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ゆるい感じで。

「スレイヤーズ」のガウリナメインの二次創作ブログサイトです。原作者様、関係者様には一切関係ございません。

邪魔者はいらない。(ガウリナ)

2015-07-11 15:18:25 | スレイヤーズ二次創作
これも短いガウリナ。プライベッターより。

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「リナ」
 名前を呼んでも、彼女は反応しない。

 一度本を読みだすと止まらなくなるリナは、今は小一時間前からずっと一冊の魔道書に没頭していた。その間、ずっと隣にいるのに放っておかれている身としては、そろそろこちらを向いて欲しいわけで。
「りーなー」
「うるさいわね、今いいとこなんだから静かにしててよガウリイ」
 やっと本から顔を上げたリナは、しかし不機嫌そうにこちらを一瞥して、すぐに本の世界に逆戻りだ。
「……」
 ――つまらん。
 まったくもって面白くない。
 しかし、この状態になったリナを、オレにはどうすることも出来ない。
 鉄則。食事中と読書中のリナの邪魔をしていいのは、自分も戦う(主に食事において)意思がある時のみ。
 ……仕方がないので、オレは昼寝でもするかと目を閉じた。


「はぁー、面白かった!」
 しばらく経って。
 ぱたん、と軽く音を立てて本を閉じたリナは、満足そうに伸びをする。それを眺めていたオレは、そんな彼女の次の言葉に呆気にとられた。
「それじゃ次はーっと……」
 そう言うやいなやさっさと立ち上がって、また新しい本を手に選ぼうとする。
「まだ読むのか!?」
「え? イイじゃない別に」
 きょとんとした顔でそう言うリナに、思わず脱力してしまう。
「……」
 何も言わないオレに小首を傾げて見せてから、リナは再びオレから背を向けた。鼻歌交じりに本棚へと向かう。
 本棚に詰まった本から、彼女の目に留まるのはどの一冊か。その手が触れるのはどの本か。……ただの本でも、憎らしい。
 馬鹿馬鹿しい嫉妬心に我ながら苦笑する。

「……リナ」
 名前を呼んで、オレは立ち上がってリナを後ろから抱き留めた。
「わっ、ちょっとガウリイ!?」
 慌てるリナの、本へと伸ばしていた右手を自分の手で包み込む。リナが触れるのは、今はオレの手だけで良い。
「……本ばっか読んでないで、オレにも構えよ」
「何言ってんのよ、ばか」
 低い声の抗議は、しかし少し震えている。
「リナぁ」
「し、仕方ないわね……!」
 諦めたようにそう言った彼女の、真っ赤になった耳やうなじに、オレは嬉しくて頬が緩んだ。
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情報ぞくぞく

2015-07-11 15:14:02 | 趣味
スレイヤーズ25周年記念、原画展。
色々情報が公開されましたね!!!

というか、今日から始まってるんですね。コラボカフェとか、描き下ろしのイラストとか、
色々熱すぎです……!
しかも、ついに『スレイヤーズカフェ』という素晴らしすぎるものが
秋ごろ?出るらしいです!!なんてこった……!!

19日のトークショー、参加する予定なのですが、
そのまえに、平日に一人でふらっと原画展観に行こうかな、と思ってます。
グッズも色々物色したいな!

というか、ここんとこスレイヤーズが熱すぎて、なんか色々やばいです!
こんな供給があるなんて思わなかったよ……!公式ありがとう!!!

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金色の時間(ガウリナ)

2015-07-11 14:34:18 | スレイヤーズ二次創作
短いガウリナです。噂のコースターガウリナから妄想!

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「ガウリーイ、お魚いっぱい釣れたわよ~っ!......って、寝てるし」
 明るい日差しの下、大量のお魚さんを手に意気揚々と川から戻って来たあたしを待っていたのは、木陰でぐうすか寝ているガウリイだった。
 ガウリイは荷物番だったはずなのだが......気持ちよさそうな顔で寝ている彼に呆れてしまう。

 とはいえ。

「──ま、こんなにいい天気じゃー仕方ない、か」
 空を見上げれば、雲一つ無い青で視界を埋め尽くされる。ぽかぽかした陽気は、確かに昼寝にうってつけかもしれない。
 あたしは、そっと仰向けに寝ているガウリイの隣に座り込んだ。顔を近づけて、彼の寝顔をまじまじと覗き込む。
 ──睫毛も金色......ってそりゃそうか。 

