先日、放映されたNHKスペシャル番組『神の数式』を見て、異次元世界が最新の物理学の主要テーマになっていることが語られていました。
その中で、ポルチンスキー(カリフォルニア大学物理学教授)が、「いまでは、多くの物理学者が、宇宙には私たちの住む3次元世界の他に、異次元世界があると信じている」と発言しておりました。私は、その言葉に刺激されて、さっそくこの本を再読して取り上げてみることにしたわけです。
何しろ、私が大学で物理学を勉強していた頃は、「異次元」の問題はあくまでも数学上の概念であり、物理的実在として真剣には研究されていなかったからです。
著者のリサ・ランドール(ハーバード大学物理学教授)の研究テーマは、ずばり「異次元空間の証明」です。
彼女は異次元研究のきっかけについて、次のように語っております。
「原子核を構成する素粒子の中に、この世界から姿を消すものがあるという矛盾にぶつかり、5次元の研究を始めました。
私たちの3次元世界(時間軸を加えると4次元世界)では、すべての物質が原子からできていて、その原子の中心は原子核となっています。原子核は素粒子からできているのですが、ある条件を加えると、この世から姿を消してしまう素粒子があることに気がつきました。
無くなるはずのない素粒子が姿を見せ無くなるのはなぜなのか?
私たちの世界を取り巻く別の異次元があり、そこに行ってしまったため消失したと考えると、つじつまが合うのです。その異次元が私たちの世界や宇宙までもを取り巻く、巨大な時空間なのです。その中に、我々の住む3次元世界が平面の膜(ブレーン)のように存在しています。でも、異次元の世界は非常にうまく隠されていて、私たちには見ることができないのです」
これまでも、ミクロの世界では異次元についての理論はありましたが、微細で見えないものと考えられてきました。しかし、彼女は「異次元世界は、巨大で見えないもの、無限の広がりを持つもの」として捉えています。今まで小さすぎて見えなかったのではなく、近くにあるにもかかわらず、うまく隠されているので、大きくても見ることができないというわけです。
じつは私たちは、宇宙の他の部分と隔絶した3次元空間に閉じ込められているにすぎず、そのすぐ隣には高次元宇宙が広がっているのかも知れないのです。
彼女は、読者に理解しやすいように、次のような例えでも説明しています。
「3次元世界という膜(ブレーン)は、バスルームにおけるシャワーカーテンのようなものです。私たちや原子などの物質は、そのシャワーカーテンに貼りつけられている水滴だと考えることができます。水滴がシャワーカーテンに貼りついて下に落ちていくのと同じように、私たちも3次元世界の中を移動することができます。けれども、その水滴がシャワーカーテンから離れてバスルーム(5次元世界)に飛び出すことはできないのです。
もし仮にバスルームの中に、他のカーテン(他の3次元空間を持った膜)があったとしても、飛び出してそのカーテンに移ることができないように、私たちも5次元世界にある他のブレーン(膜)に飛び移ることができないのです」
人間はこの3次元空間という膜に閉じ込められているので、残念ながら5次元世界を見ることはできないし、行くこともできないと言っています。
本書は、若田光一氏(宇宙飛行士)との対談形式になっているので読みやすく、難解といわれる素粒子物理学や異次元世界について分かりやすく説明しています。入門書ということもあって、ページも少ない(90ページ)ので、2時間足らずでスラスラ読めてしまいます。
たぶん、読後は少し物足りないと感じる方が多いと思います。もう少し詳しく知りたいという人には、米英の高校物理のテキストとしても使われている『ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く』(リサ・ランドール著、 2007年、日本放送出版協会)を一読することをお薦めします。600ページ余りありますが、数式をいっさい使わないで、現代物理学の最新理論を非常にわかりやすく説明した一般向けの本です。
前回、紹介した『プルーフ・オブ・ヘブン』の中で、脳神経外科医エベン・アレグサンダーは、「天国は、我々が住んでいる3次元世界からは見えないが、この世界と隣り合わせに存在している異次元世界(高次元世界)かも知れない」という意味のことを発言していました。
リサ・ランドールも、本書の中で繰り返し次のように述べています。
「私たちには、その世界を直接見ることができませんが、私は異次元世界があると信じています。そういう異次元世界が、私たちの3次元世界のすぐそばにあると考えられるのです」
この2人の発言から、すぐに異次元世界と霊的世界を結びつけて考えるのは飛躍かも知れませんが、大いに想像力を掻き立てられる話だと思います。ただ、私は人類が宇宙から誕生したことを考えれば、高次元宇宙とのチャンネルは、人間の遺伝子の中に組み込まれているはずだと思っています。
【おすすめ度 ★★★】(5つ星評価)
その中で、ポルチンスキー(カリフォルニア大学物理学教授)が、「いまでは、多くの物理学者が、宇宙には私たちの住む3次元世界の他に、異次元世界があると信じている」と発言しておりました。私は、その言葉に刺激されて、さっそくこの本を再読して取り上げてみることにしたわけです。
何しろ、私が大学で物理学を勉強していた頃は、「異次元」の問題はあくまでも数学上の概念であり、物理的実在として真剣には研究されていなかったからです。
著者のリサ・ランドール(ハーバード大学物理学教授)の研究テーマは、ずばり「異次元空間の証明」です。
彼女は異次元研究のきっかけについて、次のように語っております。
「原子核を構成する素粒子の中に、この世界から姿を消すものがあるという矛盾にぶつかり、5次元の研究を始めました。
私たちの3次元世界(時間軸を加えると4次元世界)では、すべての物質が原子からできていて、その原子の中心は原子核となっています。原子核は素粒子からできているのですが、ある条件を加えると、この世から姿を消してしまう素粒子があることに気がつきました。
無くなるはずのない素粒子が姿を見せ無くなるのはなぜなのか?
