足柄 艦内神社

2015-11-02 23:47:10 | 日記
軍艦足柄における例祭

 妙高型重巡足柄には足柄神社が祀られていた。足柄神社における例祭において、原始神道の一遍を見ることが出来ると考える。先ずは例祭次第

 式次第

一、 時刻 昭和十年一月二十九日(木)午前九時半

二、 委員 一般、 運用長、設備 甲板士官、掌帆長 掌木工長、會計 主計長

三、 祭典式順

(イ) 総員着席(午前九時三十分)

(ロ) 修祓式(一同起立傾頭)

(ハ) 神祠出御(祭主先導)

(ニ) 献餞

(ホ) 大玉串奉奠

(ヘ) 祭主祝詞(一同起立傾頭)

(ト) 祭主玉串奉奠、祭主(艦長)玉串奉奠、准士官以上各箇所及各分隊代表玉串奉奠

(チ) 徹餞

(リ) 神祠還御(祭主先導)

(ヌ) 神酒分配退席

四、 祭壇撤収 祭典終了後直に撤す

五、 服装 通常禮装、帯動一箇

六、 式場 前甲板



 注目すべき点は専任の神職によって祭典が執り行われるのではなく、艦における代表(艦長)が祭主を任されている点である。神社及び神道が成立する以前、つまり神道の創始期において専任の神職というべき存在はまだなく、集団の中で持ち回りという形で祭祀を執り行ってきた、神籬・磐座の祭祀である。神道の基本的要件として、地域の集団、氏族(この場合乗員)により、神を祀るための区画(艦首甲板)が確定され、その地に仮説・常設(艦内神社)の建設的施設が作られ、年ごとの祭祀が行われる。意図して成った訳ではないが旧軍時代の祭祀もこれに似ている。

 現在の海上自衛隊においては乗員が祭祀を行う事はない。今後の課題として当時の乗員がどのような指針や教本を持って祭祀に当たったのか調査する必要がある。