紅茶の一期一会

紅茶歴(だけは)10年以上の管理人が、
主に、購入した紅茶の感想を書いています。

音楽感想:『渡り鳥に宿り木を イメージアルバム』

2010-09-20 18:23:43 | 音楽系
はい、佐野広明(HuMI)氏の音楽の時間ですよ。
反響が少ないとわかっていながら、ついつい書いてしまう。
だって本当に美味なんですもの。


<総論的な感想>
今回紹介するのは、ゲーム『渡り鳥に宿り木を』のイメージアルバム。
『to traveler have a good sleep./ image album』とも言うらしい。

ゲームが出る前にイベント(コミックマーケット)限定で発売されたCDで、ずっと探していた。
ある日、いつも通り検索エンジンで探索していたら、なんと偶然、某中古ショップに在庫を発見。
速攻でポチりましたよ。

はてさて、内容はと言いますと、やっぱり佐野広明さんだなという感じ。
『殻の中の小鳥』『雛鳥の囀』の音楽盤と同じように、クラシックかつゴシック調の音楽がそろっている。
ただ、暗いところが少なく、前向きな感じの曲が多めになっている。

個人的には8.『跳ねる水は冷たく木漏れ日は暖かく(forest)』という曲が最も好み。
しかし、全体的に見ても、丁寧に作られた楽曲群と言えるのではないかと思う。

全9曲の構成。

佐野さんのコメントがついたライナーノーツがないのは少し残念。
『雛鳥の囀』の音楽盤や『そよ風の中で』のCDにはついていたのだが…。


<各曲の感想>(太字は好みの曲。)
1.『己の言葉で語ればこそ(one word message)』
 毎回佐野さんの曲はタイトルが凄い。
 (もっとも、タイトルは大方脚本さんにつけてもらっているらしいが。)

 この曲は、このCDを買うきっかけとなったもの。

 まず、始まりを告げるピアノが健気に鳴り始める。
 その後ストリングスで運命の急展開を表現するような部分が非常に美味。
 運命に翻弄される健気な少女というか、そんな感じの曲。

 この空虚な儚さと美しさは特筆もの。

2.『静かにそして静かに(opening)』
 1.に雰囲気が似ている。少々大げさな感じもする。

3.『陽の光は等しく届く(morning)』
 牧歌的なところのある美しい曲。
 どうしてこの人のピアノはここまで美しいのかね。
 しかし、中間部の鐘とおぼしき音が、鉄パイプの音に聞こえてしまうのが残念。

4.『生まれた大地が決める約束(colita)』
 東洋的でエキゾティックな雰囲気のある曲。
 コーラスと民族楽器の音色が、そこにある淡々とした運命の悲哀を感じさせる。
 結構好みの曲。

5.『少し足りない だから十分(three maids)』
 タイトルの意味深さが何とも。そうなのかもしれないと思わせるものがある。

 穏やかで平和な感じの曲。

 序盤のスタッカートのような部分は、可愛らしく可憐な感じ。
 中間部は、緩急はあれどもゆったりと流れる時間を表すように伸びやかで美しいストリングス。
 ピアノのオブリガードも非常にうまくいっていると思う。

 所々暗い部分があるのは、平和の裏にある「陰」の部分の示唆のようにも思える。

6.『日は沈めど何も変わらず(house)』
 淡々とした悲しさが美しいピアノで奏される。
 上述の「陰」の部分の前兆というような感じ。
 途中の不協和音的な部分はちょっと意味深。

7.『引かれた弓(pressure)』
 ついに上述の「陰」の部分が出てきたといったような曲。
 パーカッションとピアノ、ストリングスが空恐ろしい感じを表現している。
 あまり好みの曲ではない。

8.『跳ねる水は冷たく木漏れ日は暖かく(forest)』
 本CDイチオシの曲。

 RPGの、青空がちらちらと見えるような「森」のダンジョンに使われていそうな感じの曲。
 しかし、ありがちな「癒し」とか、そういったパターンに行くのでもない。

 森の壮大さ、静美さが表現されているような感じ。
 人の手が入らず、忘れ去られてしまっているが、悲しい歴史も見てきた、太古の昔から静かにそこにある森。
 自然の厳しさ、包容力などが、渾然一体となった生命力を感じさせる、力強い楽曲となっている。
 それでいて、何とも鮮やかな色彩感を持っている。

 ギターの弦をはじくような音が神秘的でしっとりとした感じを、フルートの音色は清浄で寂しげな印象を抱かせる。
 中盤でストリングスが壮大さを付加する部分や、フルートとピアノの旋律が前に出て寂寥感を感じさせる部分も好みである。

 しみじみと良さがにじみ出てくる、素晴らしい曲。

9.『その風を受けて高く飛べ(the air)』
 最初は寂しく儚げ。
 しかし、力強いピアノから曲が急展開して、悲しげな疾走感が出るところは佐野さんですな。非常に美味。

 後ろ髪を引かれる、しかし、一所にはいられない、旅立たなければならないといったような悲しさ。
 そこから自然に前向きな表現になっていく様には、何ともいえない充足感がある。
 フルートが吹く風を、管楽器とストリングスがその風に乗る鳥の旅立ちを表現しているような感じ。

 まさにタイトル通り。イメージアルバムの締めにふさわしい曲。


<まとめ>
佐野さんに関しては信者なので、客観的な評価は全く期待できない。
しかし、タイトルと相まって想像を喚起する力を持っている音楽たち。

『イメージアルバム』という看板に偽りなし。

やはり素晴らしいCDだったと言いたいですね。
一般流通がないのが非常に惜しまれる。


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