとドイツで誕生した火災保険は、順次ヨーロッパに浸透していくが、公営の火災保険の普及しつつあるドイツでもイギリスの保険会社の影響を受けて、18世紀中頃から私営の火災保険会社が設立され、成長していった。
アメリカでも18世紀には、火災保険会社が設立された。
産業革命によって生産力が高まり、商品の大量生産・大量販売の時代となって、企業家はこれらの商品・製品を火災危険から守る必要が生じ、また家庭においては豊かになりつつある個人の家屋・家財を同様に火災危険から守る必要が生じた。
こうして19世紀には、火災保険需要が増加し、他方、火災保険料率は細分化され、専門化・複雑化されて、ここに近代的火災保険として生成・発展していくのである。
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