THE WIND SYMPHONY

2016年度全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅰ“マーチ・スカイブルー・ドリーム”の作曲者、矢藤学のブログです。

【作曲】吊-独奏ヴィブラフォンのために

2021-02-13 09:07:21 | 作曲作品
コンピュータによる音源

曲名  :吊-独奏ヴィブラフォンのために
     " TSU-RI " for Solo Vibraphone
様式  :作曲(ヴィブラフォン独奏)
演奏時間:3分20秒程度
グレード:★★★★★
特殊楽器:scream / foot stamp / chair
備考  :エフェクトはフリー素材から。
コメント

【作曲】ソフィアの微笑み-サクソフォーン四重奏のために

2021-02-06 20:58:25 | 作曲作品

コンピュータによる音源(youtube)

曲名  :ソフィアの微笑みーサクソフォーン四重奏のために
様式  :作曲(サクソフォーン四重奏)
演奏時間:5分00秒程度
グレード:★★★★☆
推奨編成:S/A/T/B
特殊楽器:なし
備考  :第3回おとつくらぼのために作曲。

———人々の営みから忘れられてしまった古代の遺跡。そこに横たわる朽ち果てた、少女・ソフィアの石像…そのアルカイック・スマイルは一体何を見て、何を思う微笑みなのか。

初演のイベントが「Face」をテーマとし、冒頭は必ず「F-A-C-E」の音型で始めること、作品のテーマは「Face」であることから、冒頭の音型を基に自由な幻想曲として作曲致しました。演奏時間5分というのは、演奏会ピースとしてはもちろん、アンサンブルコンテストピースとして機能しうるように設定しております。

無調と調性を行き来し、サクソフォーンアンサンブルの機動性と叙情性を押し出せるように、それでいて中高生がしっかり練習すれば十分演奏でき、なおかつ楽しく演奏できる作品であることを意識して作曲しています。
コメント

【作曲】笑う星の7つの断章-金管六重奏のために

2021-02-06 20:56:50 | 作曲作品

コンピュータによる音源(youtube)

曲名  :笑う星の7つの断章-金管六重奏のために
     Ⅰ.飛行機 Ⅱ.箱 Ⅲ.バオバブ Ⅳ.星巡り Ⅴ.麦畑 Ⅵ.毒 Ⅶ.夜空
様式  :作曲(金管六重奏)
演奏時間:15分
グレード:★★★★☆
推奨編成:Trumpet1st Trumpet2nd Horn Trombone Euphonium Tuba
特殊楽器:なし
備考  :第3回おとつくらぼのために作曲。

———「ぼく」が「かれ」から聞いたこと、「ぼく」が「かれ」と一緒に見た風景、そして「ぼく」と「かれ」の間にある夜空が、「ぼく」が何者であるかを教えてくれた。

あるお話を題材に、そのお話の世界観を踏まえて作曲致しました。ただ、そのお話が何であるかを知らずとも、あるいは知らない方がよいかもしれません。各楽章の副題は、それぞれお話に登場する「ものを言わぬもの」たちです。ただ、星巡りだけは具体的なワードとしてお話には登場しておらず、続く楽章の冒頭ホルンの旋律が、宮沢賢治の“星めぐりの歌”に引き寄せられているところに由来します。

初演のイベントが「Face」をテーマとし、冒頭は必ず「F-A-C-E」の音型で始めること、作品のテーマは「Face」であることから、Ⅶ楽章の旋律⇒Ⅰ楽章のファンファーレ⇒全体の統一テーマとして15分間にわたって変奏されていきます。また、15分間の演奏会ピースとしても機能するのはもちろん、5分間程度の抽出によるアンサンブルコンテストピースとしても機能しうるよう、楽章の取り出し方によって様々な雰囲気の音楽になるように、すべての楽章の様相が異なるようになっています。また、難易度も楽章ごとに違います。

