24-269「ソウルの春」（韓国）

失敗すれば反逆、成功すれば革命

　1979年10月26日、独裁者と言われた韓国大統領が側近に暗殺され、国中に衝撃が走った。民主化を期待する国民の声が高まるなか、暗殺事件の合同捜査本部長に就任したチョン・ドゥグァン保安司令官は新たな独裁者の座を狙い、陸軍内の秘密組織「ハナ会」の将校たちを率いて同年12月12日にクーデターを決行する。

　一方、高潔な軍人として知られる首都警備司令官イ・テシンは、部下の中にハナ会のメンバーが潜む圧倒的不利な状況に置かれながらも、軍人としての信念に基づいてチョン・ドゥグァンの暴走を阻止するべく立ち上がる。（「作品資料」より）

 

　〝粛軍クーデター〟〝１２．１２軍事反乱〟と呼ばれる事件を基に製作されたサスペンス・ドラマ。

　１９７９年１０月２６日に独裁者と言われたパク大統領が暗殺される。

　事件を捜査するチョン・ドゥグァン保安司令官は、事件に関係していると目す相手を捕らえては拷問していた。

　そして新たな独裁者の座を狙うチョン・ドゥグァンは陸軍内の秘密組織〝ハナ会〟のメンバーと共にクーデターを起こす。

　それを食い止めようとするのが、首都警備司令官であるイ・テシン。

　陸軍本部を占拠しようとするチョン・ドゥグァンは前線の部隊をソウルに結集しようとし、イ・テシンもそれに対抗する兵力を集めようとする。

　正に首都ソウルで内戦が勃発しようとする様子を時系列で描いていき、緊迫感が増す展開であった。

　チョン・ドゥグァンとイ・テシンの策略によって攻防は一進一退し、果たしてどのような結末となるのか気になったな。

　普通なら結末は正義に当たる側が勝つと思うのだが、史実を基にしているだけに、後味の悪さが残る結末である。

　タイトルの「ソウルの春」は、独裁者パク大統領の死去で国民の間で民主化のムードが高まった時期を指すらしい。

　てっきらソウルの春の始まりを描くのかと思ったら、終わりを描く話だったんだな。

　どちらに転ぶか判らぬ緊迫感ある展開で、面白い１本だった。

　チョン・ドゥグァンではよく判らなかったが、全斗煥のことだったんだな。

　正に近年の話であることに驚きがあったな。

/５

監督：キム・ソンス

出演：ファン・ジョンミン、チョン・ウソン、イ・ソンミン、パク・へジュン、キム・ソンギュン、チョン・マンシク、チョン・ヘイン、イ・ジュニョク

於：グランドシネマサンシャイン池袋