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憲法は変えよう,民法はそのまま?

2007年04月08日 | 時事
「性道徳、貞操義務」崩れる 長勢法相、300日問題で(朝日新聞) - goo ニュース


 「日本の家族をつくり変えようという国民の理解があるとは思えない」
 
 この日本語がえらく分かりにくい。これってつまり
「この民法の条文を変えちゃうと日本の家族がつくり変えられちゃうということを馬鹿な国民は理解しないで賛成してんぢゃないのか」
って言ってるのだろうか? イマイチ他の意味には取りづらいんだけど,こんな馬鹿なこと言っていいとも思えない。ここにもまた政治家トクイの「通じなかった真意」というのが潜んでいるのだろうか?

 なにが馬鹿げて聞こえるかって,このナガセ法務大臣というヒトが「法律を変えると実態が変わる」と思ってるらしいことなのね。そうでしょ? 法律を変えようというのは日本の家族をつくり変えようということだってんだから。この論法って以前あった夫婦別姓を認めるつう話のトキも使われたよね。で,オレ,この論法自体には文句はありません。その当否はともかく(当否から言ったらやっぱり否っぽいと思う),そういう考え方もあっていい。法律というのはいたずらに実情を追認するものではなく,理想を掲げてそこからの逸脱を戒めていくもの,ということね。ここまでいいですか?

 だけどそれをアベ内閣の閣僚が言ったらヘンなのである。だってこの内閣は「日本国憲法が実情に合わなくなってきているから改正するんだ」というのが大方針なのだから。民法は実情に関係なく従前のものを守るのに憲法は実情に合わせて変えなくちゃいけないの?

 誤解のないように言っておくとオレはいわゆる「護憲派」ではない。改正案の中身についての論議は別として,実情に合わない法律を改正するというのは法治国家として当然のことだと思う。でもさー,いま実際に憲法9条があるおかげで精神的経済的その他ナントカ的に不利益を被ってるヒトはあんまりいなさそうぢゃないの? それに比べてこの民法の規定は実際に自分の子を離婚した前夫の戸籍にいれないために裁判やらされたりなんだかんだと不利益があるわけだ。憲法は急げ民法はほっとけちうのはその緊急性という意味でも変だろ。

 しかも憲法と違ってこの法律,改正に国民投票が必要なわけでもないでしょ? あ,ナガセ大臣の「国民の理解」ってまさか「これも国民投票で聞かないとわかんない」って意味なんか?



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