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結局「強い」だけでどうしたいのかさっぱり分からんアベの決意

2007年05月03日 | 時事
首相、憲法改正に強い決意…施行きょう60年で談話(読売新聞) - goo ニュース

 こいつの言うことはホンマに分からん。むかし大平正芳という首相がしゃべるときにやたら「あー」とか「うー」とかいうので「あーうー宰相」とか呼ばれたが,話の内容はスジが通ってた。それよか最近,竹下登というのが首相をやってたときに「言語明瞭意味不明瞭」と悪口を言われたが,あれは本人も周囲も「意味不明瞭にしておきたいんだな」という了解あってのものだった。

 ところがアベのは違うんだよね。本人は「言語明瞭,意味も明瞭」のつもりで喋ってる。それを聞いて記事を書く人もそれほど疑問には思わない(らしい)。でも,よく発言を読み返すとこれほど分かんないことはないのだ。

 例えばこれだ。

 「憲法の基本原則を不変の価値として継承しつつ、戦後レジームを原点にさかのぼって大胆に見直し……」

 戦後レジーム(アベは変なとこで横文字を使いたがるがこんなの「体制」でいいではないか)てのは何だ? つまり現行の天皇を象徴として頂く議会制民主主義体制のことである。それはどっから産まれたか? 孫悟空ぢゃあるまいし,石の裂け目から産まれたわけぢゃない。アベ達の言う「アメリカに押し付けられた憲法」から産まれたんぢゃないか。

 早い話がアベの言う「戦後レジーム」つうのは現行憲法理念の直接の体現なのだ。キリスト教の三位一体やインド哲学におけるブラフマンとアートマンの関係。理念を不変の価値として継承し,その顕現を原点(それは理念以外のなんなのだ?)にさかのぼって大胆に見直すなんてテレスコステレンキョウな話がどこにあるのか。

 何度も言うがオレは護憲派でもなんでもない。日本国民が法に基づいてそう決めるなら憲法でもなんでも改正すればいいし,軍隊や核兵器を持ちたければ持てばいい。どうしても北朝鮮が許せなければ戦争でも何でもやればいいし,世界征服を目指すならそれもいいではないかと思ってる。それらがみんな「民主主義」で決められた結果ならそれはそれでしょうがないぢゃねぇか。

 が,だ。その決定過程にこういう,「4年越しでやってる閉店セール」みたいな怪しげな論理が介在するのは願い下げである。アベが憲法を変えたいのは分かる。だが,どう変えたいのかが全然分からんのだ。憲法は変えたい,だけど「憲法の基本原則を不変の価値として継承する」という言い方は,こないだ腰砕けになって「河野談話を継承する」となったあれを思い出させる。

 こう言ったらなんだが,オレはそろそろ「こいつはただ『憲法改正を行った首相』になりたいだけなんぢゃないか」と思い始めている。でもそれなら「てにをは」のヒトツでも変えることができればいいわけなんだから,自分でも意味があいまいらしい言葉を無駄に弄するのはやめておいたほうがよかないか。



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