〔Ⅰ・Ⅳ・Ⅶ〕 難易度がもっとも簡単で調性音楽が揃います。
〔Ⅱ・Ⅴ・Ⅲ〕 無調で技巧的な難易度の高い取り出し方です。
〔Ⅵ〕     もっとも難しい楽章ですが、これ1曲で成立します。

このように楽章の順番を入れ替えたり、部分的にカットすることも可能で、もともとそういったことを想定して作っております。もちろんこれ以外の組み合わせも可能です。また、六重奏にしたのは、打楽器2名を加えたJ.グラステイル作品のような管打アンサンブルに変更したり、難しいパートを分解して最大八重奏にしたりできるようにするためです。なお、ラストは弱奏で終わっておりますが、派手にバーンもアリだと思っています。

演奏される方々それぞれのスタイルで自由に演奏して欲しい作品です。
コメント

【作曲】バスクラリネット・コンチェルティーノ『ミントグリーン・フィールズ』

2021-01-21 06:25:14 | 作曲作品

トリオリダクション版
第1楽章 desire
第2楽章 dream

吹奏楽版

曲名  :バスクラリネット・コンチェルティーノ『ミントグリーン・フィールズ』
     Ⅰ.desire Ⅱ.dream
様式  :作曲(吹奏楽フル編成)
演奏時間:第1楽章/3分30秒 第2楽章/5分30秒
グレード:★★★★★
トリオリダクション版編成:Bass Clarinet Piano Multi Percussion
吹奏楽伴奏版は中小編成吹奏楽+バスクラリネットソロ
特殊楽器:なし
備考  :難しい

バスクラリネット奏者・杉本能氏 委嘱作品

「吹奏楽伴奏のバスクラリネット小協奏曲」「室内楽版も同時製作」「相反する2章」…という大枠で作曲。曲名は委嘱者の方につけていただきました。第1楽章は重音を多用した技巧的で無調性な作品、第2楽章は調性のあるオシャレな作品を目指しました。

第1楽章 生きることへの渇望=desire
第2楽章 今ここにある幸せ=dream

なお、本作はホームページによる依頼で承りました。

コメント

吹奏楽曲、アンサンブル曲の制作、承ります。

2020-12-30 06:59:09 | お知らせ
管楽器・打楽器・吹奏楽曲の制作を、「無償」で承ります。
※現在、ご依頼をいただいておりますので、ご依頼の受付は中断しております。次回のご依頼受付再開は2021年5月頃を予定しております。



基本的に吹奏楽・管、打楽器アンサンブルでお願い致します。
⑴作風は過去の作品をご参考ください。オーダーがあれば可能な限りどんな作風でもおつくり致します。
⑵曲名は委嘱者様にご考案いただきます。お好きな曲名をおつけください。
⑶難易度、編成、曲想、時間、ご相談承ります。小編成~大編成、カンタン~ムズカシイ、無調~胸キュンまで対応致します。
⑷料金はいただきません。無償です。
⑸お渡しはフルスコア・パート譜(pdf)、コンピュータ音源です。メールまたはクラウドにて納付致します。
⑹作曲者へのお気遣いは不要です。無理に交通費を負担して本番にお呼びいただく、練習にお呼びいただくなど、お気になさらないでください。
⑺納付後の質問、訂正などは喜んでお受けいたします。
⑻あらゆる改変、カットなど、自由に認めております。納付後、やりやすくしていただいて構いません。

☆委嘱の3条件☆
必ず初演されること。具体的な日時、楽団が決まっていることを前提にします。
⑵場合によっては早くできるかもしれませんが、基本数か月のお時間をいただきます。
⑶初演後の著作権は、管理人にあります。

