前回の続きです(`・ω・´)
この話はこれでおしまいでっす。
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マルクが去った後、残されたあたしたちはしばらく黙って立っていた。
「もしもう一度狙って来たら...それこそ正々堂々倒してやるさ」
ぽつり、と呟かれたガウリイの独り言が、小さく蔵内に響く。あたしは何も聞かなかったフリをした。
首筋のあたりが痛い。剣を押し付けられた時の傷だ。あたしは小さく『治癒(リカバリィ)』の呪文を唱え始めた。
ガウリイはそんなあたしの手を引いて、外へ連れ出す。そういえばここは盗賊の根倉なのだ。残党がいないとも限らない。
あたしが刀傷を治し、しばらく歩いて森を抜けた辺りでガウリイが立ち止まった。
「...リナ」
ガウリイは複雑な顔をしていた。
盗賊いじめに失敗してほいほい捕まったあたしを怒りたいのか、それとも自分への復讐劇にあたしを巻き込んだ事を謝りたいのか...たぶんどっちもだろう。
だからあたしは、ガウリイが何か言う前に口を開いた。
「ありがとね...ガウリイなら、助けてくれるって信じてた」
ちょっぴり照れ臭いので視線を逸らしつつ頬をかく。
「......」
──ガウリイは、何も言わずにあたしをがばりっと抱き締めた。
...力が強くてちょっと痛い。彼のブレスト・プレートに頬を押し付けられる。文句を言おうかと思ったけど、背中に回された手が小さく震えているのに気が付いて、あたしは何も言わなかった。
「無事で良かった...」
「...ごめん。心配かけたね」
「リナが、オレのせいで、殺されるかと...」
押し殺した声が、彼の苦しさを伝えている。
「あんたのせいじゃない。あたしが盗賊いぢめに失敗しただけ...それだけなんだから、謝ったりしないでよ、ガウリイ」
あたしはそれ以上何も言わせない、とばかり彼の背中をばし、と叩いた。
──何しろ、あたしのせいでガウリイが危ない目に遭うことなんてしょっちゅうなのだから...自慢じゃないけど。
「帰ろ。ガウリイ」
「──ああ」
あたしが笑って見せれば、ガウリイもやっといつもの笑顔を見せる。...ちょっとだけ、ほっとした。
「あのさ」
「ん?」
「盗賊いじめするときは、もうちょい気を付けることにする」
「...をい」
あたしのしゅしょーな発言にも関わらず、ガウリイがジト目で睨んでくる。
「だ、だって!これはあたしの生き甲斐とゆーか自然な欲求とゆーかっ」
「....リナ」
「..わ、分かったわよ!しばらくやんない!頻度減らす!それで良い!?」
ぷい、と横を向くと、頭をわしゃわしゃかき混ぜられる。
「それでこそリナだ」
見上げたあたしに微笑みかける、彼の笑顔が今まで見たことない程優しくて。あたしは、少し頬が熱くなるのを感じたのだった。
終わり
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ちょっと最後ぐだりましたが。おしまい!
題名は「過去との繋がり」を意識しました。
この話はこれでおしまいでっす。
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マルクが去った後、残されたあたしたちはしばらく黙って立っていた。
「もしもう一度狙って来たら...それこそ正々堂々倒してやるさ」
ぽつり、と呟かれたガウリイの独り言が、小さく蔵内に響く。あたしは何も聞かなかったフリをした。
首筋のあたりが痛い。剣を押し付けられた時の傷だ。あたしは小さく『治癒(リカバリィ)』の呪文を唱え始めた。
ガウリイはそんなあたしの手を引いて、外へ連れ出す。そういえばここは盗賊の根倉なのだ。残党がいないとも限らない。
あたしが刀傷を治し、しばらく歩いて森を抜けた辺りでガウリイが立ち止まった。
「...リナ」
ガウリイは複雑な顔をしていた。
盗賊いじめに失敗してほいほい捕まったあたしを怒りたいのか、それとも自分への復讐劇にあたしを巻き込んだ事を謝りたいのか...たぶんどっちもだろう。
だからあたしは、ガウリイが何か言う前に口を開いた。
「ありがとね...ガウリイなら、助けてくれるって信じてた」
ちょっぴり照れ臭いので視線を逸らしつつ頬をかく。
「......」
──ガウリイは、何も言わずにあたしをがばりっと抱き締めた。
...力が強くてちょっと痛い。彼のブレスト・プレートに頬を押し付けられる。文句を言おうかと思ったけど、背中に回された手が小さく震えているのに気が付いて、あたしは何も言わなかった。
「無事で良かった...」
「...ごめん。心配かけたね」
「リナが、オレのせいで、殺されるかと...」
押し殺した声が、彼の苦しさを伝えている。
「あんたのせいじゃない。あたしが盗賊いぢめに失敗しただけ...それだけなんだから、謝ったりしないでよ、ガウリイ」
あたしはそれ以上何も言わせない、とばかり彼の背中をばし、と叩いた。
──何しろ、あたしのせいでガウリイが危ない目に遭うことなんてしょっちゅうなのだから...自慢じゃないけど。
「帰ろ。ガウリイ」
「──ああ」
あたしが笑って見せれば、ガウリイもやっといつもの笑顔を見せる。...ちょっとだけ、ほっとした。
「あのさ」
「ん?」
「盗賊いじめするときは、もうちょい気を付けることにする」
「...をい」
あたしのしゅしょーな発言にも関わらず、ガウリイがジト目で睨んでくる。
「だ、だって!これはあたしの生き甲斐とゆーか自然な欲求とゆーかっ」
「....リナ」
「..わ、分かったわよ!しばらくやんない!頻度減らす!それで良い!?」
ぷい、と横を向くと、頭をわしゃわしゃかき混ぜられる。
「それでこそリナだ」
見上げたあたしに微笑みかける、彼の笑顔が今まで見たことない程優しくて。あたしは、少し頬が熱くなるのを感じたのだった。
終わり
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ちょっと最後ぐだりましたが。おしまい!
題名は「過去との繋がり」を意識しました。
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