漫画家アシスタント物語 1~3章 22年改訂版 

ブログ「漫画家アシスタント物語」の第1章から第3章までをまとめました。 初めての方は、どうぞこちらから!

漫画家アシスタント第1章 その6(縮小版)

2005年05月04日 20時58分53秒 | 漫画家
  ( この写真は、東京目白通りぞいにあるうなぎ割烹『О』である。《2004年12月撮影》)  


【 はじめての方は、どうぞ 「漫画家アシスタント 第1章 その1(縮小版)」 よりご覧ください。】



                        その6.............................'04 12月29日 7時15分 (公開)


春の夜。(1978年) 緊張から安堵へ・・・。

「メシでも食うか・・・?」の一言で救われた気分。漫画家J先生のこの言葉で、『何とかなるかも・・・』
と、希望がつながった思いでした。


JR線目白駅から10分ほどの所にある、うなぎ割烹"O"へ。
 
J先生、Y淳二氏(有名なスポーツライター、『○夏の21球』etc・・・惜しい事に若くして亡くなられました)、
そして私の3人。 

高そうなお店で、美味いはずなのに、緊張のため鰻を食ってるんだか、蛇を食ってるんだか分らない
・・・・・。ただ、この時の会話を今でもはっきり覚えています。 

 (26年前のこの時の・・・!)


  J先生とY氏との対話に、私なんぞの入り込む余地は無く、ただ黙っていました。鰻をご馳走に
  なり、アシスタントにも使ってくれそうな(十分スタッフはそろっているのに)感じだった・・・。

  黙っている私に、Y氏が話しかけてくれた・・・(私に気を使って下さっているんだと思っていた・・・)

  Y氏、クールに・・・
  「いつ頃、プロになるんですか?」

  「・・・ア・・・アシスタントを2,3年やってから・・・・・」

  Y氏、表情一つ変えずに・・・
  「2,3年やって、ダメだったら・・・?」

  「また、2,3年アシスタントを・・・・・」

  Y氏、機械の様に・・・
  「それでも、まだダメだったら・・・?」

  くどい質問だなァと、少し不快に・・・
  「また、2,3年・・・・・」

  Y氏、冷淡に・・・
  「それでもダメなら・・・?」

  私に選択の余地は無い
  「ま・・・また、2,3年・・・・・」

  Y氏のクールな顔が怖い・・・
  「それでもダメなら・・・?」

  なぜ、こんな質問をされるのか、訳が分らなくなりながら・・・
  「ま・・・また・・・に・・・2、3・・・年・・・・」私の声が、小さくなって聞き取れない。

  Y氏、ため息をつきながら
  「最近の若い人達って、考えないんですよねェ・・・」



  しばらく間があって・・・
   
  J先生、薄笑いを浮かべながら私の顔を見て・・・。
  「おみ~は、『歩』だなァ・・・」 指で将棋を指すしぐさをしつつ
 
  「・・・・・」 何とも答えようが無い私。

  J先生つづけて曰く 
  「一歩一歩、ノロノロと進んで、敵の餌食になる・・・・・ だが・・・ 相当、努力して、運も良け
   りゃあ『金』に成る!・・・・・・・・・・・・かもなァ。」

  「・・・・・」 何とも答えようが無い私。

  Y氏が、面白そうに入り込んでくる。
  「先生、僕は何でしょうか?」

  J先生、すかさず・・・
  「おみ~は、『銀』だなァ!」

  Y氏、まんざらでもなさそうな顔をしつつ
  「僕は、『香車』じゃないかって思ってたんですが・・・」

  J先生、一つうなずき低い声で  
  「違いますねェ。おみ~は、『香車』じゃねェーよ・・・ オレだよ、オレが『香車』だよ・・・」

  Y氏、力を込めて・・・
  「違いますよぉ・・・先生は、『王将』でしょう!?」(笑い)

  J先生、笑いながら
  「おお・・・? 『王将』は困りますねェ、・・・狙われちゃうからねェ!」(笑い)

  J先生、Y氏、二人笑っている。 私は笑えない。

  私は・・・
  「・・・・・・・・・・・・」 一生懸命 顔を歪めている。



                         「漫画家アシスタント 第1章 その7」 へつづく・・・
 

 ★ 「漫画家アシスタント 第1章 その7」以降は『あらすじ(縮小版)』になります。








【 各章案内 】  「第1章 その1」  「第2章 その1」  「第3章 その1」
          「第4章 その1」  「第5章 その1」  「第6章 その1」
          「第7章 その1」  「第8章 その1」  「第9章 その1」
          「諦めま章 その1」  「古い話で章 その1」
          ( 但し、第1~3章は『縮小版』になります )




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漫画家アシスタント第1章 その2(縮小版)

2005年04月29日 18時17分21秒 | 漫画家
  ( この写真は、東京、目白の某マンション、Aプロのドアである。)  



                    その2...............................'04 11月30日 2時53分 (公開)



ブザーの壊れたドアーの向こうに「J・Aプロ」がある。

最近・・・ いや、昔(26年前)から仕事がヒマで、誰言うとなくこの部屋は「常時空き家」など
と、噂されている・・・・・・。

J・Aといっても、若い方にはピンと来ないかもしれないので、私より、まず始めに、我が師
匠、漫画家J・Aについて語ります・・・・・。



                        「漫画家アシスタント 第1章 その3」 へつづく


 




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