全ての物のなかに美は存在する、しかし同じ焼き物であっても、ご飯茶碗や湯飲みは実用品であって美術品ではないだが100年以上経った古い物であったり、もともと茶道具の茶碗は美術工芸品として作られ評価される。
ところで、ほめたたえて言う言葉の呼び名で美称(びしょう)といった言葉がある。
人間がものや物事へ対しての呼び名をつけて言う事である。
自然の美や人の手からなる美術品と工芸品、美とは色々のものの中にあり、主体となる人間がそれを美と認識する事で成り立つ。(そしてこの美の基準は個々人や、時代によって変わっていくものではあるが)
作られたものの中の美。美と意識して作るものと、意識せずに美となるものがある。
それはそれとして、TVをみていると「ジキルとハイド」の番組でJR東などで使われている、SUICAの読みとりセンサー部分の傾けられた角度13度が人間工学上から作られた傑作であるのと話が番組中にあった。
そして人間工学といった言葉で連想するものに工業デザインがある。
気になって辞書で調べてみる。
インダストリアルデザイン=工業デザイン、使いやすさと美しさの面から施されるデザイン。
デザインは一般的には図案・模様を指す事が多いが、他に下絵、意匠・計画の意味を持つ。
一方人間工学、機械や工具を、使いやすく・作業を効率化するために人間の解剖学・生理学心理学的特製に適合させる事を研究する科学をさす、とのことが辞書で調べた内容。
よく言われているが、ある種の実用品には美しさがある。
これに関連して思い起こすもうひとつの言葉に、機能美がある。
機能的とは、ものの働きが十分に有効的に発揮する様子。
機能美との言葉があるように、実用品の備える機能的な働きが、一種の美術品の要素を備える。
たとえば日本刀の機能美や工芸美、人の努力から生まれたものや、洗練された実用品には美しさが発生するようだ。
またICチップの顕微鏡拡大図での模様やエジプトのピラミッドの並んだ様子にも、そして仏教の曼陀羅図にもそれなりの美がある、最近ではグーグルアースのような衛星から見た地球上の様子にもある種の美だ。
また人工物の代表のダムや高層ビルの街に人工品の美があるように、植物や昆虫や動物や田舎の風景や自然には、自然美がある。
そしてその美への感じ方は人によってまた年代によって違う、同じ人間であっても大人と子供でも異なることも多い。
美とは、川の中で石ころが磨かれて角が取れ、玉のような様子に変わって行くようなものだと思う。
磨かれていく中で、残った物の中から美を人間が発見する、大人にとってはただの石でも、子供にとっては宝物となる様な川辺の石があるように。
美とは人がものや、事柄のなかから発見するものである。