●今こそ徹底的な行財政改革を!
所沢市のホームページに平成27年度までの財政の推移の見込みが出ています。その数値を見ると平成17年度までは歳入から歳出を引いた差し引きは黒字ですが、18年度から27年度までの10年間で累積約890億円の赤字の見込みになっています。特に21年度からは毎年100億円前後の赤字が発生する見込みです。
驚く事に所沢市の財政は700億円強の歳入に対し、800億円強の歳出の構造になると所沢市自体が推計しているのです。
年度 18 19 20 21 22
歳入総額 75,250 72,617 72,049 71,449 72,020
個人市民税20,361 21,235 20,620 20,619 20,617
歳出総額 78,670 79,868 80,211 81,306 83,328
差引 ▲3,420 ▲7,251 ▲8,162 ▲9,349 ▲9,286
年度 23 24 25 26 27
歳入総額 72,529 71,944 72,520 73,033 72,433
個人市民税20,615 20,613 20,611 20,610 20,608
歳出総額 82,436 82,436 82,141 83,013 83,095
差引 ▲10,799 ▲10,492 ▲9,621 ▲9,980 ▲10,662
(単位;百万円/所沢市ホームページより)
ベットタウンとして発展した所沢市は歳入では個人市民税が大きなウェイト占めています。表を見て分かるように個人市民税の見込みが変化していません。所沢市は納税する人口推移の見込みを公表していません。急激な高齢化の到来と団塊の世代が退職するのをはじめ人口減少社会の時代、本当にこの税収が見込めるのか疑問を感じます。または税収確保のため市民の負担が増す事が予想されます。参考までに2005年度所沢市では1人当たり14万4千円、1世帯当たり35万3千円の市民税が皆様から払われています。
夕張市の破綻でも分かるように自治体の財政に関して破綻するまで市民に情報が公開されていませんでした。数年先の所沢市の厳しい財政の状況を多くの市民の方はご存知ないと思われます。こうした状況を市民にきちんと説明し、歳出構造を抜本的に見直し、さらに今までとは違う発想で行財政改革を行っていくべきです。今後も具体的に政策を発信していきます。
●1033億円 所沢市の債務残高です
総務債 3,950,751 消防債487,026
民生債 1,539,987 教育11,618,827
衛生債 13,363,939 住民税等減税補填債12,334,972
土木債 6,713,497 臨時税収補填債1,045,454
公営住宅債847,964 臨時財政対策債16,508,175
一般会計債務残高合計 68,410,592
下水道 23,315,596
狭山ヶ丘駅東口土地区画整理 331,246
狭山ヶ丘土地区画整理 1,196,762
第二上新井特定土地区画整理 2,023,170
特別会計債務残高合計 26,866,774
※上記の単位は全て千円
所沢市の債務残高を皆さんはご存知ですか?所沢市にも一般会計と特別会計があり、それぞれの債務の内訳は以上の通りです。上記の他にさらに水道事業で80億円強、所沢市医療センターの病院事業で7,560万円の債務があり、全てを足すと約1,033億円の借金を抱えています。これを34万人の人口で割ると市民一人当たり約30万円の借金になります。
まず税金の使われ方の透明性を徹底するべきです。例えば所沢市の公共事業は年間約150億円前後です。一般競争入札はほとんど無く平均落札率はここ数年94~95%で推移しています。仮に落札率を10%下げる事ができれば、15億円捻出できるのです。
そしてこの借金を返していくには市民に行政コストの意識を持ってもらう為の情報公開も重要です。一例としてペットボトルの分別のコストはいくらでしょうか?所沢市の職員が行った場合ペットボトルの外側のセロハンをはがし、ふたを外すのに20秒掛かったとします。1分間で3個、1時間で180個、8時間勤務で約1,440個、年間230日(有休を10日取ると仮定して)で約33万個になります。これを所沢市の職員の平均給与735万円で割ると1個当たり約22円のコストになるのです。「20円強のコストを払うのか」それとも「20秒の作業をしてもらえるのか」を市民一人一人に問いかけるのが本来の議会の役割と考えます。
引用: http://blog.ishimotoryozo.com/?day=20070413
●市幹部(部長以上)の職務履歴の公表を!
