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WEB上のニュースや新聞などで扱われたエホバの証人のニュースを取り上げます。シリアスな話題から笑えるニュースまで。

ブルックリン - 協会の建物を巡る駆け引きの裏側 1

2011-09-12 22:16:32 | 組織
ものみの塔協会が最初にニューヨーク・ブルックリンの建物を購入したのは1908年のことでした。もともとは、ニューヨークから西に500Kmほどの距離にあるアルゲーニー(ピッツバーグ)に「バイブル・ハウス」と言われた協会の本部がありました。「ふれ告げる人々」の本によると、ニューヨークに移ったいきさつは次のように書かれています。

新聞伝道に弾みがつき,聖書研究者たちは,訓話を作って送り出すための別の場所を探しました。なぜでしょうか。アレゲーニーのバイブル・ハウスが手狭になっていたからです。また,ラッセルの訓話をもっと有名な大都市から送れば,さらに多くの新聞に訓話を載せることができるという考えもありました。しかし,どの都市がよいでしょうか。「ものみの塔」誌(英文),1908年12月15日号はこう説明しています。「我々はすべてを考慮した上で,神の導きを求めた後,中流階級の人々が多く住み,『教会の都市』と呼ばれるニューヨーク市ブルックリンこそ,そのような理由で,我々が残された数年間に行なう収穫の業の本拠地として最適の場所であると結論した」。 (JV-P59)

1908年に、当時、協会の法律顧問だったジョセフ・F・ラザフォードを含む数人の代表者がニューヨーク市に派遣され、二つの物件を買い取りました。

こうして、ものみの塔協会はブルックリンにその活動の拠点を移し、以後100年に渡って世界本部としてその機能を拡大してきました。

1960年代の終わりから、ニューヨーク州ウォールキルの農場で印刷施設や宿舎棟が建設されました。長年雑誌の印刷はウォールキル、書籍の印刷はブルックリンで行っていましたが、2004年には、米国における印刷,製本,発送の機能がすべて,ウォールキルに移りました。
また、1980年には、更なる必要を見越して、ニューヨーク市に比較的近く,主要道路への交通の便も良い,250ヘクタールほどの土地を探す仕事が始まりました。1986年から、その土地パタソンで建物の建設が始まり、現在そこはものみの塔教育センターとして知られています。法律部門、奉仕部門、翻訳部門、アート部門などはすでにパタソンに移動しています。

ものみの塔協会(ペンシルバニア州ものみの塔聖書冊子協会)は、2006年にはブルックリンに約40の建物を所有していましたが、売却を進めて来ました。ザ・ブルックリン・ペーパー紙によると、現在でも30ほどの物件を所用しているとのことです。

さて、前置きがかなり長くなりましたが、今回の記事は、引き続きブルックリンに残る協会の建物を巡っての話です。

ものみの塔聖書冊子協会の本部がブルックリンから移転することは、以前から度々話題となっており、移転先の当局と交渉がもたれているとの情報もありますが、その時期は定かではありません。

そんな中、ブルックリン地区にあるブルックリン・ブリッジ・パークの維持費に年間1600万ドルかかっていることが問題になっており、公園の一角に高層高級マンション数棟を建てて、そこから入る税金でこの維持費をまかなおうという計画が持ち上がります。しかし、このマンション建設に反対する人も多くいます。そこで、ニューヨークのスクアドロン議員が目をつけたのが、ものみの塔協会の所有する土地・建物です。現在協会の施設に対しては税金がかかっていません。宗教団体への税が免除されているからです。この建物群を協会が売却し、新しい入居者からの税が入り始めるならば公園の維持費をまかなうことが出来て、マンションを建てずに済む事が出来ると言う訳です。そして、この計画はすでに市の合意を得ています。

このニュースを何度も取り上げている地元紙、ザ・ブルックリン・ペーパーの記事を追ってみましょう。

■2011年8月3日 ブルックリン・ブリッジ・パークの計画の説明

ブルックリン橋公園のビルディングと維持管理への計画が明らかにされた。少し複雑なので、分かりやすく説明しよう。

- なぜ、スクアドロン上院議員とミルマン女性議員はこの計画を歓迎しているのか

議員たちは、高級マンションを公園に作らずに済む可能性があると述べている(かつては、公園の膨らんだ維持管理費をまかなう唯一の方法と見られていた)。何故なら、現在非課税となっているものみの塔協会の土地・建物から将来的に入ってくる税収を、学校や警察といった通常の予算計画ではなく、公園の維持費として使うことを市が承認したからだ。もし、すべての協会の資産が売却されて税が入ってくるならば、第6埠頭公園に高級マンションを建てる必要がなくなるだろう。

- かなり大きい話だが・・・

その通り。そして、それには期限がある。もし、協会の資産が2014年までに売却されなければ、市は議論の対象となっているマンションの建設に動くだろう。

- まだ住宅区画にもなっていない(現在、協会の建物がある場所は商業区画となっている)建物なのに、2014年が売却期限というのは時間が短いのでは?

確かに。しかし不動産の専門家は、大きな建物は2,3年かかるかもしれないが、小さな建物はもっと早く売れるだろうと考えている。

- 政治家たちは、いわばたなぼた的な、彼らがコントロール出来ない巨大な収入を当てにして、問題を先送りしているように感じるが?

そうかもしれないが、スクアドロン議員が当選したのは、一部には公園内のマンション建設に反対するという彼の約束のためである。それで、少しでも計画を削ったり、あるいは撤回させられれば彼の勝利となる。たとえ、彼の政敵側から、予算をニューヨークの下層や中流層から上流層の住む立派な公園のために流していると非難されてもである。


■2011年8月11日 「ものみの塔」計画の勝者と敗者

ものみの塔の(早期に売却されるであろう)資産からの税収を、ブルックリン橋公園の年間維持管理予算に使うという市の合意は、史上最大の不動産詐欺にも、あるいは健全な市の政策ともなり得る。しかし、どちらにしても、多くの勝者と敗者を産み出すだろう。

- 勝者

・ものみの塔聖書冊子協会:エホバの証人としても知られるこの宗派は、現在所有している30以上の資産を、市が(現在商業区画になっているものを)住宅区画に変更するなら大儲け出来る。

・ブルックリン・ハイツ:金持ちの上流階級である高級住宅街の住人たちは、この素晴らしい公園を新しいマンションを受け入れることなく手に入れることが出来る。

・ダニエル・スクアドロン:ブルックリン・ハイツのこの上院議員は選挙時の公約を果たし、公園内のマンション計画を撤回させられる。そして、この計画が失敗しても、非難されることはないだろう。



- 敗者

・建設業者:建設業界の有力者たちは、新しい高級マンションを第6埠頭公園に建設したがっている。しかし、市の計画が順調に行けばマンションは必要なくなる。

・次の市長:新しい行政は、ものみの塔の建物が期待通りの税収を生まない場合、引き続き問題を抱えることになる。

・貧しい人々:数百万ドルもの固定資産税 - 通常は図書館、警察、消防、学校と言った基本的な市のサービスに供される - が、区画変更されたものみの塔の建物から、すでに裕福な住宅地域にある立派な公園へと吸い上げられる。

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さて、協会の建物の売却を前提としたこの予算計画。いったいどうなるのでしょうか。その後も、関連記事が掲載されていますので、次回のブログの記事に続きます。



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2 コメント

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Unknown (kate)
2011-09-12 23:30:58
いっきに読んでしまいました〓 続き楽しみにしてます。
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Unknown (JWニュース)
2011-09-15 12:13:10
なかなか興味深いニュースですよね。協会の不動産の行方はかなり注目されているようです。
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