「......ん、リナ?」
「あ、起きた」
 小さく唸って目を覚ましたガウリイは、まだ眠いのかとろんとした目をしている。
 覗き込むあたしを見て、彼はにへら、と柔らかく笑った。
「──わっ、ちょっ...何すんのよ!」
 ぐっ、と急に腕を引かれて、ガウリイの上に倒れ込んでしまう。彼の厚い胸板に顔からぶつかった。
 真っ赤になるあたしに構わず、寝ぼけているらしいガウリイは、いつもよりも更にのんびりした声で囁く。
「んん、リナも一緒に寝よーぜ」
「ちょっと!......もう」
 抵抗しようにも、ガウリイの力には適わない。
 結局、彼に抱き枕みたいに抱き寄せられて、あたしは苦笑した。

 ──あーあ、お魚さん、このままだと悪くなっちゃう。
 氷の呪文で冷凍でもしようか、そんなことを考えながら、あたしは視界いっぱいのガウリイから目を離す事が出来ないのだった。


おしまい。

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吊りあがった唇(ゼロシル)

2015-07-03 00:32:32 | スレイヤーズ二次創作
ゼロシルでまた書いちゃいました……。これもぷらいべったーに上げたものを再掲。
苦手な方はバック推奨!

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 彼が来るのはいつも唐突で、そしてあまりありがたくないタイミングに図ったように現れる。それはきっと意図的なのだろう。魔族というものはそういうものだ。彼と知り合ってしまってから、私はそれを痛い程思い知った。
「おやおや、シルフィールさん。お休み中でしたか」
 体調を崩してベッドの上に伏せっている私を見て、彼はわざとらしく驚いてみせた。明るい日差しが窓から差し込む中、彼が現れた途端に部屋の明るさが一段下がった気がする。
 寝間着をはおっただけの、あまりにも無防備な自分に内心歯噛みした。いくら万全な体調で、きちんと装備を整えたところで、この男に敵うわけではないのだけれど。
 圧倒的な力の差。魔族と、人間の差。そんな事は分かっている。それでも、彼に媚びへつらう事など、選びたくはない。

「……ゼロスさん。今日は、何の用でしょう?」
 静かに起き上がり、努めて冷静にそう返した私に目の前の魔族は小さく肩を竦めてみせた。
「冷たいですねえ。少しシルフィールさんの顔を見たいなあと思っただけですよ」
 彼の軽口には、心が揺れる事など無い。そんな事は彼とて分かっているはずなのに、相変わらず、彼は甘ったるい言葉を操る。
「そしたら、まさか昼間から病に伏せっているとは思いませんでしたよ。お加減いかがです?」
 にこにこと、あまりにわざとらしい言葉をかけられて、私は小さく嘆息した。
「……貴方のせいで余計に体調が悪くなった気がします」
「おや、それは残念です」
 彼は小さく眉をひそめて、躊躇いなく私の額に手を伸ばした。
「!?」
 さらりと前髪を掻き分けられて、手袋の上からでも分かる、その冷たい手が私の額に触れる。
「確かに、少し熱があるみたいですねえ。……人間というのは、難儀な生き物ですね」
「な、にを……」
 予想外な彼の行動に、思わず声が上擦ってしまった。不覚にも、少し赤くなってしまったかもしれない。
 そんな私に、彼は顔を思いきり近づけて、至近距離で唇の端を吊り上げた。
 思わず、その唇に目を奪われる。
「貴女は、可愛らしい人ですね」
 口説き文句のようなその台詞に、何も言い返すことは出来なかった。いつもの軽口とは、また違うトーンの言葉。
 甘さなど、欠片も感じさせない冷めた声音。
「僕の事が嫌いなのに、優しくされると無下には出来ない。魔族にも言葉は通じるかもしれない、どこかでそう思っている。とても愚かで哀れです」
「……!」
「ほら。また、僕の言葉で貴女は簡単に傷つく。僕の言葉など無視してしまえば良いものを。……とても美味しいですよ、その負の感情。貴女は確かに愚かで哀れだが、だからこそ愛しい」
 そう言って、魔族はにこりと微笑んだ。
 背筋がぞくりと震える。その「愛しい」という言葉が表すものは、人と人の間にある感情と同じものなのか、それとも『獲物』に対するそれなのか。

