TaizanのWhite Mountain

北部白山管理人&中宮温泉くろゆり館主がお届けする白山情報満載!

中宮道 シナノキ平

2023-05-13 | 白山情報

中宮道は中宮温泉登山口から室堂まで20㎞という白山の登山道では最長距離を誇る。その行程はいくつもの峰を越えたり巻いたりしていて地形も非常に複雑で、残雪期にはガスに覆われるとルートを見失う危険性が非常に高い。近年はGPSが有り安易に考えるが、数メートルの誤差程度の精度では雪庇を踏み抜いたり安心ではない。特に濃霧の時は要注意だ。

急な清浄坂を登り切ると「馬のせご」に出る、ここでようやく山頂部が見え始め景色は一転する。白山の北斜面にはまだまだ大量の雪が残っている。

湯谷頭の巻き道の途中、岩間道「薬師山2023m」がよく見える。みずみずしい新緑と白い山頂部。青天の空と谷筋を吹き上げてくる風に清涼感は満点だ。

シナノキ平避難小屋から先は、残雪がべったり残っている。

この避難小屋は老朽化が著しく補修もままならないが、長丁場の中宮道には必要な存在である。昨年も老夫婦がこの避難小屋のおかげで救われた。

奥には笈ヶ岳が見えている。今年のGWは残雪が少なく笈ヶ岳登頂が容易ではなかった。雪の安定して残っている年に期待したい。

 


羊蹄山滑降

2023-04-20 | 日記

長年の念願だった羊蹄山滑降。3月の高温で本州の山々はどんどん雪が消えてしまい、4月は北海道に残雪を求めるしか無かった。そんな折、千載一遇のチャンスで羊蹄山滑降の企画が舞い込み便乗した。しかし、前の週は異常な量の黄砂に覆われ、北海道の山々とはいえ、すっかり茶色くなってしまった。ところが、その直後に季節外れの寒波が訪れ、日本海フェーリーが定刻より2時間遅れという大シケの中小樽に上陸した。久しぶりに雪道を走り、晴天予報の翌日に備えた。

茶色かった山は厳冬期の姿に逆戻り。長年の念願であった羊蹄山滑降を果たすことが出来た。足元に広がる北の大地に飛び込むような高度感は独立峰ならではの醍醐味だった。

  


薬師山(2023m)と小桜平避難小屋

2023-04-11 | 白山情報

2023年と同じ標高の薬師山からの眺望と、小桜平避難小屋の点検を行った。薬師山は北側に笈ヶ岳や大笠山、雄大な北部白山、遠くには北ア、眼下には荒々しい千尋の谷からそびえ立つ、火の御子が眺められる絶好のビューポイントだ。

今年の山、登頂後は樅ヶ丘付近まで登り上げ、小桜平避難小屋へと向かう。一昨日の降雪が滑りやすいパウダースノーで残っていた。

積雪は例年のGWあたりよりやや少ない感じだった。損傷は何も無く、内部も秋に清掃したそのままで綺麗に保たれていた。今年は北アの山小屋やテント場が大きく値上がりしたので、無料で使用できる、北部白山の各避難小屋が賑わうのでは無いかと予想するが、皆さんのご協力の下、引き続きゴミの持ち帰りや清掃などお願いしたい。

 

 


今年の春山の傾向

2023-04-01 | 日記

4/1の室堂と別山

今年の冬を振り返ると、クリスマス寒波に見舞われたものの、その後1月は暖かく雨も多かった。標高の低い地域では融雪が進んだ。1月下旬から2月は再び積雪も増え始めたが3月は一転して高温が続き、山麓地域のスキー場は少雪に悩まされた。4/1時点で市ノ瀬では軒下以外駐車場の雪は殆ど消えていた。

別当出合へは猿壁上付近までは所々アスファルトが見え始めていた。

別当出合では積雪1.5mくらいで今年は雪崩も発生していなかった。

甚之助避難小屋から上は、南竜、室堂ともGW辺りの積雪量だろう。総じて残雪量が少ないので、GW期間には更に残雪範囲は狭まっているだろう。


山の法話23 八大人覚(はちだいにんがく)