私たちの世界を取り巻く別の異次元があり、そこに行ってしまったため消失したと考えると、つじつまが合うのです。その異次元が私たちの世界や宇宙までもを取り巻く、巨大な時空間なのです。その中に、我々の住む3次元世界が平面の膜(ブレーン)のように存在しています。でも、異次元の世界は非常にうまく隠されていて、私たちには見ることができないのです」
これまでも、ミクロの世界では異次元についての理論はありましたが、微細で見えないものと考えられてきました。しかし、彼女は「異次元世界は、巨大で見えないもの、無限の広がりを持つもの」として捉えています。今まで小さすぎて見えなかったのではなく、近くにあるにもかかわらず、うまく隠されているので、大きくても見ることができないというわけです。
じつは私たちは、宇宙の他の部分と隔絶した3次元空間に閉じ込められているにすぎず、そのすぐ隣には高次元宇宙が広がっているのかも知れないのです。
彼女は、読者に理解しやすいように、次のような例えでも説明しています。
「3次元世界という膜(ブレーン)は、バスルームにおけるシャワーカーテンのようなものです。私たちや原子などの物質は、そのシャワーカーテンに貼りつけられている水滴だと考えることができます。水滴がシャワーカーテンに貼りついて下に落ちていくのと同じように、私たちも3次元世界の中を移動することができます。けれども、その水滴がシャワーカーテンから離れてバスルーム(5次元世界)に飛び出すことはできないのです。
もし仮にバスルームの中に、他のカーテン(他の3次元空間を持った膜)があったとしても、飛び出してそのカーテンに移ることができないように、私たちも5次元世界にある他のブレーン(膜)に飛び移ることができないのです」
人間はこの3次元空間という膜に閉じ込められているので、残念ながら5次元世界を見ることはできないし、行くこともできないと言っています。
本書は、若田光一氏(宇宙飛行士)との対談形式になっているので読みやすく、難解といわれる素粒子物理学や異次元世界について分かりやすく説明しています。入門書ということもあって、ページも少ない(90ページ)ので、2時間足らずでスラスラ読めてしまいます。
たぶん、読後は少し物足りないと感じる方が多いと思います。もう少し詳しく知りたいという人には、米英の高校物理のテキストとしても使われている『ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く』(リサ・ランドール著、 2007年、日本放送出版協会)を一読することをお薦めします。600ページ余りありますが、数式をいっさい使わないで、現代物理学の最新理論を非常にわかりやすく説明した一般向けの本です。
前回、紹介した『プルーフ・オブ・ヘブン』の中で、脳神経外科医エベン・アレグサンダーは、「天国は、我々が住んでいる3次元世界からは見えないが、この世界と隣り合わせに存在している異次元世界(高次元世界)かも知れない」という意味のことを発言していました。
リサ・ランドールも、本書の中で繰り返し次のように述べています。
「私たちには、その世界を直接見ることができませんが、私は異次元世界があると信じています。そういう異次元世界が、私たちの3次元世界のすぐそばにあると考えられるのです」
この2人の発言から、すぐに異次元世界と霊的世界を結びつけて考えるのは飛躍かも知れませんが、大いに想像力を掻き立てられる話だと思います。ただ、私は人類が宇宙から誕生したことを考えれば、高次元宇宙とのチャンネルは、人間の遺伝子の中に組み込まれているはずだと思っています。
【おすすめ度 ★★★】(5つ星評価)
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