「帰ってください」
 震える声で、言葉に出来たのはそれだけだった。
「ええ、そうしましょう」
 特に何の感情も見せずに、彼はそう言った。
 私の額から手を離した彼は、その手で私の髪を弄ぶ。体調を崩したせいで一昨日から清めていない髪は、普段よりも指通りが悪いのだろう。不満そうな顔で手を離して、彼は私から背を向けた。
「……やっぱり、元気な貴女の方が面白いですね」
「ゼロス、さん」
「弱っている貴女では、いじめ甲斐がありませんから」
 最後まで魔族らしい台詞を吐きながら、彼はその場から消えた。

「もう、来なくて良いです」
 溜め息をついて、私はまたベッドに身体を横たえた。もう、会いたくなんかない。その言葉に嘘は無い。
 そのはずなのに。
 彼が再び現れることを、心のどこかで期待してしまっている自分が居ることに、私は頭が痛くなった。

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人肌を求めて(ガウリナ)

2015-07-03 00:28:15 | スレイヤーズ二次創作
めちゃくちゃ久しぶりにガウリナ更新しまっす。ぷらいべったーにあげた奴なのですが……。
これからちょくちょく何かSSあげられれば良いな…!とりあえず、子世代は書けるようになるまで延期ということで(汗

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 人の死というものは、何度経験したって慣れるものではない。

 今日もまた、下級魔族の一匹によって命がひとつ失われた。
 目の前で鋭い爪によって引き裂かれた男は、傭兵になってまだ日が浅いと話していた。
 駆け寄ったあたしの腕の中で、徐々に男の体温が失われていく。
 ガウリイの剣技によって軽々と屠られた魔族もまた、あっけなく息絶え、消えた。

 それを黙って見つめていたあたしは、既に息を引き取った男の亡骸を抱えて顔を伏せる。
「リナ……」
 振り返り、物問いたげに呼びかけて来たガウリイに、何も言わずに首を横に振ってみせる。
 それだけで伝わったらしく、ガウリイは静かに頷いた。
「……そうか」

 すべての終わりはあっけない。あたしだってガウリイだって、何度もあわやという場面に遭遇した。いつ、どちらが死んでもおかしくはない。そんな旅路を続けている。
 そんな事は百も承知である。
 それでも、何故かとても虚しくなった。命のはかなさに、震えそうになる。
「……ガウリイ」
「なんだ?」
「……分かってるつもりなのよ。人がいつか死ぬってぇのは。あたしだって、盗賊を殺したり、何匹も魔族を倒してきた。……それでも、どうしたって慣れないものよね。こうして、目の前で誰かが死んじゃうっていうのは、さ」
 以前、短い間共に旅した二人のトレジャー・ハンターを思い出した。今目の前で息絶えた男は、二人程親しくなったわけではないし、今日初めて会ったばかりの、ほとんど他人だ。
 それでも、彼が笑顔でガウリイと交わした会話も、あたしに分けてくれた水も、きっとずっと忘れることなんか出来ない。

「リナ」
 名前を呼ばれると同時に、右手に温かい何かが触れた。ガウリイの手だ。
「良いんじゃないか? 慣れちまったら、きっとおかしくなっちまう。慣れないから、命を大切に出来る」
 そう言って、彼はあたしの手をぎゅっと握った。その優しい熱で、あたしの中で冷え切っていた何かが少し溶けだしたような気がした。
「……ん、そうだね」
「な。そいつ、近くの教会まで運んでやろうぜ」
 教会なら、きちんと墓を作ってくれるだろう。祈りの言葉だって必要だ。
 人の命はあっけなく消えるけれど、それでも、生きていた証は必ず残る。彼の持っていた熱も、失われる瞬間まで、確かにあたしの腕の中にあった。その残滓が残っている。


 彼を近くの教会まで運び、きちんと埋葬してもらってから、あたしとガウリイは近くの宿まで歩き始めた。
「ね、ガウリイ」
「ん?」
「腕、組んでも良い?」
 珍しいあたしの提案に、ガウリイは少し躊躇った。
「……良いけど、お前さんも汚れちまうぞ?」
 彼は男の埋葬作業を手伝っていたし、魔族との戦闘の余波か少なからず血で汚れていた。その血は彼の血でもあり、亡くなった男の血でもある。
「良いの」
 構わず、ガウリイの腕にしがみついた。
 今のあたしには、彼の人肌が必要だった。温かくて優しくて、涙が出そうになる、ガウリイの人肌が。

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