どんな子どもにも幸福を求め、自分自身の人格や能力を発達させることを求める権利があります。
日本政府が子どもの権利条約を批准してから16年が経っています。5年ごとにその実施状況を審査している国連子どもの権利委員会が日本政府に対する最終所見を5月に発表しています。その最終所見は、日本の子どもの権利の各分野にわたる懸念や勧告を91節に及ぶものとなっています。
過去2回にわたって、「高度に競争的で子どもの発達にゆがみをもたらしている」と指摘された教育制度については、「子どもの数が減少しているにもかかわらず、過度な競争への不満が増加し続けている」「高度に競争主義的な学校環境が、いじめ、精神的障害、不登校・登校拒否、中退および自殺に寄与している」という、これまで以上に厳しい懸念が表明されました。また、新しく指摘されたのが、「驚くべき数の子どもが情緒的幸福度の低さを訴えている」ことです。2007年の国連児童基金の子どもの幸福度調査では、日本の子どもの29.8%が「孤独感」を訴え、OECD加盟国平均7%を大きく上回っています。なぜ幸福だと感じられないのかについては、「その決定要因が子どもと親、および子どもと教師との間の関係の貧困さにある」としています。国連子どもの権利委員会の最終所見は、こうした「人間関係の貧困」の背景に、親や教師、子どもに接する大人の困難があることも指摘し、その変更を勧告しています。
日本は勧告を受けているにもかかわらず、改善どころか、深刻さを増しています。
条例の制定までの検討を中心とする委員会を設置する条例ですが、その過程においても様々な議論をしていただくためのものです。いくつか例をあげれば、「権利は義務を伴うものであり、義務や責任を果たせない未熟な子どもに権利を与える必要ないのでは」や「条例ができたら、子どもが権利を主張して、保護者のしつけや教育がしづらくなるのでは」といった意見もあると思います。
前者で言えば、子どもの権利は、暴力や虐待からの保護、発達する権利であり、子どもが健やかに成長するために欠かすことのできない人権であり、何らかの義務を果たすことの見返りに与えられるものではありません。社会で守るべき決まりや道徳を身につけることは重要であり、保護者は、子どもの発達に応じて適切な指示、指導を行う責任と権利があります。
後者についても、子育ての第一義的責任は保護者にあります。保護者には子どもを監護し、教育する権利と義務があります。子どもが間違った権利を主張した場合には、当然、子どもに間違いであることを教える必要があります。「こうした様々な意見や疑問など出し合い、千葉市において、子どもの最善の利益を保障するために、子どもの権利条例制定に向けた検討を」と提案しました。教育未来委員会でも同様の議論がされたようです。
結果は、日本共産党と市民ネット6人のうち5人の賛成で、否決にはなりました。
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