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早池峰山
遠野物語拾遺 一六 六
最近、宮守村の道者たちが附馬牛口から、早池峰山をかけ た 時 の こと で ある。 頂上 の 竜 が 馬場 で、風袋 を 背負っ た 六、 七人 の 大男 が、
山頂 を 南 から 北の方 へ 通り過ぎる のを 見 た。 なん でも むやみ と 大きな 風袋 と 人 の 姿 とで あっ た そう な。
同じ 道者 たち が その 戻り 道 で 日 が 暮れ て、 道 に 踏み 迷っ て 困っ て いる と、 一つ の 光り物 が 一行 の 前方 を 飛ん で 道 を 照らし、
その 明かり で カラ ノ 坊 という 辺 まで 降りる こと が でき た。 その うち に 月 が 上っ て 路 が 明るく なる と、
その 光り物 は いつの間にか 消え て しまっ た という こと で ある。
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早池峰山から薬師岳を望む
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タイマグラから早池峰山を望む
遠野物語拾遺 一二 一
土 淵 村 の 鉄蔵 という 男 の 話 に、 早池峰山 の 小国 村 向き に ある タイマグラ という 沢 には 不思議 な こと ばかり ある と いう。
下村 の 某 という 男 が いわ な 釣り に 行っ た ところ が、 山奥 の 岩窟 の 蔭 に、 赤い 顔 を し た 翁 と 若い 娘 とが い た。
いずれ も 見慣れ ぬ 風俗 の 人 たち で あっ た そう で ある。
この タイマグラ の 土地 には、 谷川 を 挟ん で 石垣 の 畳 を 廻らし た 人 の 住居 の よう な もの が 幾 か所 も 並ん で ある。
形 は 円形 に 近く、 広 さは 二間 四方 ばかり あっ て、 三尺 ほどの 入口 も 開い て いる。 昔 は 人 が 住ん で い た ので あろ う と いわ れ、
今 でも どこ かで 鶏 の 声 が する と いう。 この 話 を し た 鉄蔵 も、 魚 を 釣り ながら 耳 を 澄まし て い たら、
つい 近く で、 本当に 朗らか な 鶏 の 鳴き声が はっきり と 聞こえ た そう で ある。 これ は もう 十年 近く も前の話であった。
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見知らぬ釣り人からいただいた いわな
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タイマグラ
アイヌ語で”森の奥へ続く道”
アイヌ伝説は東北には比較的多くあり
昔はここら辺まで普通に住んでいたのではないか
昭和63年 日本で最後まで電気がこなかった集落
現在 普通の地方都市となった遠野市から 山へ山へと奥入り
少しの集落とキャンプ場などがある
誰もいない広いキャンプ場に一人テントを張っていると
禁漁前 最後に釣りに入ったという親切な地元の釣り人から岩魚と山栗をいただいた
とても美味しく 楽しく話をしたのだけど
ひょっとしたら狐に化かされている とちょっとだけ 本気で思った
本気で…
中学生の頃読んだ遠野物語
見知らぬあやかしが闊歩する場所にに連れて行ってくれたこの本は
ちょっと色々大変だった僕を異世界に連れていってくれて
助けてくれた本
遠野物語 柳田國男著
序文より
”願 はく は これ を 語り て 平地 人 を 戦慄 せしめよ。 ”
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