まずはメールにてご相談ください。
the_wind_symphony@yahoo.co.jp

<これまでの依頼>

ファンファーレ「スカイフォニカ」(2019)
(鹿児島)薩摩川内市立川内北中学校吹奏楽部 委嘱作品

Fragrant Olive(2020)
(福岡)KOTAKE MUSIC CAMPANY 委嘱作品

バスクラリネット・コンチェルティーノ『ミントグリーン・フィールズ』(2020)
Ⅰ.desire Ⅱ.dream
※吹奏楽伴奏版も同時製作。
(静岡)バスクラリネット奏者 杉本 能 氏 委嘱作品

スネアドラムによる室内楽作品(仮題)
※鋭意作曲中!
コメント

【作曲】水山想古譚-吹奏楽のために

2020-12-12 06:39:45 | 作曲作品
https://www.youtube.com/watch?v=yufpE6Xerwc

曲名  :水山想古譚-吹奏楽のために
様式  :作曲(吹奏楽フル編成)
演奏時間:8分30秒
グレード:★★★★☆
特殊楽器:締太鼓・中太鼓・神楽鈴・当り鉦・手平鉦・鈴(りん)・拍子木
備考  :湯谷温泉吹奏楽作曲コンクールのために作曲。

上記公募のために作曲しました。もともと1度和風の曲を書いてみたい、と思っていたところに、この公募を知り、ちょうどいい機会だなと感じた次第です。知っていたとはいえ、本業があまりにも多忙で短期集中作曲となりましたが、締め切りギリギリで終始線を引くことができ、とりあえず安堵、の一言です。

「川本町を題材に」ということで、石見神楽を軸に、複数の日本音階を用い、小節番号121で提示される旋律を展開して、急-緩-急で作曲致しました。神楽やご当地田植え囃子、今も息づく江川太鼓のパフォーマンスを入れて演奏する「吹奏楽合奏+演舞」の上演を想定し、中高生でも演奏でき、いかなる大きさの編成でも演奏効果の損なわれないスコアリング、そしてコンクール自由曲として機能しうる作品を心掛けました。何より1番の思い、管理人だけの裏テーマとして、「00年代以前の邦人作品への回帰」を意識しています。(2020.10.31)

<追記>湯谷温泉吹奏楽作曲コンクールで第1位グランプリをいただきました。身に余る光栄と、一切予期していなかった驚きに、感謝致します。(202012.12)

コメント

Review8《アトランティス》(樽屋雅徳)

2020-07-25 21:46:30 | 新・楽曲Review
曲名:アトランティス
作曲者:樽屋雅徳
時間:8分20秒
出版社:CAFUA
参考音源:アトランティス(CAFUA)

レビューもたまには新作、かつ、話題の作品でもと思い今回はこれを選びました。昨日買ったばかりのCDです。常に話題となる樽屋作品ですが、管理人は樽屋作品は嫌いではありません。いや、素直に好きというべきでしょうか。世間でよくいろいろ言われますが、これだけの支持を受けるのは事実。樽屋作品の魅力とは何でしょうか。

今回レビューに取り上げる“アトランティス”はいわゆる樽屋作品の「テンプレート」を外すことなく、期待通りの作品です。しかしながら“マゼランの未知なる大陸への挑戦”や“民衆を導く自由の女神”などの初期の作品から比べるとかなり「新しい試み」が多くなされています。

序奏は大洪水の予兆である雨が降り始める情景からスタート。樽屋作品によくある鍵盤楽器の断片的なフレーズの上に管楽器が重なり、煌くような響きから始まります。そしてすぐに樽屋節全開のコラールが重厚に鳴り響きますが、長くは続きません。明るい不協和音の上に打楽器が踊りだしたかと思うと、すぐさまに快速部へ入り、大洪水が描写されます。この快速部は今までの樽屋作品とは一味違いますね。ポップス的なシンコペーションを多用し、ビート感溢れるライドシンバルが洒落た雰囲気を出します、どことなくゴーブの“アウェイデー”を思い起こさせる感じです。大洪水が去ったあとはお約束、いつもの樽屋コラールが4分間に渡って築き上げられます。この展開は“トビアスの家を去る大天使ラファエル”に近いですね。終了直前に鍵盤楽器による断片が再び現れたかと思うと快速部のテーマが少しだけ顔を出します。しかし長くは続かず、クライマックスを迎えた樽屋コラールが全面に現れ、感動のフィナーレを迎えます。作品の方向性自体は従来どおりですが、ややポップス的な部分があったり、使われる和音が少し前衛的な和音だったりします。管理人は好きです。

