三坊山羊

「ははは」と「へ~」を三日おきくらいに書いてきたよ。決めるときゃ決めると。無理しない方向でね。

推理小説もどき

2007-12-03 00:35:24 | ポエム
推理小説もどき

『夕霧のなみだ』

第一章 プロローグ

阿佐見はその日、午前1時半過ぎまでスナック「西田」で4人で月例のカラオケをし、タクシーを飛ばして自宅最寄駅で降り、徒歩で自宅へ帰る途中であった。

ほろ酔い加減ではあったが、唄いすぎかなと思いながら、コートに包んだ疲れた体には、初冬の深夜の外気が冷たい。すでに午前2時半である。阿佐見は思わずマフラーの端を首元に運んだ。

歩道を、窓を既に硬く閉ざしているダタールコーヒーの出入り口のところへ来た時、7mほど先の左へまがる路地付近にパトカーが1台と乗用車が1台、また、警察車両のような車が1台止まっていて、警察官の制服の男が2人その路地方向へ走って消えた。


なにか事件かな?と阿佐見は思った。
3mほどの道幅があるその路地に近づくにつれ、唯ならない様子がわかった。
警察官がたくさんいる。いわゆる鑑識と呼ばれる服装の男性と刑事ではないだろうかと思われる男たちが合わせて10人ほどもいるだろうか?

ライトが当たった先の路上にその女性がうつ伏せに倒れていた。
阿佐見は凍りついた。彼女の下着だけの姿に。色は黒。肩までの黒髪が乱れている。阿佐見の立った位置からは6mほど離れていて表情はよく見えないが20代か30代と思える。
まもなく、鑑識のカメラのフラッシュが光った。

しばらく立ちつくしていた阿佐見は、近くにいた警察官へ聞いてみた。
「事件ですか? あの姿は尋常じゃないですね?」
「今は捜査中です。じゃまにならないよう通行してください。」

深夜である。じゃまになるような人通りなどあるはずもない。
少しその路地を離れ、別の警察官に聞いてみた。
「事故ですか?」
「・・・・・」

普通、このような場合、一般の市民に捜査情報を話す警察官はいないものだ。
阿佐見がなかなかその場を離れなかったため、一人の警察官が阿佐見に近寄り聞いた。
「関係者の方ですか?」
「いえいえ、忘年会の帰りでして家へ帰る途中です。」
「・・・・・」

早く帰れ!と言われたような気がして、阿佐見はときどき後ろを振り返りながら自宅へと歩を進めたのだった。




3日後の夜、阿佐見は最寄の警察署を訪ねている。






5日後の夜、その路地の片隅に花束がそっと置かれていた。





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【おことわり】
この文章は、架空のお話である。また、第二章の記載の予定も今のところありません。
あしからず。

ちなみに、私は、内田康夫氏の推理小説が好きである。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
へ~ (ぷらこ)
2007-12-03 22:09:12
その後ニュースをチェックしました?
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>ぷらこはん (やぎさん(管理人))
2007-12-04 06:55:36
いやいや、だから~。(笑)
これは、架空のお話ですよ。
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ほ~ (ぷらこ)
2007-12-04 21:11:02
「架空」という部分が本当だったとは・・
予想外でした。
返信する
>ぷらこはん (やぎさん(管理人))
2007-12-04 23:54:00
ずいぶん感心されてますね。
実際に起こったら怖いですよ。^^;
推理小説もどきも架空なのです。
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