2023-03-06 | 山の法話

先日、夕日に紅く染まる白山の写真を撮りたいと思い立ち加越国境の山に出かけました。

夕日が西に沈みかけると最後の輝きを放つかのように、白山が紅く染まり、辺りは一気に冷え込み暗闇が訪れます。寒さに耐えきれず今夜の寝床となるテントに入り寝袋に包まります。

夜中にテントから這い出してみると、下界には明々とした街の光が綺麗に輝いています。嗚呼、この一つひとつの灯りの中に暖かな人々の暮らしが有るのだなあ。と思うと同時に今宵の私の寝床を暖めるのは私が吐く息のみである事を自覚し、身震いしてまたすごすごと寝袋に包まり朝を待ったのです。

仏遺教経には八大人覚と言って、禅の求める悟りに近づくため次の8つの目標が説かれています。1小欲(欲を少なく)、2知足(これで十分で有る事を知り)、3寂静(喧噪を離れて)、4精進(努力を続けて)、5不忘念(ブレない心で)、6禅定(心を落ち着けて)、7智慧(物事を正しく判断し)、8不戯論(無駄口を叩かない)

どの道を極めるのも並大抵の努力ではその境涯にはたどり着けないでしょう。ふと迷った時、道を見失いかけた時、山登りで過ごす時間は、八大人覚を体験できて次に踏み出す助けになるかも知れません。

 

 


スキー用具の進化と雪山事故

2023-02-03 | 日記

写真は30年近く前から雪山で使っていたジルブレッタ404です。この頃は今では見かけなくなった細板にその幅にも満たない長細いシールを貼って歩いていました。それ以前はと言うと、このような道具も手に入らず、ゲレンデスキーとブーツをザックで担ぎ、長靴で加越国境の山々を滑っていたことを思い出します。その頃バックカントリーという言葉は無く、春スキーと言って麓のスキー場が閉鎖してからが山スキーシーズンでした。当然1月や2月の厳冬期に取立山に入る登山者さえ居ませんでした。近年では、晴れた日の取立山登山口には平日でも国道まで登山者の車が溢れかえっています。道具が進化しても、ビーコンやココヘリや山アプリがどんなに進化しようと、降雪→雪崩という自然現象が制御された訳ではありません。十分注意して雪山を楽しんで欲しいと思います。


2023の北部白山

2023-01-03 | 日記

2023年に登りたい!西暦と同じ標高の山3選 YAMAYA - ヤマケイオンライン / 山と渓谷社 (yamakei-online.com)

昨年12月に地元及び国立公園管理関係者が集まり、北部白山地域連絡会が行われた。その中で岩間道が長い間通行止めになっているが、せめて小桜分岐から薬師山までの区間を開放すべきであると主張した。理由は薬師山は北部側から山頂部方面の眺め、反対側には笈ヶ岳・大笠山などが間近に望める非常に展望の良い場所であるからだ。その後年末にヤマケイ編集部から「来年も岩間道は通行止めだろうか??」との問合せを受けた。カクカクシカヂカの内容はWEB記事に書かれている通りだ。今年は小桜平を絡めた白山登山をお勧めしたい。

 


山の法話22 山岳信仰と登拝

2022-12-09 | 山の法話

12月に入り北日本を中心に寒気が下りてきています。上志比と勝山の境である藤巻白山伏拝からも多くの積雪が有ったように遙拝できます。青空に雪をまとう白山は、威風堂々としてひときわ大きくその存在感が強調されています。12/9は山祭りの日です。この山に精霊が宿るという考え方は、自然発生的に生まれた原始宗教で、日本だけに限った事ではありません。以前ラップランド先住民サーメの友人も、木には木の精霊、石には石の精霊、何にでも神様がいて、いつも自分たちの事を見ている。と言っていました。

