きょうの世界昔話 gooブログ編

アンデルセン童話やグリム童話など、世界の昔話をイラストと朗読付きで毎日配信。

2月28日の世界の昔話 大きなカブ

2010-02-28 11:31:13 | Weblog

福娘童話集 > きょうの世界昔話 > 2月の世界昔話


2月28日の世界の昔話


大きなカブ



大きなカブ
グリム童話グリム童話の詳細


 むかしむかし、ある村に、大変働き者のお百姓さんがいました。
 お百姓さんは毎日毎日、一生懸命に畑仕事をしています。


 ある年の事です。
 お百姓さんは畑にカブの種をまきましたが、どうしたわけかカブはたった一本しか芽を出しません。
 ところがその一つのカブが、ぐんぐんぐんぐん大きくなり、ついには人が三人も手をつながなければかかえられない程の大きさになったのです。
「こいつはたまげた。こんなにでっかいカブなんて、見た事も聞いた事もない」
「これは、カブの王さまじゃ。いや、カブの化け物じゃ」
 近所の人たちも、そう言って驚きました。
 とても珍しいカブなので、お百姓さんは王さまに差し上げようと考えました。
 そこで大きなカブを荷車に乗せて二匹の牛に引かせると、王さまのお城へ行きました。


「おお、これは素晴らしい」
 王さまは、カブを見てびっくりです。
「こんなに大きな物が作れるとは、感心じゃ。きっと、そなたが真面目に働いていたからであろう」
 王さまはそう言って、たくさんのお金をお百姓さんにご褒美としてやりました。
 さあ、この話は村中の評判になりました。
 そして、この村に住む欲張りな男が、こう考えました。
「おれはカブなんかより、もっと良い物を王さまに差し上げて、もっとたくさんの褒美をもらってやろう」
 そこで欲張りな男は自分の大切な馬に、お金をいっぱい積んで王さまのお城へ行きました。
 そして馬ごと、そっくり王さまに差し上げました。
「これは、ありがたい」」
 王さまは、とても喜びました。
「何か、お返しに褒美をやりたいが、お金の褒美がお金では変だな。・・・そうだ、あの珍しい大カブをつかわそう」
 そう言って王さまは、お百姓さんからもらったカブを男にあげたそうです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → バカヤローの日
きょうの誕生花 → みすみそう(ゆきわりそう)
きょうの誕生日 → 1978年 菊川怜 (タレント)



きょうの日本昔話 → クラゲのおつかい
きょうの世界昔話 → 大きなカブ
きょうの日本民話 → 人形のお嫁さん
きょうのイソップ童話 → 足をけがしたふりをするロバとオオカミ
きょうの江戸小話 → おれじゃない


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2月27日の世界の昔話 忘れな草

2010-02-27 07:06:37 | Weblog

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2月27日の世界の昔話


わすれな草



忘れな草
スイスの昔話 → スイスの国情報


 むかしむかし、あるところに、とても仲の良い男の子と女の子がいました。
 ある時、この二人が山に出かけました。
 手をつないで歌を歌いながら道を進むと、やがて川が見えてきました。
「あら、あんなところに花が咲いているわ」
 女の子が見つけたのは、流れの早い川のすぐそばに咲いている青い花です。
 女の子が大好きな男の子は、女の子の為にその花を取ってあげようと思いました。
 男の子は体が濡れるのも気にしないで、水しぶきがかかる岩を登っていきました。
 ところがその花に手を伸ばした途端、男の子は濡れた川の水で足を滑らせました。
 男の子はあわてて花をつむと、女の子に向かってその花を投げました。
 そしてそのまま川に落ちると、すごい早さで流されて行きます。
 ゴウゴウと言う水の音に混じって、男の子の声が聞こえて来ました。
「大好きだよ! いつまでも、ぼくを忘れないでね!」
 その時からその青い花には『わたしを忘れないでね』という意味の『わすれな草』という名前がついたそうです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 新撰組の日
きょうの誕生花 → サキシフラガ(くもまぐさ)
きょうの誕生日 → 1969年 富田靖子 (俳優)



きょうの日本昔話 → 二月の桜
きょうの世界昔話 → わすれな草
きょうの日本民話 → 牛になるまんじゅう
きょうのイソップ童話 → ライオンの皮を着たロバとキツネ
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2月26日の世界の昔話 軍馬と粉屋

2010-02-26 06:39:30 | Weblog

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2月26日の世界の昔話


軍馬と粉屋



軍馬と粉屋
イソップ童話 → イソップ童話とは?


