これだけ読んでおけば分かる?(たぶん)
例によって、ざっくりとで、生物多様性に偏ったまとめになっています。
生物多様性国家戦略って何?というと、簡単に言うと、世界中あちこちで生物多様性の損失が増えてきたのが問題になりました。
それを国連の一つで話し合い、そこで考えられたのが生物多様性条約です。
だいたい世界の9割は批准しており、二年ごとに会議で取り組みが考えられ、我が国もこうした計画書を作っています。
簡単な歴史
1992年 地球サミット(14日間で終わり)ここで生物多様性条約、気候変動枠組条約が考えられる
その後、第一回目 COP1(COPとはConference of the Parties、条約国会議のこと、うち最も有名なのが、気候変動枠組条約COP-FCCC、その他、生物多様性にも、砂漠化対処条約もCOPなになにがある、開催頻度は条約ごと)
気候変動に関わるものと、生物多様性に関わるものなどが始まった。他にラムサール条約などがある
気候変動に関わる主なCOP
1997 京都議定書(COP3)
2009 コペンハーゲン(デンマーク)(COP15)
2015 パリ協定(COP21)
2021 グラスゴー(イギリス)(COP26)
生物多様性に関わる主なCOP
1998 スロバキア(COP4) カルタヘナ議定書
2008 ボン合意(COP9)
2010 愛知目標(cop10)
2022 昆明・モントリオール生物多様性枠組(COP15)
「2030年までに、自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を食い止め、反転させる」(目標)
環境省HP
生物多様性国家戦略2023-2030
ネイチャーポジティブ実現に向けたロードマップ より (編集、まとめています)
生物多様性国家戦略2023-2030のポイント
2030年 ネイチャーポジティブ(自然再興)
2050年 自然と共生する社会
まず2030年までに、
戦略1
30by30
自然再生
汚染・外来種の対策
希少種保全
他
他:戦略2~5まで、主に活用と運用面・データ面
をやる
具体的行動
陸地・海の保全地域を30%に
国立・国定公園などの拡大
OECM(↑以外、保護地以外)(Other effective area-based conservation measures、保護地以外で生物多様性に資する地域)
生態系ネットワーク
藻場・サンゴ礁・干潟の保全・再生・創出
海と陸とも農業漁業の適正化
野生の普通種なども保全
世界自然遺産の充実(白神山地、知床、奄美、屋久島、小笠原など)
天然記念物の保存
海洋の保全30by30(保護区とOECMの設定)
OECM(自然共生サイト)(仮称)
陸20,5→30%
海13,5→30%に
多自然川づくり 国土交通省
生態系に配慮した道路整備
生態系に配慮した農水、環境用水の整備 農林水産省
減農薬、減化学肥料、みどりの食糧システム
有機農業の確立
下水道の向上
国有林野など 単層林→複層林に
自然再生の促進
身近な自然も含めた生物の生息・生息環境の保全
普通種の昆虫なども調査、モニタリング、生物指標を作る
光害対策 ガイドライン、普及啓発
ブルーカーボンによるCO2吸収の加速
と、
本当にざっくりとですが、今後このような取り組みがあります。
まとめると、脱炭素、有機農業、国立公園等、OECMとの連携と接続を通じ、自然を回復軌道に乗せる。ということになります。
この30by30には賛否あります。え?少なくないか?と。
欧州のは平地が多く、自然保護が盛んなので連続性が保たれていますが、日本のは険しい山岳諸島ですのであちこち分断しており、合わせて3割でOKとなれば、最悪自然荒廃が進む事態を呼ばないかと、私などは思ってしまいますね。他の懸念もいろいろ沸きます。
これは日本自然保護協会さんが意見書を出しております。
「次期生物多様性国家戦略(案)」に対する意見(パブリックコメント)
これによると、本来は40ー70%の試算が出ており、2030年までの目標からの設定であり、少なくとも、という意味ではあるようです。
西欧のほうでも、これは少なくとも、と出ておりました。
現在、世界の陸域の75%が著しく改変、海洋の66%が複数の人為的影響下にあり、1700年代以降、85%の湿地が消失したと言います。
日本もだいたい同じで、絶滅危惧種は多数になって来ています。
地球規模の限界(プラネタリー・バウンダリー)が来て、これ以上活動すると、回復不可能な変化が起こるそうです。
今後は、8つの分野は今までと違う状態に移行せねばならないと言われています。
1土地と森林
2持続可能な淡水
3持続可能な漁業と海洋
4持続可能な農業
5持続可能な食料システム
6都市とインフラ
7持続可能な気候行動
8生物多様性を含んだワンヘルス(人間と動物の健康と環境の健全性)
ですので、これらの取り組みはとても重要になって来ます。
今後、このような取り組みを目にする機会が増えるかもしれません。(そうなって欲しい、いやそうならねば・・・)
OECMとは民間の団体がやるもので、どこでも受け付けられています。
こうした動きや取り組みが身近にあったら、ぜひ、その取り組みは自然喪失を回復へと反転させ、再生へ軌道に乗せるものですので、便乗でも、参加でも、考えたり、取り組んだり、いろいろと行動をしていってもらいたいです。
本当に想像も出来ないようなことになることが求められており、今後、我々個人個人も、企業も今までにない状態に変わっていくと思われます。
私も想像も出来ておりませんでして、気候変動に関する暗い話が多いなかで、これはある意味、どうなってしまうのか楽しみではあります。
日本も、今まで通りに続ける企業は、生物多様性の取り組みからは、置いて行かれるでしょう。
各地方は、今から行政や自然保護団体が自然再生へと動きますので、各地の自然回復の流れからも取り残されないようにしてもらいたいです。
でも、誰一人、どのエリアも取り残さない方針ですから、慌てたり、心配することはありません。
2030年までに、すべての自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を食い止め、反転させる。
これは私の地域まで本当に進んで来たら、変わっている証拠と思います。(私の地域はいろいろな意味で末端なので)
今後どうなるか、いろいろ問題もあるかもしれませんが、このような取り組みが広がるように私も応援していきたいと思います。