僕の細道

冬の縁日

『冬の縁日』

毎月21日は名古屋覚王山、日泰寺の縁日である。先日の縁日も、こんな寒い中、あちこちから年配者が集って来ていた。大通りから続く参道も、外套に包まれた人たちで溢れかえっていた。

参道手前は飲食の露店が少々と洋服の露店、その奥は雑貨、衣服と店並びが変わっていく。山門近くになると串カツなどの座れる屋台が増えてくる。境内では野菜、漬物、焼きソバ、お好み焼き、お惣菜、魚、植木、盆栽などを売る様々な露天商が店を出している。着膨れした客達は、店々を冷やかしながら練り歩く。行きつけらしい店では、話の花が咲いているようだ。買い歩くでもなく、食べ歩くでもなく、人を見て歩き、楽しんだ。

寒風に負け、早々に幕の張ってある屋台の長椅子に腰を落ち着ける。私はお好み焼きを頼み、同行者達はビールとドテ焼き、ウドンを注文。出来上がる間、店内の様子を伺う。ちょいと場が荒れているようだ。

ウドンを茹でる若いお兄さんはヤケッパチ状態で仕事をしている。作っているものと注文した物が違って出てくる始末。同行者が注文したウドンはきし麺に変わって出された。それ以外にも、出来上がったウドンを「誰か、ウドンは要りませんか?」と尋ねている。売り子の女性は口だけで、その場から動こうとしない。全体の流れを見るわけでなく、料理は勝手に作られ、注文したものと違うのが、どんどん運ばれ、会計もアタフタしている始末。もう一人の売り子の若い兄ちゃんは右手をズンのポケットに入れたままで、左手だけで、料理を運んでいる。しかも、注文した相手をどんどん間違えて運んでいる。そして、クレームに逆ギレか。お好み焼きを焼いている兄ちゃんは我関せずにニヤニヤしている。

もちろん、出された料理が美味しいわけはなかった。とんでもない店に入ったな。周囲の店も同様な様子。どこの屋台でも若い子たちが、いい加減に商売をしているようだ。

昔はそれぞれの露店を束ねる親方や兄貴分が居て、商いをしっかり教えたのたけど、昨今の露天商でも、それも叶わぬ様子。“商い”本来の原点でもあった露店、屋台の姿が失われつつ状況に落胆してしまった。売り買いするモノ、それぞれの先には売り手、買い手という“人”が居るのに、モノしか見えていない。その上、その対価となる金銭しか見えない風潮には困ったものだ。

売り手、買い手のどちらが悪いのか?どちらも悪いと思うな~。それに加えて、見てみぬフリをする輩が一番始末におえないのかな?
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