原生自然のままの姿を残す山岳地帯は信仰の対象で、日本では古来より「高嶺には神が宿る。」という考え方があります。これは中国の六朝時代に生まれた神仙思想に影響されていて、山岳信仰が仏教と融合し発展する際に、山を御神体と考えていた事から、主峰に「大日」「薬師」「釈迦」など、仏様の名が付けられた例が多く見受けられます。また、山頂への登拝道上に立ちはだかる幾つもの峰々にも信仰に関連する山名が残っています。山名に留まらず、美しい高山植物が咲き乱れる所を極楽に例えて「弥陀ヶ原」や「浄土ヶ原」。グツグツと温泉やガスの噴出している渓谷を「地獄谷」とか「餓鬼谷」などと呼んだりしています。登山口から、山頂のご本尊にたどり着くまでに地獄や極楽を垣間見て、遂には禅定を成すという登拝を通しての体験は、まさに人生そのものを演出していると考えられて来たのだろう思います。今も昔も山は自然のテーマパークとして人を引き付け続けていると言えるでしょう。山に畏敬の念を持つことは昔から自然であり、それに逆らう行為には代償が払われると言うことを肝に銘じておかなければ成りません。


白山初冠雪 2022

2022-10-24 | ニュース

昨夜は寒気が流れ込み気温も下がった。午前中のほんの僅かな時間、雲間から姿を見せた白山は初冠雪していた。昨年より4日遅い観測だそう。やはり、白山には白い雪がよく似合う。

一昨日の中宮道では荒々しい北部からの眺めだったが、雪をまとうと柔らかな表情になる。


白山縦走と水場その2(加賀禅定道油池)

2022-10-02 | 白山情報

 

秋は渇水となる時期ですが、加賀禅定道油池には常時湧き水が有ります。

油池脇の木道を谷筋方面に進み、下りて行くと水場へ下る看板が有ります。

谷川から一旦左に外れ、これを下りて行くと細々では有りますが湧き水にたどり着きます。(土砂崩れの区間迂回路が有ります)毎年確認していますが、秋でも涸れたことは有りません。更に20mぐらい下ると右岸からもっとしっかりした湧き水が有りますが、安全面から考えてここで給水する方が良いでしょう。

 


山の法話21 夏草や兵(つわもの)どもが夢の跡~芭蕉~

2022-09-18 | 山の法話

今年は梅雨明けが特定出来ないという気象庁の発表通り、高温多湿状態が続き、2,000mの高山帯の9月でさえ、まだブヨが発生して痒い思いをしている。そういえば未だ赤とんぼの集団も里に下りずに群れ飛んでおり、近年の気候の変化で高山帯の環境も大きく変化したと感じている。多種多様な花を咲かせている高山植物の玉手箱であるお花松原を例に取ると、最近目立つのがオンタデ、ベニバナイチゴ、イネ科(コメススキ?)である。

例えばイネ科の植物は登山道に繁茂し足下にまとわりつくばかりか、チングルマやアオノツガザクラの群落の下から葉を出して来ていて、やがて花畑を包み込んでゆくだろう。

ベニバナイチゴは勢力が強く上の写真のようにアオノツガザクラやチングルマに覆い被さり、下からはイネ科(コメススキ?)が伸びて来て、高山植物の群落を挟み打ちで駆逐している。

オンタデは9月上旬に葉が枯れ始めるので、この時期見つけやすい。かつてクロユリの群落も今はオンタデ畑に置き換わってる。

産業革命から僅か200年足らず、人類は急速に滅亡に向かっているのにも関わらず、国境のいざこざは次々と起こり、無駄なエネルギーの放出を止めようとするどころか、尚更勢いを増して火花を散らしている。

現代において、芭蕉が想いを馳せた兵(つはもの)を人類と読み替えると分かり易い。この植物たちは環境変化に対応し領分を譲り合っているが、人類はこの営みに学ぶ事が出来ないで居る。


白山縦走と水場(時には雪渓)

