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koumei blog

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村上信夫さん

2006-04-15 02:33:00 | レビュー
最近読んだ,
フランス料理シェフ村上信夫さんの本に素敵な話がありました.

「"鍋"洗いの日々」という話.

村上さんが帝国ホテルに入りたての頃,
当然最初は鍋屋と呼ばれる皿洗いに配属.
フライパンに残った味を舐めて味を盗めると期待したが,
実際は甘くなかった.
先輩たちは味を盗まれまいと,
フライパンにわざと洗剤をぶちまけて渡したそうだ。

当時は腕だけが給料を決めてた時代,
先輩も味を盗まれまいと必死だった.

そこで村上さんがとった行動がおもしろい.
文句も言わず,ひたすらに鍋を磨いたそうだ.
厨房の200近くある重たく油汚れがこびりついた銅鍋
2ヶ月間,休憩時間にひたすら磨きピカピカにしたそうだ.
休みたいのを我慢して.
まさに「鍋洗いの日々」

ある時,親方が
「最近ピカピカになった鍋が多いな~」
「鍋屋の村上が磨いてるらしいですよ」
「そうか,あいつはなかなか料理の心がわかっとるな!」

この後,味が残ったフライパンが村上さんの所にくるようになったそうです。


心が熱くなりました.
自分なら味を習得できないのは先輩のせいだと思っちゃいますね.
自分で状況を好転させる姿勢は素晴らしいと思いました.


村上さんはフランス料理のシェフで,
帝国ホテルの総料理長を務めた方

大正十年生まれで,幼くして両親を亡くされ小学校を卒業後,働きはじめ、関東大震災,第二次世界大戦,シベリア抑留と何度も死線をくぐられた.

小卒ながら,独学でフランス語を勉強し,フランス料理を習得.
東京オリンピック選手村食堂の料理長を務め,
ついには帝国ホテルの総料理長までのぼりつめた.

この人の半生をつづった本,読むと元気が出てきます.
上記のような逸話が盛りだくさんです.
「勉強する」とはどういうことかを学びました.
値段も手頃でオススメです.

「帝国ホテル厨房物語」
 私の履歴書 村上信夫 
  日経ビジネス人文庫
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