 年老いて身体の弱った軍馬が、戦場へ送られる代わりに粉引き場へと送られました。
 彼は自分の運命なげいて、粉屋にこう言いました。
「聞いておくれよ粉屋さん。俺はこう見えても、むかしは戦場でたくさんの手柄を立てたものさ。きれいな鎧で飾られて、いつも馬丁がつきっきりで世話を焼いてくれたものさ。・・・でも、今ではこの有様さ」
 すると、粉屋が言いました。
「むかしの事をくどくど言うのはおよしよ。人生には、浮き沈みがつきものさ。とにかく今は、これからの生活を考えなくっちゃ」


 以前がどうこうと言っても、これからの暮らしが変わる事はありません。
 今は、今出来る精一杯の事をするしかないのです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 咸臨丸の日
きょうの誕生花 → スノードロップ
きょうの誕生日 → 1956年 桑田佳祐 (ミュージシャン)


きょうの新作昔話 → スズメがお米を食べる理由
きょうの日本昔話 → ひっぱりあいず
きょうの世界昔話 → 軍馬と粉屋
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きょうのイソップ童話 → 旅に出たディオゲネス
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2月25日の世界の昔話 山のおかしら

2010-02-25 07:46:12 | Weblog

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2月25日の世界の昔話


やまのおかしら



山のおかしら
フィリピンの昔話 → フィリピンの国情報


 むかしむかし、マヨンという山の近くに、シヌクアンという大男がいました。
 体中が動物の様に毛むくじゃらで、髪の毛もかれ草の様に伸び放題ですが、でも子ども好きの優しい若者で、よく子どもたちを集めては、
「さあ、坊やたち。みんなでおじさんの腕(うで)にぶら下がってみな」
と、子どもたちに太い腕でブランコをさせたり、逆上がりをさせたりして遊びました。
 また村の力仕事を手伝って、みんなから喜ばれていました。

 ある日の事、シヌクアンのところへ山のけものたちがぞろぞろとやって来ました。
「さてはお前たち、また畑を荒らしにやって来たのだな?」
 シヌクアンが言うと、けものたちはあわてて言いました。
「と、とんでもございません。シヌクアンさまの様な力持ちのおられるところへ、どうして畑を荒らしになど来るものですか。実は、お願いがあってまいりました。シヌクアンさまにわたしたちけものの、お頭(かしら)になって欲しいのです」
「お頭にだって?」
「はい。シヌクアンさまほど、人の為に尽くす人はおられません。それで、そういう方こそ、けもののお頭になって頂きたいと、みんなでお願いにやって来たのです」
 シヌクアンはしばらく考えていましたが、やがて胸をボンと叩いて言いました。
「よし。頭になってやろう。困った事があったら、いつでも相談に来る様に」

