昨年、11月5日から11月10日にかけて発表した丁聡の「古代中国幽黙」から少し改編して再録。 . . . 本文を読む
バスの中で、
「お嬢さん、どうぞお座りください。」
「おじいちゃん、すぐ降りるの?」
「いいえ、お嬢さんのキャンディがさっきから、私の襟に滴ってるんでね。」
[原文]老大爷让座
在公共汽车里,“姑娘,你请坐吧!” “老大爷,您到站了吗?” “不 . . . 本文を読む
ある男、働くのが嫌で、何もしない。彼の家は非常に貧しかった。ご飯も満足に食べられなかったのに、彼はいつも金儲けばかり考えていた。ある日、外で一個の卵を拾った。うちへ帰って、彼はうれしそうに妻に言った。「金持ちになれるよ。ぼくは金持ちになれるよ。」妻は彼が掌に卵を一個だけ持っているのを見て言った。「一つの卵でどうすれば金持ちになれるの?」彼は妻に話し始めた。 「いいかい、ぼくには卵が一 . . . 本文を読む
丹徒郡出身の靳宰相には、不肖の息子がいて、その不肖の息子の息子は、科挙に合格した。宰相はいつも自分の息子にしっかりしろと叱っていた。
息子がそれに答えて言った。
「父上の父上は私の父上に及びませんでした。父上の息子は私の息子に及びません。どうして、私が不肖の息子と言えましょうか?」
これを聞いた宰相は大笑いして責めるのをやめた。
《丁聡「古代中国ユーモア」》 . . . 本文を読む
中国の黄学乾という人は裕福な家庭に生まれ育ち、五品の役人の職を金で買ったので、民衆の苦しみというものを知らなかった。
ある冬の日、厚着をして出かけ、寒風の中、震えながら立っているこじきを見つけた。彼は不思議に思って付き添いの者にたずねた。「この者はどうして体をがたがたと動かしているのか?」
付き添いの者が答えた。「寒いから震えているのです。」
彼はさらに不思議に思って言った。「まさか . . . 本文を読む
ある親子がいた。二人ともに強情で、人に譲るということを知らなかった。ある日、父が客を引きとめて酒を飲ませた。息子は父に言われて町へ肉を買いに行った。
肉を買って、さあ町の門を出ようとした時、ちょうど向こうから来た別の男と鉢合わせになったが、互いに道を譲ろうとしない。それから、二人は長い間にらみ合っていた。
心配した父親が様子を見に来て、子供に言った。「お前はひとまず、肉を持って帰り、客に料理 . . . 本文を読む
シェフが自分の家で料理中、肉を切っていた時、肉の一塊を自分のポケットの中に入れた。それを妻が見て言った。
「あんた!何やってるの?それ、自分ちの肉でしょう?」
シェフが言った。「あっ、忘れてた!」
[原文]偷自家的肉
有厨子在家切肉,匿一块于怀中。妻见之,骂曰:“这是自家的 . . . 本文を読む
ある客が飲み屋で酒が酸っぱいと言ったので、店主が怒って、その客を店の梁(はり)に吊(つ)るした。
そこへ別の客が来て理由を尋ねたら、店主曰く、「うちの酒は極上の酒なのに、こいつは酸っぱいと言うんだ。梁に吊るされて当然だろ。」
別の客曰く、「じゃあ私にも一杯飲ませてくれ!」
彼は飲み終わるとすぐに言った。「その客を放してやれ!代わりに私を吊るせばいい。」 . . . 本文を読む
泥棒がある人のうちに入ったが、ひどく貧乏な家だった。家具らしい家具もなくがらんとしていて、ただ、ベッドの脇に米櫃(こめびつ)があるだけだった。泥棒はしかたなくこの米を盗み、炊いて食うのもいいと思ったが、包むものがないので、自分の服を脱いで床(ゆか)に広げ、米櫃を傾けて、米を盗もうとした。
この時、ベッドの夫婦のうち、夫が目を覚ました。月明かりに照らされた室内で、泥棒が向こうを向いてまさに米櫃 . . . 本文を読む
琴の奏者が市中で琴を弾いたが、人々は琵琶三弦の類だと思って、大勢集まってきた。
しかし、琴の音が聞こえ始めると、みんな、「何だ!こんなものか!」と思って、一人また一人と帰っていった。しかし、ただ一人だけ残っている人がいた。琴の奏者は喜んで、「よかった。琴がよくわかる人がいたんだ。よし、期待に背かぬように頑張りましょうか」
残っていた人が言った。「その琴を置いてある机はわたしの家の物なんだ . . . 本文を読む
楊郎中(ようろうじゅう)という人の妻、趙氏(ちょうし)は、大変嫉妬深(しっとぶか)かった。
ある日、楊郎中が『詩経』にある周南の数編を何度も繰り返して朗読していた。
「皇后は、枝が曲がり垂れ下がった木のように、下の者に親切にし、決して嫉妬することはない」
「嫉妬しなければ男女関係はさらによくなり、子孫は繁栄する」
すると、これを聞いた彼の妻が尋ねた。
「どういう本に書いてある . . . 本文を読む
蜀の国は一時期、厳しく酒の醸造を禁止した。
醸造していた者は捕らえられ、罪に問われた。ひどいのは、以前から所蔵していた醸造用具が見つかったというだけで、数人の者が醸造した者と同様に罰せられたことだ。人々はこれはよくないと思ったが、劉備は聞く耳を持たなかった。
ある時、簡擁という人が劉備の外出につき従い、遠くの路上を一人の男が通り過ぎるのを見て言った。
「あの男を捕まえてください。あの . . . 本文を読む