モスクワ音楽院 留学サポート

世界3大音楽院の一つ、モスクワ音楽院 長期・短期留学をサポート致します。http://music.yourij.net/

こんな時だからこそ「美」が大事

2010年02月11日 19時33分10秒 | アート
尾形光琳の「国宝 紅白梅図屏風」が梅の季節に合わせて3月8日まで展示されているので先週末MOA美術館へ行ってまいりました。紅白梅図屏風は真に素晴らしく、しばし座って鑑賞。この紅白梅図屏風だけではなくMOA美術館所蔵の名品展でもあり他の所蔵美術品も見られたのですが、これらが又すごい。国宝、重要文化財のオンパレードは息をもつかせぬボリュームです。
所蔵品の素晴らしさに加えてMOA美術館自体も素晴らしい建築、ごみひとつも落ちていない完璧さで鑑賞者を迎え入れてくれます。これだけのレベルを維持するにも相当の人件費と思うのですが、職員の大部分の方が信者さん達と聞いた事があります。お金ではなく「奉仕させていただく喜び」を感じながら働いていると。手入れが行き届いている内部外部を見ていると「これは喜んで働かなければ出せない完璧さ」と納得するばかり。
絵ではなく現実の紅梅と白梅を見ながら庭園の花の茶屋でおしるこを頂き(これがまた美味しい!)、遠くに海を見て・・・道中の桜もちらほら咲いていて素晴らしい時間を過ごしました。
昨日はBunkamuraで「金子国義展」。10代からファンで画集も数冊持っていますが、原画を直接見るのはまた格別。
尾形光琳の作品の美しさとは違うベクトルですが「美」であることに変わりなく、これらの美に触れられることの幸せをかみしめていた今週の私。

現実世界では山本病院の医師たちによるずさん手術で患者さんが亡くなるという痛ましい事件が起きて憂鬱になりがちですが、こんな時こそ美を愛でることが私には大事なことなのです。

チャイコフスキー国際コンクール 

2010年02月01日 14時50分13秒 | 音楽
先日購入した中村 紘子著「チャイコフスキー・コンクール―ピアニストが聴く時代」を読む。実を言うと期待してなかったこの本が実に面白い!旧ソ連時代のチャイコフスキーコンクールの審査員であった中村女史でなければ描けない&入手できない膨大な情報+裏話。西洋クラシックの歴史やロシアや日本での西洋音楽の成り立ち、現在のアマチュア・ピアニストの氾濫に対する思い、また日本人独特の演奏様式等々、読んでいて「へぇ~」や「やっぱり!」苦笑する場面も少なくなく、音楽を知らない方でも面白く読むことが出来るのでは?と思います。
またモスクワ音楽院にも時々赴く私には場面がリアルに思い浮かべられて、ロシアをご存知の方も懐かしく思われるでしょう。何よりも弊社が短期留学をサポートする生徒さんを多く指導してくださるイリーナ・プロトニコワIrina Plotnikovaが第8回チャイコフスキー国際コンクールで第3位に輝く経緯など、本人を知っていると尚 面白さが増します。
なぜロシアがクラシック界で燦然と輝いているのか、その理由も専門家ならではの知識と解析力で、しかも読み物として面白く読ませる中村女史の文筆力には脱帽いたしました。

チャイコフスキー・コンクール出場を目指す方はもちろん、音楽、芸術、ロシア、ヨーロッパを愛する方にお勧めしたい本です。