 次の朝、シヌクアンがまだ寝ているところに、一羽の小鳥がやって来ました。
「お頭。いつでも困った事とがあったら相談に来る様にとおっしゃったので、さっそくお願いにまいりました。実は、わたしが住んでいる森の奥に沼(ぬま)があるのですが、そこのカエルどもが『ギャアー、ギャアー』うるさく鳴いて困っているのです」
「ふーん。しかしカエルは歌が好きだから、みんなで歌でもうたっているんだろう」
 シヌクアンは眠い目をこすりながら、小鳥をなだめました。
「いえいえ。歌などではありません。汚い声で夜通しわめくんですよ。おかげで小鳥たちは一晩中寝られなくて、もうフラフラです。どうか、カエルどもをこらしめてください」
「ふーん。それはカエルが悪いな。よし、カエルを連れて来い」
 やがて小鳥と一緒に、年を取ったカエルがシヌクアンのところへやって来ました。
 シヌクアンが小鳥の話をしてカエルを叱ると、カエルはふくれっ面で答えました。
「お頭。わたしたちカエルが夜通し鳴いているのは、歌が好きな為ではありません」
「何? それはどう言うわけだ?」
「実は、カメが悪いからですよ。
 カメがあの大きな重い家を背負ったまま、ドボンドボンと沼(ぬま)へ飛び込みので、危なくてしょうがないんです。
 それで下じきになって潰されない様に、自分のいるところをカメに知らせる為に鳴いているんですよ」
 シヌクアンは、カエルの言う事がもっともだと思いました。
「そうだったのか。よし、けしからんカメを連れて来い」
 年を取ったカエルは、やはり年を取ったカメを連れて来ました。
 でもカメは何も言わず、首をすくめて黙っています。
「こら、カメ。黙ってないで謝ったらどうだ? 今後は家を背負ったまま、沼へ飛び込んではならんぞ」
 するとカメは、長い首を出して言いました。
「お頭さま。それはお話が違います。
 わたしどもは、カエルさんに怪我をさせるつもりで沼へ飛び込むのではありません。
 沼に住んでいるホタルが、ボウボウと燃えている火を持って飛び回るので、家を焼かれては大変だと沼へ飛び込むのでございます」
「ふーん。ホタルが火遊びをしているとは知らなかった。確かに家を焼かれては大変だな。よし、けしからんホタルを連れて来い。こらしめてやる」
 しばらくするとカメはホタルを連れて、シヌクアンのところへやって来ました。
「お頭。お待たせいたしました。こいつが火遊びをしているホタルでございます」
「うそです。わたしたちは火遊びなど、一度もした事がありません」
「ほう、それならなぜ、火を持って飛び回っているんだね」
「それは、悪い蚊(か)どものせいです。
 奴らがチクリ、チクリと鋭い剣でわたしたちを刺しますので、わたしたちは火をつけて夜通し蚊の見張りをしているのです」
「さてさて、一つの出来事でも調べれば調べるほど、奥が深いものだ。
 それではそのけしからん蚊を連れて来い。こらしめてやる」
 間もなくホタルに連れられて、蚊がブンブン言いながらやって来ました。
「これこれ、蚊。お頭のシヌクアンさまにごあいさつをしないか」
 ホタルが言いましたが、カは知らん顔でブンブンと言うばかりです。
「こら、蚊。お前は、やたらにその剣でホタルを突き刺すそうだが、それに間違いはないか?」
 シヌクアンが聞きましたが、カは返事をしようとしません。
「返事が出来ないところをみると、この騒ぎの原因は、やはりお前だな。よし。罰としてろうやに入れてやる」
 シヌクアンは山中の蚊を捕まえると、ろうやの中へ入れました。
「やれやれ。これで一安心だ」
 山のけものたちは、みんなホッとしました。
 ところがメスの蚊は謝ったので、許してもらいました。
 でもオスの蚊だけは、どうしても謝りません。
 それで長い間、ろうやに閉じこめられたために、オスのカは声を出すのを忘れてしまったそうです。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 夕刊紙の日
きょうの誕生花 → カランコエ
きょうの誕生日 → 1972年 有野晋哉 (芸人)



きょうの日本昔話 → カニにまけたネコ
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2月24日の世界の昔話 橋の上の幸福

2010-02-24 07:47:29 | Weblog

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2月24日の世界の昔話


橋の上の幸福



橋の上の幸福
ポーランドの昔話 → ポーランドの国情報


 むかしむかし、スウーピア川と言う川のほとりに、小さな家がありました。
 この家には、お父さんとお母さん、それに三人の子どもが住んでいました。
 お父さんは働き者でしたが、家は貧乏だったので三人の子どもたちはいつもお腹を空かせていました。
 ある年の春、家に食べ物がなくなった為、お父さんはスウーピア川に釣りに出かけました。
「どうか神さま、魚の一匹でも釣らせて下さい」
 お父さんは頑張りましたが、夜になっても魚は一匹も釣れませんでした。
「ああ、なさけない父親だ」
 お父さんは、トボトボと家に帰りました。

