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「吉兆事件」にはがっかりした

2007年11月10日 | 時事
船場吉兆本店でも偽装 「但馬牛」実は九州産(朝日新聞) - goo ニュース

「吉兆事件にはがっかりした」と書くと,「お前は『吉兆』のもんなんか食ったことがあるのか」と突っ込まれそうだ。正直,ない。いや,ないと思う。たぶんないんぢゃないかな。……あれは知らないうちに口に入ってるって類いの商品でもないだろうし(笑)。でもがっかりしたのだ。それは多分あなたが思っている意味とはずいぶん違うがっかりだと思うが。

 オレの持っていた「吉兆」のイメージというのは,おそらくこれを読んでいるあなたも大差はないと思うが(あったら失礼,そういう方にお読みいただけて光栄ですわ),「オレたちには一生縁がないであろう高級料亭」というものだ。

 ♪粋な黒塀見越しの松に~ぢゃないが(もともとはこれ,妾宅のイメージなんだけどね),とにかく1ブロックは続こうかという黒い塀に囲まれた立派な建物で,格子戸の脇に『吉兆』とだけ墨書された行灯看板が光っている。外から伺うと格子戸の向こうにはキレイに手入れされた植木を縫って敷石が玄関まで続き,中では夜ごと悪巧みが行われている……。

 その吉兆グループの一角,「船場吉兆」が賞味期限切れの食品を扱っていた,という第一報を聞いたとき,オレがまず思ったのは「ざまみろ,高い料亭で古い食材を食わされてた金持ちどもめ」ということだった。……われながら発想がさもしいが,ホントにそう思ったんだからしょうがない。

 なのに,なによ。期限切れだったのはデパ地下で売ってたお菓子であって料亭の食材ぢゃねぇんだと。続いて明らかになった鳥肉のスキヤキだの牛のみそ漬けだのも,みんなデパ地下商品ではないか。賞味期限を100日以上過ぎたクリの甘煮だの70日遅れの黒豆の煮たのだの,まさか料亭の客が食い残したのを詰めてたってわけぢゃないよな?

 これはつまり「船場吉兆」の人たちが「料亭の客と違ってデパ地下でウチの商品を買うような客は味ぢゃなくてブランドを買うのだ。だから質の低いものを出しても全然大丈夫」と思ってたということであり,また実際のところホンマに全然大丈夫だったつうことなのである。なんかつまんない話ぢゃないの。

 ニュースによれば船場吉兆の社長は辞任,農水省は同社に対してJAS法違反として改善指示をしたそうな。が,オレが興味あるのはこれらの商品が今後どう「改善」されるのか,である。

 今後はちゃんと「ブロイラー」と明記して「鳥のスキヤキ」を売っていくのか,それともホンマに地鶏を使うようにするのか? 地鶏を使って今までの値段を維持できるのか? と言って,値段が変わらない(とにかくブロイラーで1万円前後してたのだ)となれば今まで買った客が怒りそうだし。……ブロイラーと明記するとして,「吉兆」ブランドのブロイラーと名もないどっかの地鶏のどっちをデパ地下の客は選ぶのかしら? 興味尽きない話である。





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