(熊日19.5.9 わたしを語る)
田辺恭一さんは、飄々としていてどこか仙人のような風情を帯びている。
ご本人も、体がふわふわと遊離しているような感じを受けるらしく、ビルをでようとしたところ、自動ドアが反応せず、「あれっ」と慌ててしまい、何度も床を足で踏んだそうだ。
大正7年、当時熊本で一番賑やかな川端町で生まれた。
小学校・中学校の絵の先生をしておられ、古い町並みを愛し、「辻の絵師」と呼ばと呼ばれた。
私はたびたび絵の展覧会で、田辺先生の絵は見せていただいた。
田辺さんの描かれる「ふるい町並み」の絵には、家並みのほかに、よく「けやき」の木も描かれていた。
画面いっぱいに小枝が微細に描かれているのは独特である。看板や小さいものも描かれていた。
会場には先来の背が高く飄々としたお姿があった。
お年が、私と一緒とは意外。私も大7年生まれ。
風格ある先生は先輩と思っていた。
ただ、「ふわふわ」は一緒のようだ。
私も足元が怪しい。階段は手すりなしには苦手だ。
(絵 : ブーゲンベリア)