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日本語教師ブラジル奮闘記

ブラジル生活裏話

公務員受験ブームに沸くブラジル

2009年12月06日 07時22分42秒 | ブラジル事情
 ブラジルは経済が好調であるが、ここ数年公務員試験(Concurso)ブームである。一方、日本は不景気になると、公務員人気が高まる。

 日本とブラジルの公務員試験の大きな違いは、年齢制限がないこと、試験が毎年実施されないこと、高卒資格しか必要ない試験に大卒者でも受験できることである。

 公務員と言うと、給料が安く、仕事もつまらないというイメージがつきまとうが、ブラジルの場合少し事情が違う。給料の平均水準を取ると、一般企業よりもかなり高いそうだ。しかも、解雇の心配がないため、安定性に関しては抜群なのである。

 そして、ここ数年はブラジルの好調な経済発展を反映してか、連邦政府も州政府も公務員試験を頻繁に行っている。しかも、その給与水準は以前よりもさらに高いものを提示しているため、民間企業の優秀な社員たちの公的機関への転職を促進している。

 上述したように、公務員試験の受験資格において、学歴の制限はあるが、年齢制限がないため、ブラジル国籍の者であれば、誰でも受験できる。だから、魅力的な給料と安定性に惹かれた者は、受験意欲さえ旺盛であれば、年齢に関係なく受験し、合格した者は40代であろうが、50代であろうが公務に就いているのだ。

 日本は年齢を重視する上下関係の厳しい縦社会であるため、たとえ受験の年齢制限を取り払って、実際に高齢で試験に合格して公務についても、上司がすべて年下になり、かなり難しい立ち回りが必要とされるだろう。

 しかも、日本の公務員の給料体系は、初任給がかなり安く設定され、労働年数とともに徐々に上がっていくため、ある程度の年齢に達した民間のサラリーマンが給料の額が少ない公務員試験をわざわざ受けるメリットは全くないと言える。

 ブラジル人は基本的に周囲の人の年齢を気にしない。大学には20代後半や30代の人も多く、それ以上の年代の人もいる。小中高でも、重要なのはその人の個性や能力であり、年齢の上下は重要ではない。ある意味実力主義なのである。

 思い立ったが吉日。勉強しよう、働こう、転職しようと思ったら、いつでもできる。いつでも人生はやり直せる。いつからでも夢に向かって挑戦できるという考え方をブラジル人は持っている。

 もちろん、年齢が高くなってから始めるのはリスクは大きいし、より大きな困難を伴うことは間違いない。でも、不可能ではないのだ。勉強は本人の自主性に負かされているため、要は本人がやる気を出すかどうかだけの問題なのである。

 でも、そういう国民性であるが故に、国全体として勉強熱心な人は少ない印象を僕は受ける。特に若者などはやる気がなく、勉強しない人が多い。だからこそ、社会に出て苦労し、勉強の大切さを身にしみた大人たちが大学出たての若者と公務員試験で競い合っても勝てる余地があるのだ。その辺は日本の事情と大きく違う点だと思う。

 ただ、給料が高くて魅力的であるから、公務員になるというのはいかがなものかと思う。公務員の仕事内容に自分が実現したい仕事があると言うのであれば、是が非でも転職すべきだが、お金だけを目的とすると、実際に職務についた後に後悔することになるだろう。

 さらに、僕自身は公務員の人数を一気に増やすのは反対だ。ブラジル政府は高給の公務員試験を頻繁に実施しているが、公務員はリストラだとか言って解雇できないし、年齢とともに給料が上がっていく体系であるため、将来の世代に大きな負担を負わせることになる。

 高度経済成長で国が急速に発展し、毎年多くの税収が国庫に見込める時代はいいだろう。しかし、日本での前例を見れば分かるように、国自体が成熟して、低成長時代に突入して、増収が期待できない時代になると、公務員が多ければ多いほど、国の経済は小回りが効かなくなり、立ち行かなくなる。

 だから、公務として国が責任を持つ部門は最低限に留め、もっと民間の活力に頼って国を成長させていくべきだ。さらに言えば、民間に優秀な人材が少なくなれば、企業活動は弱体化し、ひいては国自体の衰退を引き起こしかねない。ブラジル政府はそのことを念頭に入れた上で、公務員試験を実施していく必要があるのではないだろうか。
 
 

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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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生活費 (たんぽぽ)
2011-03-30 03:18:26
市の教師で月給約900レアル、家賃420レアル(水道代込み)。残り約500レアルでMGで生活するにはどうなんでしょうか?
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お返事 (たけちん)
2011-03-30 03:28:06
かなり厳しいと思います。
食事代を削りに削って、もう何もできない状態かと思います。
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