2022-07-29 | 白山情報

いよいよ暑さが戻ってきました。お花を楽しみながら歩く白山縦走はコースがとても長いため、水を持ち歩くにも限界が有ります。水場で上手にチャージしながら歩かなければいけません。そんな中でぜひおすすめしたいのがゴマ平の芳醇甘露水です。豊富な水量とキンキンに冷えたおいしい水です。年中枯れる事無く流れています。

小桜平避難小屋にも湧き水が有りますが、湧出量は僅かです。これから日照りが続くと枯れてしまっているかと思われますが、避難小屋に備え付けのひしゃく(青プラ製)で底の方から汲み上げて下さい。温度を確認すれば溜まり水か湧き水かの判断が出来るでしょう。小屋に下りて行くまでに水が不安なら、この時期8月までは清浄ヶ原(見返坂上)には豊富な雪渓が有りますからここで雪の塊を確保することが出来ます。

同じように三ノ峰避難小屋前にも雪渓が有ります。7月一杯は大丈夫だと思いますが、お盆の頃には消失している恐れがあります。

加賀禅定道には油池の下に湧き水が有ります。しかし油池からは距離にして200m近く下りなければ成らないので、行く人も少ないうようです。ここは10月でも枯れずにチョロチョロと出ていますが、量は少ないです。夏場は水は命の次に大切です。水場を汚したりしないよう心がけましょう。水場の上流へはむやみに立ち入らないようご注意下さい。

 


ニッコウキスゲの当たり年

2022-07-23 | 白山情報

先日21(木)の別山平は久しぶりに日差しが戻りニッコウキスゲが輝いていた。観光新道などでも密度濃く咲いているようで、今年はニッコウキスゲの当たり年のようだ。昨年は逆にコバイケイソウの当たり年で、周期的に盛衰を繰り返すが不思議と他の山域でも同じ花が同じ年に当たり年となる事が多い。今年は北弥陀ヶ原や加賀禅定道天池周辺でも数年~10年に一度と言われるぐらい盛大に咲き誇っているものと期待できるが、残念ながらここ最近は上空の大気が不安定で、来週に掛けても急激な雨や雷にも気を付けたい。

2010/7/24の別山平も素晴らしかったが、今年の方が更にすごい。

2016/7/20の北弥陀ヶ原も当たり年で、ニッコウキスゲが草原全面を覆い尽くしていた。


夏山到来! 中宮道ゴマ平周辺スケッチ

2022-07-01 | 白山情報

火の御子峰の名前どおり、谷筋に残る雪渓までもが燃えていた!

ゴマ平下の登山道脇から望む大汝と七倉。鞍部のお手水鉢下に広がる大雪渓にはまだまだ大量の残雪が残る。北部白山の豊富な雪が酷暑の加賀平野を潤している。

手取川の源流シンノ谷は、中宮道三俣峠に端を発する。今なお残雪の残る谷からは、冷たく清らかな流れがほとばしる。白山の最深部、どこからアプローチしても最も遠い秘境中の秘境である。


2022 夏至

2022-06-22 | 北欧情報

今年の夏至は6/21(火)だった。この梅雨時に、山頂からのご来光を拝めるチャンスは少ないが、一年で最も日が長いこの日は、太陽からのエネルギーを最大に受ける事が出来るお目出たい日でも有る。この頃北極圏では沈まない太陽が頭の上をぐるぐる回っていて、真夜中に北から日差しを受ける。テントで寝ていると暑くて息苦しい。スウェーデンでは夏至祭が今週末各地で開かれ、家族や仲の良い友人たちと週末の休みを過ごす。Glad midsommar!(グラードミッドソンマ)又はTrevli midsommar!(トレーブリミッドソンマ)と声を掛け合い太陽を満喫する。その北極圏のラップランドに暮らすサーメのパーレから今朝写真が届いた。スウェーデン中核部の国立公園であるサーレクでは、今日は雪交じりの予報だという。残雪を残す遠くの山は、しぐれているように見える。