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備忘録

学習備忘録

控訴の利益

2009-11-15 17:20:33 | 民事訴訟法
控訴の利益
メモ
・控訴には「控訴の利益」が必要、というのは明文ではない
cf.「第一審判決に対して控訴する場合、控訴人が控訴の利益を有していることが必要とされます」(改正民訴486p)
・控訴の利益で控訴を絞るのは、上級審の負担の軽減のため(重点講義)
・移審効は、不服申し立てのある部分に限らず、判決全部に及ぶ(上訴不可分の原則)
・不利益変更禁止の原則の条文は304条。
※不利益変更禁止の原則という表現はわかりづらい。変更の範囲が、当事者の申立てがある部分に限られることがその内容であると理解すればよい
Question
・控訴の利益にはいかなる考え方があるか?

形式的不服説(支配的)
原審における当事者の申立て

原判決
とを比較して、後者が前者に「質的量的に及ばない」場合に不服を認める
・形式的不服説の例外は?

①相殺の抗弁が認められたために請求棄却判決となった場合は、相殺による債権消滅でなく弁済による債権消滅があったとの抗弁を主張する被告に控訴の利益を認める
②一部であることの明示を欠いて提起した訴えの判決が確定した場合の控訴
・控訴不可分の原則とはなにか?

控訴が提起されることによって、確定防止の効果と移審の効果が、控訴人の不服の範囲にとどまらず原判決全体に生じる原則。
明文なし。
ex貸金返還と売買代金の2つのルートで訴えて審理が併合され、貸金返還の訴訟物についてのみ公訴提起したとしても、移審の効果は売買代金請求にも及ぶ(重点講義452p)
・移審の効果とは?

原裁判所の訴訟係属が消滅し、これに代わって上訴裁判所における訴訟係属が発生すること
論点:第一審が主位的請求棄却、予備的請求認容の場合に、被告のみが控訴した場合に、控訴審が主位的請求認容の判断にい当たった場合に、1審を取消して主位的請求認容判決を下すことができるか

できない(上訴必要説)
∵不服申し立ての範囲でなく、被告にとって予想外
※高橋は、上訴が不要とする(上訴不要説)
∵主位的請求と予備的請求の申し立て内容が同一である場合、被告として必ずしも上訴が期待できない(予備的請求認容で満足するのが通常とも言える)
そして、予備的併合においては、被上訴人は主意的請求についても附帯上訴の意思があるものと考えるべきである(合理的意思解釈)
論点:第一審が主位的請求を認容し、被告が控訴した場合に、控訴審が主位的請求棄却の判断に至った場合に予備的請求の当否について判断することができるか?

できる
∵一審においては判断の対象となっていない予備的請求について控訴審のみが判断することは審級の利益を害するとも思えるが、そもそも主位的請求と予備的請求は択一関係にあって、共通の訴訟資料に基づいて審理されている以上審級の利益を害するとは言えないから