余談ですが同ディスクに収録されている“カタリナの神秘の結婚”もいつもの樽屋節全開です。樽屋作品に樽屋節を期待している方は買って損はないですよ。(2008.6.29)

~あれから12年~

いまだに邦人作品の第一線、何なら楽譜の売上高で言えばトップ5に入るぐらいではないでしょうか。すごいものです。いやもう、本当にすごい。一過性のものにならなかったのは作曲者の努力と研鑽の賜物。現在は全国大会にも普通に現れるようになりました。演奏会もコンクールも、バンドの大小を問わず、日本全体に浸透したのは作曲家冥利に尽きるものと思います。

よくテンプレート作曲家として挙げられますが、いろいろ聴いてみると、時の流れの節々で「ガチ」で書いている節があります。“ラザロの復活”、“白磁の月の輝宮夜”、“眠るヴィシュヌの木”、最近では“November19”など、新しい方向性を模索し、常に考えているように感じられます。すごいですね、人間はなかなかそうはならないものです。

樽屋作品でいいアイデアだなあと思うのはいくつかあります。ひとつはティンパニはとてつもなく低いこと。平気で下のDとか出てきますもんね。この辺りはティンパニの音程が定まらないと思いますが、いわゆる映画音楽的な…クラウス・バデルトのシンセサイザーがギュイギュイいうような、ああいったサウンドを志向しているのだろうと思います。そしてその思惑は見事に成功している。R.W.スミスが打楽器を擬音楽器としてかなり頻繁に使っていた時代がありましたが、それとはまた別なる「打楽器の効果音的使用」の例ですね。

次に横のつながりを無視した不協和音の使い方。これは同年代の作曲家のほかもそうですが、いわゆる和声的には必然性のない不協和音が多く見受けられます。ものすごくザクっといえば、とりあえず短2度で当てる、など。たとえば“マードックからの最後の手紙”で、2回目のアップテンポに入る直前、木管群はA♭の和音を鳴らしています。アップテンポに入ると調性はC-Minorですし、その直前はE♭‐Majorっぽい挙動をするので、このA♭はサブドミナントとして機能するかと思います…たぶん。とするならば、トランペットの3rdがもっているEの音は何やねん、というツッコミが入ります。前後の調性に関係のない音で、機能上A♭が持つことのできない音、理論上は出所がよく分からない音になると思います。で、おそらくは続くアップテンポでE♭にD、GにA♭を当てているので、構成音に対して短2度、ということで、第5音に対して短2度という意味でのE♭に対するEだと思われます。しかしながら、調性上導きだしにくい音を鳴らしているため、ここだけ何だか調性感のない音が響きます。こういった手法は清水大輔や八木澤教司もよく使っています。シンプルな非和声音ですが、緊張感の出る効果抜群な手法です。

ちなみにこのEの音、たとえば6音のFからE♭に向かう経過音…という考えもなくはないのですが、Fがないんですよね。あったらなあ。あと半音で当てるならDでもよかったんじゃないか、とも思います。DだとA♭から導けるし。ところがそれだと続くアップテンポでオクターヴを超えた跳躍になってしまう。それならトランペット3rdをトロンボーンと同じ音域にすればDでも…そうするとアップテンポ以降のメロディがトランペット3rdだけ低すぎて吹けないことになる。何よりも構成音を変えると響きは自然になりますが、アップテンポ以降のホルンの不協和音の合理的説明がつかなくなる…。うーん、八方ふさがりか、ええい!ままよ!!…という苦肉の策だったのではないかと思っています。たった1音ですが、作曲者の苦心がうかがえるような気がします。…まあ、これらのすべては管理人の妄想なので、間違っていたらすみません。

