藤田菜七子騎手=美浦・根本康広厩舎=が、JRAに引退届けを提出したことが分かった。師匠の根本康広調教師は11日、美浦トレーニングセンターで取材に応じ、「まだ受理はされていないです。本当は菜七子と一緒に(公の場に)に出るのが本当だとは思うのですが、菜七子はそういう精神状態ではないので。お騒がせして申し訳ありません。これまで自分の娘を面倒を見る感じで、20歳になるまではどこにでもついていきました。本人はもう戻ってこないと思います。私の万年筆を貸して、厩舎で大泣きしながら引退届けを書いていたことは一生忘れないです」と明かした。

 同騎手は10月10日に昨年4月頃までに、複数回にわたり、調整ルーム内に通信機器(スマートフォン)を持ち込んで通信していたことが分かり、10月11日から騎乗停止処分を受けていた。

 藤田騎手は1997年8月生まれで、2016年3月に、JRAとしては16年ぶりの女性騎手として川崎競馬場でデビューした。3月5日には中山2RでJRAデビューを果たし、51戦目の4月10日・福島9Rではサニーデイズで初勝利を挙げた。19年10月にはコパノキッキングとのコンビで東京盃を制し、JRA女性騎手として初となる交流重賞V。12月には同じタッグでカペラSを制し、女性騎手として初のJRA平地重賞勝利を果たすなど、女性騎手のパイオニアとして活躍。現役生活は8年半に及んでいる。