タロウ助教授GTの研究室

タロウ助教授の日頃の研究成果を、不定期に発信。。。

あくまでワタシ的な基準でフランク・ザッパの名曲を選んでみた、その1。。。

2012-08-14 21:05:29 | 音楽のあれこれ


えー。


以前より何人かの音楽クラスタの方から、
『フランク・ザッパを聴きたいんだけど、作品数が多すぎて、結局のところどれを聴いていいのか
分かんないから教えろ~』との、実に悩ましいご相談&リクエストを戴いておりました。



という訳で、ここは思い切ってそういうザッパ・ネタをupしようと思ったのであります。






が、しかし。





何せ、発表されているオリジナルアルバムだけで60枚以上、本人が監修したブートレグ盤も
10枚以上有り、さらに死後に発売された編集盤も30枚以上有って、なおかつ
生前に本人がキチンと編集作業に携わっていた未発表の音源が膨大に残っており、
今後も遺族によって発表され続けるだろう、と言われている御大の音楽全てを網羅するのは、
ヒジョーに困難なのではありますが。
(ザッパ以外だと、マイルスとかディランもそうではないかと・・・)



それでも自称いんちきフランク・ザッパ研究家のワタシとしましては、何とか
そのリクエストにお応えしようと今回、自分が聴いててカッコイイと思う曲を
あれこれと選んでみた次第です。


但し、ザッパ先生のガチの定番曲『Peaches en Regalia (ピーチーズ・エン・レガリア) 』ですとか、
ザッパ作品中でも有数の難曲で知られる『The Black Page (ブラック・ペイジ) 』などは
あえて外し(←知られている曲を紹介しても、かえって視野を狭めてしまって参考にならんと思うのですよ)、
ぶっちゃけ、かなり個人の趣味丸出しとなっておりますので、ザッパ・マニアの皆さん、
『何であの曲が無いんじゃー???』などと言わず、どうか許してけさい。



では。





【歌モノの5曲】


Frank Zappa & The Mothers of Invention- Inca roads


1975年に発表されたアルバム『One size fits all ( ワン・サイズ・フィッツ・オール ) 』の1曲目に収録された曲。
これもザッパの代表曲であります。(この曲はある意味、定番曲と言えますね)

この曲のメイン・ボーカル(兼キーボード)は、今ではすっかり大物ジャズピアニスト/音楽プロデューサーになった
ジョージ・デューク先生。ファルセット混じりで実にインチキ臭く歌っております。
歌の内容は、この当時世界中でブームとなっていた『未確認飛行物体(UFO)』についてであり、
どこからどうしてやって来る???と考察している、まさに、矢追純一さんの世界なのでありました。

この頃のザッパのバンド ( The Mothers of Invention ) は、ザッパ・マニアには非常に評価が高く、
おそらく演奏力はダントツではないか???とも言われております。
(根拠は、演奏のまとまり・バランスが非常に良かったのと、ザッパ・バンドに参加した歴代ミュージシャンの中でも
特にテクニシャンとして評価の高い、女性パーカッショニストのルス・アンダーウッドが参加していたからで
あります。オマケにドラマーはジェネシスのサポート・ドラマーとして有名なチェスター・トンプソンで、
この人もかなりのバカテク。リズム面の充実は、ズバ抜けて高いと言えます)

そういった演奏面の充実と楽曲の聴き易さから『One size fits all ( ワン・サイズ・フィッツ・オール ) 』は
例えばミュージシャンなどに『ザッパの名盤を何枚か上げろ』とかいうアンケートを実施すると、ほぼかならず
皆さんがプッシュする好盤となっています。(ワタシ自身も好きなアルバムです)

尚、この曲を前述の『One size fits all』のアルバムで聴くと、ギターソロの途中(4分23秒あたりから)で明らかに
タッピングによるフレーズが確認出来ます。一般的にロックギター業界では、明確なタッピングプレイというモノは、
1978年にデビューしたエディ・ヴァン・ヘイレンのプレイが元祖とされていますが、ワタシ自身はこちらのザッパの
フレーズの方が時期的に早いでしょ???と思う次第。但し、この時のザッパのタッピングは指では無く、ピックの先端を
弦に押し当てて音を出すやり方でした。この方法は他に、ジョー・サトリアーニやBOWWOWの山本恭司も得意としております。
また、クイーンのブライアン・メイもエディより若干早い時期に、既にタッピング(のような)フレーズを
披露しているというご意見も有りますが、残念ながらあまり考察される事無く、ほぼ黙殺されております。