最後はもちろん、グイグイ歌わせるメロディ。いやもうこれはいいんですよ。いい、すごくいいです。誰が何と言おうと胸キュンです。胸キュンは、書けない人には絶対に書けないのです。書けるだけですごいです。胸キュンメロディが書けるのは、それはもうすごい力。圧倒的パワー!しかも狭い音域をあらゆる楽器が入り乱れる入り乱れる!でも何だか全部上手いこと吹けば聴こえちゃう!これも1つの武器なんだなあと思います。

時代を超えて愛される樽屋作品。何やかんやであと数十年は生き残っているかもしれませんね。(2020.7.25)
コメント

【小噺7】影響を受けた邦人作品。

2020-07-19 11:30:29 | 吹奏楽小噺
作曲だけではなく、吹奏楽全般に関して印象に残っている邦人作品はもちろん数多くありますが、中でも特に印象深い作品を5つ挙げるとするならば…そんな話です。ちなみにこの5選は時の移ろいとともに変わっていくのですが、最近はあんまり変わらなくなってきました。年、というものでしょうか。

吹奏楽のための小狂詩曲(大栗裕/1966年)
管理人の中で、もっとも好きな作品。1966年作曲という、吹奏楽邦人オリジナルの原点にして頂点。これを超える作品は、おそらく死ぬまで現れないでしょう。まあ、中学2年生で演奏した思い出補正もあるでしょうが、それでもこの作品の普遍的価値に疑義を呈する方はおられますまい。簡潔にして明瞭、個性的にして普遍的、容易にして深淵…芸術性と通俗性の両立を完璧に成し遂げている作品です。オーケストレーションがこんなにも薄いのに、なぜこんなにも豊かな響きが鳴るのか。和風ではないのに和風、旋法や五音音階をそのまま使っているのにチープにならず、闇夜の中から祭囃子が聴こえてくるかのような凛とした佇まい…完璧です。完璧なのです、この作品は。管理人にとって神の頂、雲の上の存在であり、心の師匠であります。

南の空のトーテムポールⅡ“リラ”(田中賢/1986年、1991年)
猛烈な個性の主張の中に織り交ざる、吹奏楽たる普遍の響きを感じ取ることができる作品。小狂詩曲もそうですが、この作品にしても、おそらくもっと複雑で芸術的な完成度の高い作品はほかにもあることでしょう。ですが、この作品に似た作品はどこにもない。曲名と内容が見事に合致し、旋法とミニマル、それまでに作曲者が培ってきた泥臭い現代音楽の粘り、そして世界のどこにでもある打楽器とともにトランスしてゆく自然への畏敬…それらが見事なコントラストを演出します。

巫楽-管楽器と打楽器のためのヘテロフォニー(西村朗/1990年、1994年)
おそらく現代吹奏楽邦人オリジナルの最高峰を挙げろ、と言われてもっとも得票数が多い(と管理人は思っている)作品でしょう。この響きは弦楽器では表現できないのです。吹奏楽でしかなしえない、そしてアジア人でしかなしえない、人間の歴史の中で根源ともいえるような自然との会話への希求、神への畏敬…見事な密度で表現しきっている作品です。緊張感の持続が半端ではなく、すべて聴ききるのにすさまじい体力を要求されます。

波の穂(長生淳/2000年)
初めて聴いたときは衝撃を受けました。ここまでの叙情性を吹奏楽で表現できるのか、と。最近の長生淳と比べて、この頃はまだ音の数が多くありません。最後らへんの讃歌の部分、特にトランペットがGから下降してくるクライマックスは涙なくして語れません。1小節当たりの音楽がもつ密度の濃さ、駆け抜ける音符の連なり、それでいて明瞭な旋律性、混然一体となるカタルシスはえも言われぬ感動を呼び起こします。

