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香川の事件の父親の言葉遣い

2007年11月27日 | 時事
香川3人不明:祖母の知人男性聴取へ

 謎の多かった事件だが,これで解決に向かうのだろうか。とは言えここでおれが書きたいのは素人探偵を気取ったスイリなんかではない。一部で取り沙汰された「被害者の姉妹の父親(43歳)に対する疑惑」の話である。自分で確認していないのだが(つうか出来なかったんだが),ニュースで聞いたところでは,誰だか女性タレントが自分のブログだかで「あのお父さんは怪しい」「あのお父さんが犯人だ」とか書いて問題になり,ブログを閉鎖したとか芸能活動を停止するとか,そういう騒ぎになったらしい。

 オレもTVであの親父さん(つってもオレより年下なんだけさ)の発言は聞いた。そのタレントみたいに「絶対にこの父親が犯人だ」とは思わなかったが,なんちうか違和感というか変な感覚は覚えた。女性タレントが「このヒト怪しい」と思ったのが無理ないとまでは言わないが(ちうかそりゃいくらなんでも短絡的だと思うが),なんかそう思わせる要素はあったんぢゃないか,と。

 で,思い当たったのはこのヒト,TVカメラに向かって自分のことを「オレ」って言ってるってこと。語尾も「です,ます」ぢゃなくて「……でな,……したんや」という感じ。これが何を連想させるかというと,つまりはカメダ親子なんだよ。

 たとえばオレだって,ここにはこんな文体でモノを書いているけど,仕事の打ち合わせとか,そうでなくても初対面の人に逢ったとき,簡単に言えば気安い仲間同士の会話以外では基本的に「です,ます」を使う。それが礼儀だとかそういう意識が明確にあるわけぢゃなくて,自然にそうなる。なりませんか?

 で,TVを観ている視聴者ってのはオレも含めて,カメラの前で喋っている誰かと「仲間同士」だと思ってない。だからカメダ親子の言葉遣いがカンに障る。あれ,同じ言葉遣いをたとえば学生時代の悪友にされても腹は立たない。少なくともオレはそう思う。

 普通TVに出る人ってのはそういうことを無意識のうちに了解していて「です,ます」を使う。以前は畑にいるところをインタビューされる田舎の爺ちゃんとかに,そうでない人もいたけれど(それはまた「純朴さ」という範疇で理解されてた),最近はそういう人もとんと見なくなった。

 あの親父さんがどうしてあそこでああいう言葉遣いをしたのかは分からない。事件に気が動顛していてカメラを意識できなかったということかも知れないし,たまたまああいう言葉でしゃべっているところだけが編集されたのかも知れない。まぁ後者だとすればそれはそれで問題なんだけど,あれが「です,ます」で喋られたと想像してごらん。全然印象違うでしょ。

 要は,現代,TVカメラの前で「オレが……してな,……したんや」というような物言いをすると視聴者に想像以上に悪い印象を,それこそ受け取り手によっては「この人が犯人!」と確信させる印象を与えてしまうということだ。……やっぱりTVというのは怪物だよね。



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1 コメント

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あれが普通の口調だという話も (たまどん)
2007-11-27 16:09:29
 喋り方というのは、公的な場(仕事であれ何であれ)の場数によってトレーニングされるわけですが、あの親父さんはどうもそうした場に立った事が無い人のようです。
 強面の面構えも併せて「良い印象を与えない」状態だった事は確かですが、公的な場の経験も少なく、人付き合いも限られた範囲、というのは田舎の人には珍しくないわけで、喋り方を知らぬ人が、無理してシドロモドロになっても、結局「怪しい」と思われるんでしょうなぁ。
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