又、厳密には元ジェネシスのスティーヴ・ハケットもザッパと同時期か、あるいはもう少し早くタッピング・プレイを
取り入れていた様ですが、ブートレグなどで演奏を確認するに、正直、かなりテキトーに、あるいはめちゃくちゃを
やっているだけにしか見えない(←おそらく、ノイズ的な使い方???)ので、何とも評価しかねる状態なのであります。
(仮にメチャクチャなプレイで音を出していたのをOKと肯定するのなら、例えばジミ・ヘンドリックスがギターを叩く様に
引っ掻き回して音を出していたプレイなども、タッピングの元祖と言う事になってしまうと思うのでありますよ。)

更に言いますと、演奏の途中に出てくる粘土アニメーションは、どこかの映像作家にテキトーに発注して
作った様な物ではなく、ザッパ本人がスカウトして年棒制で専属契約を取り交わしたアニメーション作家によって作られた物で、
ザッパの為だけに、非常に手間暇かけて作られていたのだとか。そういうセンスというか考え方も、ザッパ恐るべし。





Frank Zappa - Dirty Love



1973年発表のアルバム『Over-Nite Sensation (オーバーナイト・センセーション) 』に収録された曲。
ザッパにしては短い、たった3分程のコンパクトなポップ・ロックソングです。
(尚、このアルバムはポップな歌もの中心である為、珍しく売り上げが全米チャートで32位まで上がっております)
歌の内容はタイトル通り『卑猥な愛』を歌っておりますが、実は、さほど音楽に詳しくない一般的なフツーの
アメリカ人から見たザッパのイメージは、こんな猥雑で変な曲ばかり作って歌っている、けれども超大物ミュージシャン、
といった風なんだそうです。(←実際にアメリカ人の知人からも、以前にそういう話しを聞いた事も有ります)

ワタシはギタリストとしてのザッパから興味を持って聴き始めましたが、こんな歪んだポップ・ロックを歌ってる
ザッパも結構好きです。





Frank Zappa - Keep it Greasy


この映像はライヴビデオの『Does Humor Belong in Music? (ダズ・ユーモア・ビロング・イン・ミュージック?)』より。
1984年のツアーでの演奏になります。この曲のオリジナルは1979年に発表されたロック・オペラ調のアルバムである
『Joe's Garage ( ジョーのガレージ )』に収録されていました。

曲の意味は訳すと『いつもしっとりと』で、ザッパらしい深い意味だとアレはアレで(以下、自主規制)。

実はこの時のザッパ・バンドは、歴代のバンドと比べますと、初期マザーズを除くと最も演奏力が弱い顔ぶれ、
と言えるのかもしれません。
(根拠は、この時期のザッパの難曲『The Black Page (ブラック・ペイジ) 』のアレンジ&演奏がかなり淡白である為)
けれども、ザッパは両脇にレイ・ホワイト、アイク・ウィリスの2人の黒人ボーカル兼ギターを従え、
更に歌唱力のあるキーボード兼サックス奏者のボビー・マーティンも参加させて、ザッパも加えた4人で交互に
歌を歌っているので、歴代で最もボーカル&コーラス面が充実していた時期でもあります。
又、演奏面が弱いと書きましたが、ドラムはアラン・ホールズワース・バンドへの参加でも有名なチャド・ワッカーマン、
ベースは歴代の参加ミュージシャンの中でも最もザッパの曲を暗譜しており、ザッパの信頼も厚かったと言われる
スコット・チュネスと、リズム隊は決して侮れないメンツが揃っていました。
また、バックでアヤシく踊りながらキーボードを弾いているランニング・シャツ姿のおっちゃんはアラン・ザボッド
なる人物で、後にスコーピオンズのアルバムのプロデュースなどを手がけております。

この曲、ザッパの曲としてはノリノリのイケイケな曲なんですけど、それでもやっぱりちょこちょこと曲調が
変化するので、実際に演奏するのはやっぱり大変なんだろうな~、と思います。
特にベースのスコット・チュネスはあれこれと変な動きを見せつつも決して演奏は乱れず、ミュートもしっかりとして
ノイズも出さず、その変人キャラクターとは裏腹に、しっかりしたテクニシャン振りを見せてくれます。
また、ドラムのチャド・ワッカーマンがフロント陣がクダラなーい動きを演じている後ろで、堅実でキレのある
ドラミングを披露していて、これもまた実にバンド演奏的な意味合いで、参考になります。

実はワタシは、歴代ザッパ・バンドの中ではこのチャド・ワッカーマンが一番好きなドラマーだったりするんです。


・・・という訳で。

ハイヨー、シルヴァー !