神秘の花-ギュスターヴ・モローに寄せて(八木澤教司/2006年)
…え、最後コレ?って思いますよね、きっと。ええ、コレです。管理人が理想とする作品の「方向性」を体現してくれている作品です。もっとも、この作品ももっともっと書きようはあったようにも思います。ですが、作品全体の更正や目指した方向は、おそらく多くの吹奏楽愛好家が心に秘めている「求めている作品」に、もっとも近い存在だと思います。ヤマハ吹奏楽団浜松の委嘱を受けたこの作曲家の気持ちは相当高ぶったはずです。書きたいものをすべて入れ込んだ…それがたとえ未完成な部分があったとしても、十二分に管理人には感動がありました。後半、チェレスタに導かれて出てくる旋律は、この作曲家の世界的成功を十分予見していたはずです。
コメント

Review7《ダンスリーズ》 (K.ヘスケッス)

2020-07-12 10:17:29 | 新・楽曲Review
曲名:ダンスリーズ
   Ⅰ.汝がもとに憩わせたまえ Ⅱ.鶉捕り 
   Ⅲ.貴婦人の安息 Ⅳ.クオドリングの歓び
原題:DANCERIES
   Lull me beyond thee~Catching of Quails~
   My Lady`s Rest~Quodling`s Delight
作曲者:ケネス・ヘスケッス(Kenneth HESKETH)
時間:Ⅰ.3分25秒 Ⅱ.2分00秒 
   Ⅲ.5分20秒 Ⅳ.4分30秒
参考音源:「戦士たち」想像上のバレエ音楽(CAFUA)

K.ヘスケッスと言えば、日本において“マスク”が比較的有名ですが、まだまだメジャーとは言えないでしょう。管理人もそこまで言うほどこの作曲家に詳しくないのですが、少なくとも管理人の知る曲は全て佳作ばかりです。今後さらなる注目が期待される作曲家には違いないでしょう。

さて本作“ダンスリーズ”はイギリスの伝承曲や民謡による舞曲集を素材として、自由に構成・発展させた組曲だそうです。有名な楽曲は使われていませんが、聴けばイギリス風味の伝承曲というイメージは鮮明です。しかし、極めて色彩的かつ技巧的に構成されており、単なる舞曲集ではない、全く新しい「創造」であることは間違いありません。各楽章においてヘスケッスの独特な手法が生かされつつも、まったく違った表情を見せる非常に豊かな楽曲です。

Ⅰ.汝がもとに憩わせたまえ
“ロビンの気まぐれ”という舟歌を基に構成されています。付点四分音符を核とした優しく繊細な楽章です。とにかくどこまでも透明感のあるきらきらとした響きが素晴らしい。参考音源に挙げたCDの解説にも書かれていますが、水に光が淡く散る、そんな情景が鮮明に浮かび上がる楽章です。

Ⅱ.鶉捕り
スケルツォ的な楽章。やはり付点四分音符を核としますが、テンポが速め、非常にリズミカルです。とにかくシンコペーションのとり方が絶妙で、なんとも言えない高揚感とともに駆け抜けていく楽章です。しかし単なるリズムを主体に置いた楽章ではなく、やはりヘスケッスらしい独特の透明感あるサウンドが楽しめます。

Ⅲ.貴婦人の安息
やや哀しみを伴った穏やかなパヴァーヌ。バッハを髣髴させる古典的な響きやエスニックな響きなどが交錯し、何とも不思議なサウンドが楽しめます。それでいて旋律がとても儚げで、優しさと哀しさが相対するようで、交わるようで…。印象的なパヴァーヌです。

Ⅳ.クオドリングの歓び
アタッカで続けられる終楽章は快速で非常に技巧的楽章。シンコペーションが多用され、まさに「ダンス」な楽章です。しかし、音量で攻めると言うよりは“マスク”のようなスリリングさとこれまでの緩やかさが融合したような音楽であり、どこかこうトッカータというよりはスケルツォに近い音楽です。

