「高齢社会をよくする女性の会」(樋口恵子理事長)は2月16日、東京都内で認知症に関する講演会を開いた。この中で、厚生労働省老健局認知症・虐待防止対策推進室の武田章敬・認知症対策専門官は、「認知症政策のいまを聞きこれからを考える」をテーマに講演し、認知症の専門医の人数が少ないため、地域のかかりつけ医などの役割が重要になるとの認識を示した。
武田専門官は認知症医療の現状について、▽専門医療を提供する医師や医療機関の数が不十分▽認知症を専門としない医療関係者の認知症に関する理解が不十分▽地域医療における認知症の人や家族に対する支援が不十分▽BPSDの治療が未確立▽身体合併症の治療が適切に行われていない―の5つを問題点として提示した。
認知症の専門医療を提供する体制については、日本老年精神医学会と日本認知症学会の専門医を合わせても1000人に満たないと指摘。一方で、「日常生活自立度」が以上の認知症高齢者の2010年の推計人数が208万人であることから、専門医1人で2000人以上を診る必要があるとして、「認知症が非常にありふれた病気であるのに対して、専門医の数が全然足りない」との認識を示した。
また、今後独居の認知症高齢者が増加する中では、認知症にかかわる地域医療体制を構築する上で中核的な役割を担う「認知症サポート医」や、認知症に関する正しい知識を理解し、認知症の人や家族を支援できるかかりつけ医が、専門医療機関や地域包括支援センター、介護サービスなどとの連携を図ることが重要と指摘した。
さらに、認知症の人を地域で支える体制を構築するためには、早期発見、診断、治療など、それぞれの医師や医療機関が対応可能な診療の範囲を明確化し、地域住民がその情報を得られるように公開する必要があると強調した。
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