タロウ助教授GTの研究室

タロウ助教授の日頃の研究成果を、不定期に発信。。。

マイケル・ジャクソンの名盤に悩む

2009-10-14 22:49:38 | 音楽のあれこれ
いや、ホントは全く悩んでない。
マイケルの作品の中で、最高傑作は間違いなく『オフ・ザ・ウォール』だ。

79年に発売されたこのアルバム、マイケル・ジャクソンがおそらくアメリカで
最も著名な大物プロデューサーであるクインシー・ジョーンズと作りあげた
ブラコンの教科書的な大名盤。

私はこのアルバムが発売された当時は、まだガキンチョだったのでリアルタイムには
聴いていない。後年クインシー・ジョーンズが好きになってから後追いで聴いてみた。

と、その前に、当然怪物アルバムである『スリラー』をまず聴く。マイケル初心者なら
当たり前の選択。

ところが・・・。名盤と言われる『スリラー』、全く楽しめなかった。
いまだに売れてるのが不思議でならない。・・・いや、分からんでもないか・・・

私はギターマニアなので『今夜はビート・イット』にエディ・ヴァン・ヘイレンが
参加してる、というような点は非常にポイント高いはずなのに、聴いてみてとても
ガックリ・・・。またこのエディのギターがやっつけ仕事で、全然良く無いんだ。
テクは見せつけてるけど、なんだかテキトーって感じ丸出し。
さらに厳しい事に、ギターのチューニングがめちゃめちゃ怪しいし。
(ま、エディのチューニングの怪しさは有名な事実なので、ある意味妥当だけど。)

当時ノーギャラで参加したのが話題になったが、ほんとにノーギャラに見合った
プレイだとつくづく思った次第。(そもそもエディのクレジットも無いしね・・)

いや、決してエディが下手だとは言わない。エディは世界有数のギタリストだ。
しかしながら、エディのギターの名演はヴァン・ヘイレンにこそたくさんあって、
あいにく残念な事に『スリラー』には無かったってことが言いたいのだ。

その他の曲も、例えば車とかで聴いていると、実にタルい。
『ビリー・ジーン』とか・・・。うーん・・・。

しかしよくよく考えてみれば『スリラー』のマイケルは、あのダンスがセットに
ならないといけないのである。ムーンウォークでするすると動く素敵なマイケルが
目の前で歌ってくれて、初めて完成する音楽だったのだ。

そこに気づいた私はあっさりと『スリラー』を聴くのを止めた。
だって、マイケルの歌は聴きたいが、ダンスには興味ないし。
肝心の曲が、今ひとつだし・・・。

それからさかのぼって『オフ・ザ・ウォール』に辿り着く。聴いて思った。

『これこれこれ!!』

正直、当初はマイケルは所詮クインシー先生の傀儡ボーカルだと思っていた。
アメリカ音楽業界では超大物であるクインシー先生に、
『わしの言うとーりにしとったら、お前も売れるでぇー』とかなんとか言われて、
まじめなマイケル君は『はいっ、先生!!』とかやってたんぢゃないか?! と思ってた。
(いや、ホントにそうだったかも・・。きっとそうに違いない!!)

クインシー先生は、ルーサー・ヴァンドロスやレイ・チャールズくらいが歌える歌手の
基準のはずなので、いかに小さいときから天才少年と言われていたマイケル君でも、
まだまだ駆け出しのハナたれアイドル歌手程度の扱いだっただろう。

ところがマイケル君、大健闘。当然歌声はまだ若いものの、結構、表現力有り。

さすがにクインシー大先生のプロデュースなので、実はルーサー・ヴァンドロスを
こっそり呼んで、陰で歌唱指導をさせてたんぢゃないか ?? と疑いたくなるような
歌い回しのところもあって、微笑ましい。
(2曲目の『ロック・ウイズ・ユー』の出だし部分など、結構吹いてしまった。)

1曲目から5曲目は当時全盛のディスコサウンドだが、今聴いても名曲揃いで
充分にカッコ良く楽しめる。マイケルのダンスが無くてもである。
(さすがというべきか、ブラスアレンジなどはかなり秀逸で勉強になる。)

後半の6曲目から10曲目はおとなしめのポップな曲が続く。
マイケル君も丁寧に優しく歌っている。なかなかの表現力だ。

しかし、先ほどからさんざん私は『マイケル君はクインシー大先生の操り人形説』を
唱えているが、冷静に聴くと、後年のあの特徴あるマイケル節はすでにこの頃から
あちこちで聴く事が出来る。

特に前半5曲の中には、マイケルの『フーッ!』とか『ダッ!』のかけ声が多数入っていて、
クインシー先生、かなりマイケルに自由な歌い方を許しているように思われる。
うまくリズムに乗せさせる事で、そこをアレンジ上のウリにもしている。

トータルで見て、大物クインシー大先生が作った良質なバックサウンドの上に、
天才マイケル君が好きなように歌ってみました・・的なアルバム。
それが非常に巧くツボにハマったのが『オフ・ザ・ウォール』なのだろう。

まだ聴いた事が無い人、すぐに聴くべきだ。迷盤『スリラー』なんてずーっと
後回しでいいから。ダンスが無くても、マイケルは充分にカッコイイのである。

その『オフ・ザ・ウォール』のジャケット。



現存するマイケルの写真の中で、一番良い笑顔はこのジャケットだと思う。


因みに同じ1979年、マイケル君がこんなに素敵なアルバムを発売した頃、我が日本で
栄えあるオリコンチャート年間売り上げ第1位のバカ売れしていたアーティストは・・・
(但し、シングル部門で)






このお方だ!!










うーん、ジャパニーズ・ソウル・ミュージック・・・。

(アルバム部門はゴダイゴだそうです。)


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