 家では、子どもたちがお母さんと眠っていました。
 テーブルの上には、ヤギのミルクがほんの少しお皿に残っています。
「今夜の晩ご飯は、ヤギのミルクだけだったのか。そのうちにヤギもやせてしまって、ミルクを出さなくなるだろう」
 お父さんは大きなため息をついて、ワラのベッドに潜り込みました。
 その夜、お父さんは不思議な夢を見ました。
『シチェチンの大橋の上で、幸福に出会うよ』
 夢の中で、誰かがお父さんに言うのです。
 朝になって目を覚ましたお父さんは、夢の言葉を繰り返しました。
「『シチェチンの大橋の上で、幸福に出会うよ』か。一体、どんな幸福だろう。・・・いや、ただの夢じゃないか。本気にするなんてバカバカしい」
 お父さんはそう思って、その日も釣りに出かけました。
 けれども今日も、魚は釣れませんでした。
 そして夜になると、また同じ夢を見たのです。
『シチェチンの大橋の上で、幸福に出会うよ』
 お父さんは、首をかしげました。
「二日も続けて同じ夢を見るなんて、もしかすると・・・。いや、腹が空き過ぎて、頭がどうかしたのかもしれない」
 次の日、お父さんはまた川へ釣りに行きました。
 けれど魚は釣れず、夜になるとまた同じ夢を見たのです。
『シチェチンの大橋の上で、幸福に出会うよ』
 朝になると、さすがに気になってお父さんはお母さんに夢の話をしました。
「三日も続けて見るって事は、これは神さまのお告げかもしれねえ。バカバカしいと思うかもしれないが、そんな気がするんだ」
 するとお母さんは、真面目な顔で言いました。
「きっと、神さまのお告げですよ。ちょうどシチェチンで市場が開くから、ついでに市場で働いておいでよ。神さまのお告げだもの。パンの一斤(きん→重量の単位で、1斤は約600グラム)くらいめぐんで下さるわよ」
「そうだな。そうしよう」
 こうしてお父さんは、さっそく出かけて行きました。

 お父さんは途中で友だちの馬車(ばしゃ)に乗せてもらい、三日後にシチェチンの大橋に到着しました。
「さて、まずは幸福を待ってみるか」
 お父さんは夢のお告げ通り、大橋の上に立ってじっと幸福を待ちました。
 でも、夕方になっても何も起こりません。
 今から市場へ行って仕事を探すには遅すぎるし、宿に泊まるお金もありません。
「仕方ない。今夜は橋の下で眠るか」
 お父さんが橋の下で身を震わせると、一人の老人が近づいて来ました。
「どうしたね。こんなところで震えて」
「はい、それは・・・」
 お父さんは、三日続けて見た夢の話をしました。
 すると老人は手を叩いて笑い、こう言ったのです。
「そうか、そうか。
 実はな、わしも同じ夢を三日続けて見たんじゃよ。
 何でもスウーピア川のほとりに貧しい五人家族の家があってな。
 その家の暖炉(だんろ)の下に大金が埋めてあるから、掘ってみろと言うんじゃ。
 しかし、誰がそんな夢の話を信じるかね」
 話を聞き終わると、お父さんは老人の手をしっかりと握りしめ、
「そうですね。私が馬鹿だった。すぐ帰ります」
と、別れを告げて、大橋から遠い家まで走って行きました。
(スウーピア川のほとりの五人家族の貧しい家と言ったら、おれの家しかないはず)
 お父さんは走って走って友だちの馬車に追いつき、三日後には家に帰りつきました。
「あら、あなた、おかえりなさい」
「お父さん、パンは?」
 出迎えるお母さんと子どもに返事もせず、お父さんはオノでいきなりレンガの暖炉を壊し始めました。
「あなた、何するの!」
 驚いたお母さんが止めようとしましたが、暖炉を壊したお父さんは次に暖炉の下を掘り始めたのです。
 お母さんも子どもたちも、お父さんがあまりにも真剣なので、何も言わずにそばでジッと見ていました。
 そしてしばらくすると、お父さんが大声で叫びました。
「あったぞ!」
 そして土の中から大ナベを重たそうに引き上げると、それをテーブルに運んでふたを取りました。
「まあ!」
 大ナベの中には、金貨がたくさん入っていたのです。
「あなた! 夢のお告げはこれだったのね!」
「そうさ! これが夢でお告げのあった幸福だったんだ」
 お父さんはその金貨でパンとソーセージを山ほど買い、子どもたちとお母さんにお腹一杯に食べさせました。

 実はこの金貨は、お父さんのひいじいさんが貯めた物でした。
 ひいじいさんはこの金貨で、レストランを開こうと考えていたのです。
 その事を思い出したお父さんは、残った金貨でシチェチンの大橋にレストランを開きました。

 そのレストランはとても人気を集めて、家族は幸せに暮らしたという事です。


おしまい


きょうの豆知識と昔話


きょうの記念日 → 月光仮面の日
きょうの誕生花 → クロッカス
きょうの誕生日 → 1967年 コージー冨田 (タレント)


きょうの新作昔話 → 一人ぼっちのコウモリ
きょうの日本昔話 → 鼻かぎ権次(ごんじ)
きょうの世界昔話 → 橋の上の幸福
きょうの日本民話 → 爺婆かぼちゃ
きょうのイソップ童話 → よっぱらいとおかみさん
きょうの江戸小話 → 小男のねがい


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