数年前のTV番組「南アルプス賛歌」で「南アルプスは富士山を道連れにした旅なのです」というナレーションがありましたが、天気が良ければ電車からもそれを実感できます。
JR身延線の特急「ふじかわ」の車窓からの富士山
南アルプス
広河内岳~黒河内岳~伝付峠 縦走
2009(平成21).9.20~23
3泊4日(テント泊)
天気 快晴
<行 程>
奈良田温泉~大門沢~大門沢下降点~広河内岳~大籠岳~白河内岳~
笹山(黒河内岳)~ 白剥山~奈良田越~伝付峠~新倉(田代入口)
大門沢登りから見える 富士山
南アルプスの主稜線はほぼ縦走したので、農鳥岳から続くこの稜線に一度行ってみたいと思い、地図を広げる。
上級者向けの表示がある。コースが長く、水のとれるところがないため、軽装でスピードアップして行くか、水をかついで行くかしなければならない。しかし、軽装で行くにしても、1日で補給のあるところまでは難しいので、水をかついで行くことにする。
大門沢下降点
JR身延駅がこの山旅のスタート
9月20日(1日目)1:45発のバスで奈良田温泉へ
身延山へ行かれる人と地元の方と思われる人々、そして我々登山者でバスの座席はほぼ埋まった。;進むにつれ、乗客は下車されてだんだん少なくなって、登山者だけとなり、景色も谷が迫り、 山深い奈良田へと向かう。
秘境の温泉といわれる奈良田です。
久しぶりの山で体がなまっている上に、バスに酔い気分が悪く、下車後まずトイレへ。その間に、登山者は誰もいなくなっていた。
歩きだしても気持ち悪さはなくならず、先が思いやられる。
広河原への道 ~ 大門沢はトンネル手前を左へ。
天気が良かったので夏のような暑さでした 。体調が悪いせいか、思いのほか長く感じられた。川沿いであるが、堰堤を越え、峠のようなところを越えてやっとの思いで辿りついた、という感じです。途中、広河原を朝発って奈良田まで行く、という若者に出会った。天狗のような健脚をうらやましく思う。
18:00 大門沢小屋(テント泊) 到着が遅れ、日も暮れた。
21日(2日目)
6:50 出発
途中の沢で水補給(4リットル)
やはり、トレーニング不足と久しぶりの山なので、4リットルの水がズシリとこたえる。 昨日以上に足が進まない。
13:20 大門沢下降点
大門沢下降点から見る富士山
西を向けば塩見岳
今日も天気が良いので爽快になる。さらに、稜線に出ると、景色が良く、重い荷物もやや気がまぎれる。少し体も慣れてきたのか、気分の悪さも楽になってきた。
広河内岳~ここまではこんな感じでいける~広河内岳までは道ははっきりしている
広河内岳頂上標識
13:58 広河内岳
広河内岳より農鳥岳方面を望む
準備段階で、他のHPをみて下調べしていると、ここから池の沢へ下りてしまうと注意されていたので、意識して東に目を転じて、これからのルートを確認。
お陰で迷うことなく進めた。これも、天気が良いからできることである。
しかし、方向はわかっても、道や目印はなく(遠目には道が見える)、踏み跡すら不明瞭であった。広河内岳から踏み跡は不明瞭になり、ケルンを忠実に辿る。
大籠岳から白河内岳方面
(翌日、大籠岳は頂上を確認できないまま通過)
広河内岳を背景に望む
16:15 テント幕営(強風のため石でテントを固定)
夜になると風はますます強くなり、天気が変わることを予感させる。尾根の上はさすがに寒く、日が暮れてから外に出ると震えが来る。
22日(3日目)
富士山が顔を出してくれる
6:40 出発 (昨夜来の強風で天気が変わり、ガスで視界が悪い。 撤退を考えたが、準備をしているうちに視界が開け少し前進してみることにする。)
目印のケルンが、ただの岩のなのかケルンなのか見分けがつきにくいものがあり、注意力とルートファインディングが要求される。特に、視界が悪くなるとどこを歩いていいのかわからなくなる。
7:46 白河内岳 (雲が広がり、不安いっぱいになる。目印のケルンが分かりづらくなったが、白河内岳頂上を過ぎるとややルートが見やすくなりさらに前進)
進むうちに樹林帯にかかり、かえってルートははっきりし、予定通り進むこととする。樹林帯で道ははっきりしているが、樹が密生している中を「無理やり」と言わんばかりにかき分けて進むところがあり、手や顔を傷める恐れがあるほか、足元が見えないので、転倒の危険もある。
笹山北峰頂上標識~笹山北峰に着いてほっとする。
笹山頂上標識
10:00笹山(黒河内岳)
頂上で二軒小屋からピストンの二人組に会う。朝5時に出てきた、とのこと。笹山は伝付峠からピストンしてくる人がいる位でここからは道もしっかりしている。
奈良田越 標識
15:07 奈良田越 この間も普通の登山道である
伝付峠への林道
林道跡は崩壊や、草木が生え自然に還っていく様子で、歩きづらい。そして、長い。
18:06 伝付峠 雨が降り出し、暗い中でのテント設営となった。
しかし、夕食を作っているうちに雨はやんだ。
ここまで降りると昨日のような寒さはない。
あるいは、昨夜は低気圧か前線でも通過していたのだろうか。
23日(4日目)
伝付峠で幕営
6:30 昨夜で水がなくなっていたので、とりあえず峠下の水場まで移動。水場近くにテントが張れそうなくらいの広場があり、そこで朝食。
峠下の水場
内河内渓谷
下山路の、内河内渓谷はとても きれいなところであるが、狭い谷で、雨で増水すると下山には不向きかも?
しかし、単に下山路として通過するにはもったいないほどのきれいな谷である。
この谷を目的に来ても決して惜しくはない、美しさである。
なお、この後数年後大雨で内河内渓谷も荒廃し、2013年7月にここから下山した時は
ルートはつけられているが下山路としてはお勧めできない。
もうこの美しい谷に戻ることはないのではないか。
堰堤工事現場を過ぎるといきなり舗装してあり、大型ダンプが行き交う。
12:00 新倉 (無事下山)途中、抜きつ抜かれつした二人組が「タクシーを予約しているので、相乗りでシェアしませんか。」と声を掛けてくれたので、同乗させていただき、下部温泉の温泉会館で入浴し、思いのほか早く帰れた。
まとめ
今年は、夏の天気が不順で、山に行けるタイミングがなく、9月にずれ込んだが、他の登山者も同様なのか、思いのほか登山者の数が多いのではないかと思う。大門沢の人の多さはメインルートであるから当然としても、笹山縦走コースにこれほどの入山者があるとは想像できなかった。
その分、出会った人に情報が聞けたのは単独行者にとってはありがたかった。しかし、出会った人みんな、私と同じくらいか私より年上が多いのに、一様に元気であることには驚かされた。年齢や仕事を理由にトレーニング不足に陥っていることは反省点です。
もうひとつは、早立ち・早着きができず、18時着になったのはやはり山の鉄則からは逸脱している、と自戒しています。