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THE WIND SYMPHONY

2016年度全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅰ“マーチ・スカイブルー・ドリーム”の作曲者、矢藤学のブログです。

【作曲】君と見たニライカナイ-吹奏楽のために-

2023-10-07 21:17:26 | 作曲・編曲作品
https://www.youtube.com/watch?v=w3931Yhb-Vg

曲名  :君と見たニライカナイ-吹奏楽のために-
様式  :作曲
演奏時間:8分55秒
グレード:★★★★☆
編成  :大編成
備考  :一般社団法人C→Brassウインドオーケストラ【沖縄をテーマにした吹奏楽曲公募】入選

「沖縄文化への理解が感じられること」「吹奏楽作品として後世に残す魅力と普遍的価値が感じられること」「演奏時間6分から9分」というお題の公募でした。賞金70万円…チョー魅力的!…結果は賞金どころか録音もない、文字だけ発表の「入選」というビミョーな結果でした。まあそうだろうな…とは思っていましたが、がっくり来たのは正直事実です。

審査の中身はよく分かりませんが、敗因は2つあると思っています。1つ目は正直もう本当に時間がなかった…。実質1か月かかっていないのでは…というスピードで書き上げました。ラスト10日間はもう朝4時前に起きて2時間書いて出勤して、帰宅して1時間書く…みたいな感じでした。クオリティ的な意味でもう少し時間をかけたかった…のは事実。そしてもう1つの失策…「難しすぎる」。途中「ウカミの踊り」という部分が出てくるのですが、自分で書きながら、これ演奏できるんか…?という一抹の不安が。この公募、youtubeで中高生とともに大合奏、という趣旨がありまして、その部分を失念しておりました。ああ、もっとカンタンな内容にすればよかった…。

色々と個人的には反省点ばかりの作品です。とはいえ、バストロンボーンを独立したパートとして使用、琉球音階の応用、カチャーシーの吹奏楽化、ローマの祭りの主顕祭みたいな拍子の設定…など、今までやったことのないことができました。この曲の主題となる動機は以前に書いた“群青とペダル-吹奏楽のために”と同じなのですが、この主題にひたすら循環する上行と下行を入れて、何かJ.マッキーっぽい音ができたのも収穫でした。ド短期の中でもいくらか考えることはできたとは思います。

だがしかし…疲れました。この曲はもう本当に疲れました。何で期日に間に合うことができたのか不思議なレベル。この曲と並行して、アレンジ2曲と吹奏楽編成の作曲1曲をやっていましたが、「公立中学校の教員」という仕事をしながらゴリゴリした作曲編曲をいくつも並行して行うのはもう本当にしんどいです。でも仕事柄、勤務時間を減らすことはできません。お仕事いっぱい!櫛田胅之扶先生が教員時代は定時になったら即帰宅…という噂(真偽不明)を聞いたことがありますが、当時よりPCの性能で効率はダントツ上がっておりますものの、「試行錯誤する時間」がとれない作曲はもはや作曲なのだろうかと思います。

閑話休題。曲は【海に沈む都市】【ウカミの踊り】【渚にて】【平和の祭典】という4つの部分から成ります。「Des=death=死の音」「As=明日=生の音」という設定をして「生と死が絡み合う」みたいなことを考えています。ですので、全体的に変ニ調です。これはコーラルブルーの美しい沖縄の裏側には戦争の歴史がある、という至極まっとうに大切にせねばならない事実を組み込むためです。ただ、私の能力では「戦争」を描くことはできません。そこで沖縄の民俗的信仰である「ニライカナイ=異界=あの世」のお力を借りることと致しました。また、当然のことながら沖縄を描くのに琉球音階を用いるのですが、それだけだと面白くないので琉球音階の応用を考えました。すると琉球音階と、別のある音階の親和性に気づき、ここから「死の音」「生の音」「生死の伴わない音」という3種類の音を設定し、楽曲を構成しております。前半の無調な部分は全部それを土台に作っております。後半の【平和の祭典】はもうそのまま、カチャーシー。みんなでとりあえず太鼓をもって、カチャーシー。いやでも、沖縄ってこうでしょう、きっと!会場全体で太鼓をもって、歌をうたって、ボルテージマックスでカチャーシー。ですので、後半はあきれるほどシンプルな曲です。

そろそろ作曲の分水嶺に来ている気がします。まあまあ、以前よりは書けるようになってきた…が、しかし結果が伴わない。朝日作曲賞も惜しいところまでは来るけれど…うーん。何かが根本的にダメなのでしょう。そしてやっぱり痛感するのが「プロには勝てない」。アマチュア片手間PC作曲の限界が見えてきました…が、ここを超えられるのか。そんなことを考えた公募でした。
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