Frank Zappa - city of tiny lights


この映像は1985年発売のライヴ・ビデオ『Baby Snakes ( ベイビー・スネイクス ) 』より。
この演奏は1978年のツアーで撮影された物です。曲自体は1979年に発表されたこれまた名盤の
『Sheik Yerbouti ( シーク・ヤブーティ ) 』に収録されています。(尚、アルバムは全米21位にランクイン)

一般的なロックファンにザッパを説明する場合、おそらくこの時期のザッパ・バンドの事を伝えるのがもっとも
分かりやすいのかもしれません。ここでのボーカル兼ギターはまだ無名時代のエイドリアン・ブリューで、
ドラムは超人テリー・ボジオであります。この頃のザッパ・バンドはバックが若手メンバーばかりだった事も有って
歴代で最もエネルギッシュでバンド全体の音も、それにつられてかザッパのギターの音もとてもハードでした。
途中でザッパがギター・ソロを弾くと、観客が非常にノっているのが良く分かり、ザッパはギタリストとしても
まっとうに評価されてて人気があったんだなぁ、と改めて伺える映像であります。

テリー・ボジオの超パワフルなドラミングも見応えが有りますが、変なサングラスをかけて、
両手でノリノリなシンセ・フレーズを弾きまくるトミー・マースのキーボード・プレイがかなり
スゴかったりします。(キース・エマーソンみたい、とか言うのは言い過ぎでしょうか???)

バンド全体の演奏もカッコいいのですが、どことなくプログレッシヴ・ロックな風味も有って、
この曲、個人的にかなり好きなんですよ、ええ。





Mike Keneally (Zappa's Universeより) - Brown Shoes Don't Make It


1991年にザッパ・バンドの最後の正式ギタリスト(兼キーボーディスト)だったマイク・ケネリーが
音楽監督を担当して開催されたザッパのトリビュート・ライヴ『Zappa's Universe』での演奏から。
尚、このライヴは息子のドゥイージルやスティーヴ・ヴァイなどのザッパに縁のあるミュージシャン
が多数参加しておりましたが、ザッパ本人は一切出演しておりませんです。

この曲は1967年に発表されたThe Mothers of Invention名義の2枚目のアルバムである
『Absolutely Free (アブソリュートリー・フリー) 』に収録されているかなり古い曲なのですが、
ポップな歌メロなのに、曲の展開がまるで歌劇のように次々と変わっていく、実にザッパらしい曲でもあります。
この演奏するにはかなりの難曲(←ドラマーは特に大変かと! )を、ザッパの最後の愛弟子と言っても過言では無い
マイク・ケネリーがVoとGを担当し、自分の個性(キャラクター)を存分に出しつつもザッパ・ワールドを忠実に
再現していて、初めて見た当時は良い意味でかなり衝撃でした。バックの他のメンバーによるインスト部の演奏も含めて、
コアなザッパ・ファンも納得のなかなかの名演だと思います。
因みにケネリーの隣にいるベーシストは、これまた永年ザッパ・バンドのボトムを支えたスコット・チュネス。

更に余談ながら、ワタシはザッパ・バンドに参加していた歴代の全ギタリストの中でも、
このマイク・ケネリーが一番器用で幅広い音楽性を持っていて、最もザッパの音楽にマッチした人物だと思っています。
(そう、かのスティーヴ・ヴァイよりも、なのですよ。)









・・・とまあ、ここまでupしたところで。


当初は、歌モノ5曲とインスト5曲程度を一気にご紹介と考えてましたが、やってみると思ったより
あれこれと大変なので、2つに分けてupする事にしました。



そのうちインスト編をupいたしますので、しばしお待ち下さいませ。



では。





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