●市幹部(課長以上)の民間人採用を!
一般市民の中には残念ながら公務員の方々は民間と比較して責任の所在が曖昧と感じている人が少なからずいます。そこで、まず市の幹部(部長以上)に職務に就かれる方の過去の市役所での職務の履歴を広報や市役所のホームページ上での公表を提案します。こうした事に対し、個人情報保護法の観点から公表できないとする旨の反対意見があります。しかし、以下の点で私はこうした意見に異を唱えます。
① 公表するのはあくまでも職員としての職務実績であり、個人のプライバシーではない。
② 市の部長以上の役職といえば市民の税金の使い道にかなり影響力があります。そうした人達に市民が過去の実績を知る事は当然の権利。
③ そして、しがらみなどで昇進していない事を市民に証明する事で市民と市役所との信頼関係を築く事ができる。
そして、もう一つ少なからずの市民が市役所のあり方に疑問を抱いている点は行政サービスのあり方に一般市民の感覚が反映されていない事ではないでしょうか?一般の主婦、NPO、環境や平和などの活動をしている市民団体など様々な意見が もっと行政に反映される市政にすべきではないでしょうか。
その為にも「公務員は行政サービスを提供するサービス業」である事を職員に徹底し、もっと幅広い人材が市役所に入るべきだと考えます。そこで課長以上の役職に民間人を採用する事を提案します。
現在多くの自治体で実施されている民間人の中途採用は年齢制限が設けられていたり、幹部としてすぐに採用される事はまずありません。まさに行政サービスの現場を統括する課長職にこそ民間の発想を取り入れ、市民により良いサービスを提供していくべきです。
おそらく以上の様な考えはものすごい反対意見が出されるでしょう。しかし、人口減少時代の自治体の中で「いつまでも住み続けたい自治体」として所沢があり続ける為には、こうした人事の透明性の確保や改革が実現することが必須の課題だと考えます。
●所沢は夕張から学べ!!
所沢市の債務残高が1,033億円(下表参照)もある上に、これから10年間で約890億円の赤字(下表参照)が出ることは以前の「1分通信」で記しました。単純計算で10年後には1,923億円の借金を抱える事になるのです。現在市民一人当り約30万円の借金は10年後には約56万円強になる計算です。人口減少社会を迎え、市民の数が減少すればさらに1人当りの借金はさらに増えます。
・現在の所沢市の債務残高
一般会計債務残高 特別会計債務残高 水道事業債務残高 病院事業債務残高
約684億 約268億 約80億 約7,560万
市全体の債務残高合計 約1,033億
・今後10年で各年度発生する事が推計されている赤字(単位:百万)
年度(平成) 赤字額
18 ▲3,420
19 ▲7,251
20 ▲8,162
21 ▲9,349
22 ▲9,286
23 ▲10,799
24 ▲10,492
25 ▲9,621
26 ▲9,980
27 ▲10,662
10年間合計 約890億
ここには記していませんが、注意すべきは個人の市民税の納税額が約200億円強で数字的にはあまり変化しない点です。一見これまで通り納税額が変化しないからと勘違いしやすいのですが、ここには大きな盲点があります。それは国の三位一体改革で国税の所得税から地方税の住民税に税源が移譲される点です。今後は所沢の財政状況が厳しくなっても、委譲された税源の分、国は税収が落ち込むので、国からの補助金(地方交付税交付金や国庫補助金)は期待できなくなります。
ベットタウンとして発展してきた所沢はこれから世代的に見れば高い住民税を支払ってきた団塊の世代が退職する事で、市の財政は一気に悪化するわけです。こうした構造的に発生する財政の問題に議会をはじめ行政全体が真剣に取り組むべきです。
財政再建団体になった夕張市は全国の自治体で「最も高い住民負担で、最も低いサービス」です。所沢がすぐに財政再建団体になるわけではありませんが、現実に債務を抱えている自治体であるわけです。
所沢を夕張の様にしないためにも、財政の問題に真剣に向き合い、そして市の職員全員に改めて所沢の厳しい財政状況を認識してもらうよう今後も「市民の視点」「納税者の視点」で提言していきます。