あまり上手い解説ではありませんが、とにかく透明感とシンコペーションの面白さが楽しめる佳作です。ヴァンデルローストやチェザリーニの民謡組曲をさらに技巧的かつ色彩的に発展させたような部分もあり、その傾向の作品が好きな方にはたまらない作品でしょう。ぜひご一聴ください。(2008.6.21)

~あれから12年~

セットⅡも出版されました。…いや、当時からあったのか?ヘスケスも結局言うほど日本では流行りませんでした。時代の流れといいますか、邦人作品一色の現代日本ではなかなかコンクールでは演奏されにくい気もします。かといって、自由度の高い演奏会などでも、なかなか見かけないですね。久しぶりに聴き直しましたが、和声感がとても日本人好みで、聴けばうっとりできるタイプの曲であり、それでいて燃える要素もあって、芸術的なスタンスと通俗的なスタンスが両立された素晴らしい作品だと感じます。セット2はセット1よりも少しカタめの音楽。たぶん一般的にウケがいいのはセット1の方でしょう。

民謡を素材とした作品は世界中にありますし、特別吹奏楽に限った話でもありません。多くの場合、機能和声から解き放たれて旋律を描くことができるので、作曲家にとっても自由度が高いように思います。そう考えると、機能和声を無視して自由に(極論すればテキトーに)歌い上げたい、という欲求は、人類の根源的な欲求なのかもしれません。たとえばⅠ⇒Ⅶ♭⇒Ⅰというコード進行があった場合、これを機能和声ではⅦ♭を近親調からの借用によるドミナントとして考えるわけですが、そんなめんどくさいことを考えなくても「なんかすっげー気持ちいい」わけです。そこに理由はないのですね。そして機能和声としてⅦ♭を近親調からの借用によるドミナントとして考えた場合、厄介なのが低音がC⇒B♭⇒Cと動かしたとして、内声でG⇒F⇒Gと動かすと、「アカーン!(宮川大輔風)」とか言われるわけです。スーパーウルトラ連続5度ですね。でもね、連続5度ってカッコイイのですよ。なんだったらずーっと連続5度でもいいぐらいの麻薬的音響!大昔の人が連続5度を禁止したのは、もちろん不自然に聴こえるとかどうとかもあるのでしょうが、ジャンクフード的な中毒性の危険も察知してのこと、だったのではないかと思います。だってカッコイイんだもの。逆にそれならば「ひゃっはー!俺はジャンクフードを作曲をしているんだぜ!濃い味付けサイコー!不自然な響きサイコー!」と開き直れば、ずーっと連続5度でもいいわけです。それが許されるのが、「民謡を素材とする」という言い訳なのではないでしょうか。民謡を素材とすれば連続・空虚なんだってあり!まあフランス和声はむしろそんなのばっかりですけれども、フランス和声はあれはあれでシャレオツを目指しすぎて逆にしんどいので、もっと原始的なものがいいな、なんて思っていたりします。

「民謡を素材」…禁則をゴリゴリ使うためのサイコーの言い訳ですよね。でもね、それでいいんですよ。だってアドレナリンをドバつかせたいのなら、やっぱり禁則。もちろん、機能和声もテクニックを駆使すれば、いろんな曲が書けるけれど、やっぱり連続5度・空虚5度には敵わない。あの得も言われぬパンチ力は何にも代え難い力があります。

“ダンスリーズ”はそんな野暮ったい曲ではないのですが、何でみんな民謡を素材とするのがそんなに好きなのかなあ、なんて考えた次第でした。(2020.7.12)
コメント

