備忘録

学習備忘録

国家賠償法2条

2010-04-30 20:10:38 | 行政法
落石事件・大東水害訴訟・多摩川水害訴訟各判決の関係



①落石事件判決によって「瑕疵」の有無の判断について厳格な基準が示された(予算抗弁の排斥など)

→下級審がこれに従い、水害訴訟でも原告勝訴が多発

↓しかし

②大東水害訴訟判決では、落石事件判決の射程を「道路の瑕疵」に明確に限定し、河川については過渡的安全性で足りるとした

→行政の対応を事実上追認することになり、勝訴の余地が著しく狭まった

↓その中で

③多摩川水害訴訟では、「改修済みの河川」については、「想定された洪水から、当時の防災技術の水準に照らし通常予測し、かつ、回避し得る水害を未然に防止するに足りる安全性」が必要であるとし、大東水害訴訟判決の射程を未改修河川に限定した

事業譲渡

2010-04-30 20:10:08 | 会社法
・株主総会の承認を欠く事業譲渡は「特段の事情」のない限り無効である(リークエ401p、百選6)

※判例は、絶対的無効の立場を崩さなかった

訴訟告知と参加的効力

2010-04-29 19:26:02 | 民事訴訟法
「訴訟告知と参加的効力との連動を外す」とはどういうことか



参加的効力は、敗訴責任分担効を趣旨とする

↓とすれば

たとえ訴訟告知がなされ、条文上は告知された者は「参加したものとみなす」(53条4項)となっているとしても、訴訟告知をした者の相手方に補助参加した場合には、46条1項の「効力」は生じないと考えるべき

賃貸人たる地位の移転

2010-04-28 19:33:15 | 民法
○賃貸人たる地位の移転の流れ

原則は、「売買は賃貸借を破る」

∵所有権は物権、賃借権は債権(=特定人に対する給付請求権)

↓しかし

例外を認めるべき場面がある。では、何を根拠に例外を認めるべきか

(1)対抗要件を備えている場合



一定の要件を備えた賃借権は、物権取得者に対し

「効力を有する」(605条、SS法31条)

「対抗することができる」(SS法10条1項)

↓そして

これらの条文の効力として、目的物が賃借権の負担付きとなり、所有権の移転によって法律上当然に賃貸人たる地位が移転する。

以上の通り、法律上の効果が発生することからすれば、賃借人の同意が不要であるのは当然である。

このことは、賃借債務が無個性であることから、実質的な不合理性はない

(2)対抗要件を備えていない場合



この場合は、所有権移転の際の個別の合意が必要となる

↓なお

所有権移転合意の存在から、契約上の地位の移転の合意は推定される

↓そして

賃借人の合意は不要である∵かえって賃借人に有利

無留保承諾

2010-04-24 16:06:40 | 民法
債権譲渡に対する承諾(中央起案08②)
メモ
具体例



YがXに対する請負報酬債権をV に譲渡し、XはV,Y双方に対して異議をとどめない承諾をした。

しかし、XはYの債務不履行を理由に請負契約を解除した。

この場合にも、VはYに対して報酬債権の履行を請求できるかが問題となる。

→請求できると考える

↓∵
☆☆論点:468条1項の「譲渡人に対抗することができた事由」とはなにをさすか



抗弁権発生の基礎となる事実関係

をいう

※相手方の債務が未履行という事実をもって、解除権発生の「基礎となる事実関係」といえる

※条文に合わせた問題提起は以下の通り。

①468条1項は、無留保承諾をしたときは、「譲渡人に対抗できた事由」があってもこれを譲受人に対抗できないとする

②これは、無留保承諾をした時点での「対抗できた事由」に限られる

③一方、無留保承諾をした後に新たに発生した事由は、債務者は承諾時に留保しようがなかったのであるから、この事由を譲受人に対抗できない

④ただし、「対抗できた事由」は抗弁権そのものに限られず、抗弁権発生の基礎となる事実も含む

⑤したがって、承諾後の解除によって債権の遡及的消滅という事実が新たに生じたとしても、解除権発生の基礎となる事実関係さえ承諾時に発生していれば、「対抗できた事由」として譲受人に対抗できないことになる
☆☆☆論点:468条1項の「譲受人」に対しては、いかなる場合も「対抗することができない」のか



譲受人が、抗弁権発生の基礎となる事実関係の存在につき悪意あるいは有過失の場合は対抗できる

(=「譲受人」とは、「善意無過失の譲受人」と読む)

∵468条1項は、債務者の無留保承諾によって、抗弁の不存在につき譲受人に対する「公信力」が発生することを規定したもの