これも短いガウリナ。プライベッターより。
-------------------------------------------
「リナ」
名前を呼んでも、彼女は反応しない。
一度本を読みだすと止まらなくなるリナは、今は小一時間前からずっと一冊の魔道書に没頭していた。その間、ずっと隣にいるのに放っておかれている身としては、そろそろこちらを向いて欲しいわけで。
「りーなー」
「うるさいわね、今いいとこなんだから静かにしててよガウリイ」
やっと本から顔を上げたリナは、しかし不機嫌そうにこちらを一瞥して、すぐに本の世界に逆戻りだ。
「……」
――つまらん。
まったくもって面白くない。
しかし、この状態になったリナを、オレにはどうすることも出来ない。
鉄則。食事中と読書中のリナの邪魔をしていいのは、自分も戦う(主に食事において)意思がある時のみ。
……仕方がないので、オレは昼寝でもするかと目を閉じた。
「はぁー、面白かった!」
しばらく経って。
ぱたん、と軽く音を立てて本を閉じたリナは、満足そうに伸びをする。それを眺めていたオレは、そんな彼女の次の言葉に呆気にとられた。
「それじゃ次はーっと……」
そう言うやいなやさっさと立ち上がって、また新しい本を手に選ぼうとする。
「まだ読むのか!?」
「え? イイじゃない別に」
きょとんとした顔でそう言うリナに、思わず脱力してしまう。
「……」
何も言わないオレに小首を傾げて見せてから、リナは再びオレから背を向けた。鼻歌交じりに本棚へと向かう。
本棚に詰まった本から、彼女の目に留まるのはどの一冊か。その手が触れるのはどの本か。……ただの本でも、憎らしい。
馬鹿馬鹿しい嫉妬心に我ながら苦笑する。
「……リナ」
名前を呼んで、オレは立ち上がってリナを後ろから抱き留めた。
「わっ、ちょっとガウリイ!?」
慌てるリナの、本へと伸ばしていた右手を自分の手で包み込む。リナが触れるのは、今はオレの手だけで良い。
「……本ばっか読んでないで、オレにも構えよ」
「何言ってんのよ、ばか」
低い声の抗議は、しかし少し震えている。
「リナぁ」
「し、仕方ないわね……!」
諦めたようにそう言った彼女の、真っ赤になった耳やうなじに、オレは嬉しくて頬が緩んだ。
-------------------------------------------
「リナ」
名前を呼んでも、彼女は反応しない。
一度本を読みだすと止まらなくなるリナは、今は小一時間前からずっと一冊の魔道書に没頭していた。その間、ずっと隣にいるのに放っておかれている身としては、そろそろこちらを向いて欲しいわけで。
「りーなー」
「うるさいわね、今いいとこなんだから静かにしててよガウリイ」
やっと本から顔を上げたリナは、しかし不機嫌そうにこちらを一瞥して、すぐに本の世界に逆戻りだ。
「……」
――つまらん。
まったくもって面白くない。
しかし、この状態になったリナを、オレにはどうすることも出来ない。
鉄則。食事中と読書中のリナの邪魔をしていいのは、自分も戦う(主に食事において)意思がある時のみ。
……仕方がないので、オレは昼寝でもするかと目を閉じた。
「はぁー、面白かった!」
しばらく経って。
ぱたん、と軽く音を立てて本を閉じたリナは、満足そうに伸びをする。それを眺めていたオレは、そんな彼女の次の言葉に呆気にとられた。
「それじゃ次はーっと……」
そう言うやいなやさっさと立ち上がって、また新しい本を手に選ぼうとする。
「まだ読むのか!?」
「え? イイじゃない別に」
きょとんとした顔でそう言うリナに、思わず脱力してしまう。
「……」
何も言わないオレに小首を傾げて見せてから、リナは再びオレから背を向けた。鼻歌交じりに本棚へと向かう。
本棚に詰まった本から、彼女の目に留まるのはどの一冊か。その手が触れるのはどの本か。……ただの本でも、憎らしい。
馬鹿馬鹿しい嫉妬心に我ながら苦笑する。
「……リナ」
名前を呼んで、オレは立ち上がってリナを後ろから抱き留めた。
「わっ、ちょっとガウリイ!?」
慌てるリナの、本へと伸ばしていた右手を自分の手で包み込む。リナが触れるのは、今はオレの手だけで良い。
「……本ばっか読んでないで、オレにも構えよ」
「何言ってんのよ、ばか」
低い声の抗議は、しかし少し震えている。
「リナぁ」
「し、仕方ないわね……!」
諦めたようにそう言った彼女の、真っ赤になった耳やうなじに、オレは嬉しくて頬が緩んだ。