人間界 不思議なことばかり

不思議発見というテレビ番組がありますが わざわざ遠方に出かけなくても 身の回りには 不思議なことがいっぱいあります

価値

2012-06-10 15:20:53 | 日記
五月晴れとは正しくは六、七月の梅雨時の際の晴天の日を指すらしいが、その五月の晴れ渡った早朝に自転車で通勤するのは清々しくて気分のいいものだ。昼間とは違った景色に出会えるのも早朝の空気と同じで新鮮だ。リックを背負った労働者風の若者や空き缶を台車に沢山積んで運ぶホームレスもいるが、家の前の掃除、花の水遣り、ゴミだし、そして犬の散歩とご婦人たちが活躍している姿が目立つ。ご近所の仲間同士の散歩も多く、彼方から話し声やカラカラと笑い声が響くのですぐそれと分る。全く元気がいい。比べて男たちの姿はと訝ってしまう。朝は威勢の良い女性とともにやって来る。
晴れた休日の公園もはしゃぎまわる女の子で占められる。男の子はどこに消えたのか思わずキョロキョロする。今時の男の子は指先以外に体を動かすことに関心を示さなく、仮想現実のゲームしか興味がないと云う話もある。
AKBの総選挙が話題をさらったが、既存の歌劇団さながら群がって歌って踊って握手して芸能界を席巻している。最近はファン層の年齢という垣根がないらしく、オタク族やおっさんたちもCDを大量に買い込んでお目当てのアイドルを応援している。ステージに登場しているのはどう見ても普通の女性たちだが、アイドル神話はいつものようにファンの頭の中に棲みついて増殖中の仮想だ。大人の男も頭でっかちみたいだ。
男性の職場への進出も性差の関係なく、ダンプカー等の重機、コック、競輪選手、ボクサー、外国では兵士等々、職業に拘りなく自分のやりたい仕事を選んでいる。しかもかわいい子が多いのだ。中には助手席に幼児を載せて走っているバツイチの若いトラック野郎もいる。男が進出できたのは看護師ぐらいで、今後仕事の可能性は女性の方が広い。
元気が良く溌剌としているのは老いも若きも女性だ。平均寿命も女性が七年ほど長く生命力も強くて逞しい。しかし本来女性というのはそうなのだろう。男の女性へのイメージが古臭くいつまでもその虜になり脱皮できないでいる。その間に女性は進化?変化?している。男の心理を支配しているのは女性原理で女のそれは男性原理だとある心理学者の説だが、いよいよ説が現実的になったか。
家庭内での妻の意識の変化も大きい。結婚が女性の永久就職と言われたのは当の昔のことで、そう思う人は今では天然記念物だ。妻が事もなげに夫に告げる、一番大切なのは子供 二番は友達 そして三番は夫だと。夫の価値は精々二番あたりかと思っていたが妻の思いは違うらしい。妻に馬鹿云ってると冗談めかせないと家庭の平和が保てない状況で、ここで怒ったらお終いだ。この話を会社の同僚にしたら、古いと笑われた。その間にペットが入るから夫は四番目だという。どこの家庭も同様か、犬猫より下で、単なる種馬と働き蜂として酷使され、しまいに粗大ごみになって邪魔になる運命なのだ。
夫の定年も近くなり、子育ても終わり人生の目処が付く頃になると、このまま夫と一緒に老後を過ごすべきかと悩み、同じ墓に入るのは気持ちが悪いと身震いして、退職金や年金が支給された時点での離婚に踏み切る女性が多い。夫の束縛から解放され第二の人生を飛躍し充実させたい意欲に満ち溢れている。
ただ熟年離婚をしなくとも大方夫は先に死ぬ。夫は妻に先立たれるともぬけの殻になるらしいが、未亡人は時を経ずして大いに飛躍するという噂である。孫の世話もそこそこにして古くからの友人たちと旅行に出かけるのが唯一の楽しみになる。歩けるうちはどこにでも出かけようと野心満々である。
元気なのは十年位だろう、さすがに齢を重ねると病院通いも頻繁になり、子供や孫も離れ友人の死を知り行動もままならくなり、かといって親族との同居は想像しただけで面倒。昔のように子供や孫に囲まれて人生を楽しむ時代ではなくなりつつあるのは事実だ。子供や孫の思い出は消えゆく遠い過去のこと。人生が楽しいか寂しいかどうかは本人しかわからない上に、老いて反省しても為す術がない、老いたる現実がのしかかる。
自立心の強い人ほど待ち受けるのが孤独。寂しさを紛らわすために登場するのがペットである。飼い主の思いを理解してくれると勝手に人間が思い込んでいる愛玩動物である。世話も簡単だし飼い主を選ばない。夜更けに邪心のない犬猫の表情を見つめると耐えられないほどの愛情が湧く。存分に愛情を注ぎあたかも真の愛情がここにあるかのように錯覚する。
財産があればどう分配するかは本人の自由だ。孤独が強ければ遺言の選択肢は狭まる。当然、アメリカのように遺言で多額の遺産をペットに残す女性も出現する。人生の最後で安心して一番愛情を委ねられるのがペットになる。ペットの幸せを現世に託して遺言を残す。しかし中には世話が大変だしペットが先に死ぬことの悲しみに耐えられない人がいる。愛情を委ねられるものは森羅万象となり、老後の癒しの対象はペットから人形に向かっているとの現実もある。世も世だからペットより人形に愛着を持つ女性が増えている。人形なら安心して思いのたけをぶちまけられし、黙って受け入れてくれて、最新の人形は気の利いた言葉もかけてくれる。死ぬことはないし壊れても直すのは造作もない。高度な人工知能を備えたお人形さんもすでに世間に出回っている可能性もある。まるで江戸川乱歩の世界さながらの妖しい世界が出現しつつある。男ならR2D2あたりが無難だ。
しかし遺言で遺産を人形に残したら一体どうなるのだろうか。さすがのアメリカでもまだ法律がない。アメリカのことだから近い将来ロボットみたいな人工物に対しても相続が認められるだろう。そしてロボットの人権も認められる可能性がある。残すべき遺産がない貧乏人には全く関係ないけれど。


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