【小噺6】凡人が独学で作曲をするためのハードル⑷

2020-06-20 11:11:23 | 吹奏楽小噺
前回はノー理論で作曲することは大切、自分の感覚を信じろー!みたいなお話をしました。正統派のきちんとした人が何というかは分かりませんが、ぶっちゃけ感覚だけでも、再生してくれるノーテーションソフトがあれば、まあまあ作れてしまうものです。そういう意味では「脳内再生」はやはり高度な技術だなあと思いますし、現代は「脳内再生」ができなくても書けちゃうんだなあとも思います。

さてノー理論作曲をして、ノー理論なりにいろいろ考えて、浮かんできた疑問を書籍などで解決するというのが管理人のやり方でしたが、それだと実はひとつマズイというか、ムズカシイことがあります。それは「現代の音楽はあまりにも和声でつくられていない曲が多い」ということです。何の例えがいいかは分かりませんが、せっかくなので課題曲を例に出すと、今年(…来年?)の課題曲Ⅱである“龍潭譚”、とってもカッコよくて管理人も大好きなのですが、この曲なんかはそこらへんの書籍の知識でいくとあんまり理解できません。でも和音自体は分かりやすいので、「もしかしてフツーに考えられるのではないか?」と思ってしまいます。こういったフツーの和音で作られているのに、和声で解釈できない曲が吹奏楽の特に邦人作品にはあまりにも多すぎて、「アカン!どういうことか分からへん!…ワテには和声は向いてないんや」ということに陥りやすいのだと思います。というか、管理人はそうでした。その昔、大栗裕を和声で考えようとしたぐらいですから(笑)

ここから“龍潭譚”について、私見を書きますが、解釈の何が正解なのかは作曲者しか分かりえないので、間違えていたらゴメンなさい!ここに書かれていることがすべて間違っている可能性もあるので、そういう意見もあるくらいのものとしてご覧ください。

まず、冒頭の調性はA♭-durの調性がつけられています。そしてこの調性は曲の最後まで一貫されています。途中は全然違うのですが、まあ全曲を支配する、という意味なのでしょう。ところが、鍵盤楽器でDesの音が出てきて、アルトサクソフォンの旋律がCから始まる旋律を奏でます。どっちが主なのか、ですが旋律の音運びを見るとCが主体だろうと思われます。ということは、A♭-durの調性でCの音が主体、ということからフリギア旋法であることが考えられます。ところが、部分的にフリギア旋法の2度の音と6度の音があったりなかったりするので、フリギア旋法なのにニロ抜き音階感が出ます。そうすると教会旋法に日本の音階が混ざったような印象が漂います。この曲の和風のような、そうでないような不思議な感覚はきっとこの辺りにあるのでしょう。

また、Cを主とするフリギア旋法と仮定して、冒頭ではDesが強く押し出されます。これはCに対して短2度であると同時にA♭に対しては4度となります。10小節目は低音がDesですが、臨時記号は登場しないのでここはリディア旋法に感じられます。これはA♭に対して4度上の旋法ですね。ということで10小節目からは旋律を同じものとして旋法が変わっていると思われます。ところで14-15小節目からは今までない旋律が登場しますが、ここは旋法的にフリギア旋法、そして16小節目からは低音がEを持っているのに対しトロンボーンはAに♯がついているのでEのリディア旋法と考えられます。ということで10-15小節目までで旋律と旋法を交互に変えて、16小節目で完全に旋律も旋法も変わる、という仕組みです。これで旋律と旋法が無事に違和感なく提示されました。基本的にフリギアとリディアは曲の最後まで一貫して使用されているように管理人には見えます。ところで25小節目からは全然世界が変わるのですが、その準備を行います。そのため20小節目からは5度堆積という、これまでに暗示されていない旋法と関係ないパターンが入ることで、「トンネルの向こうは不思議の町でした」感が出てきます。

基本的にだいたい上記のパターンで全曲を解釈できますが、25小節目から42小節目まで、ここらへんの半音の動きが何らかの規則性をもとに続くのですが、いろいろ考えたけれども決定打がありません…!フリギアとリディアということで、基本は長音階ですから、①長音階に2つ余計な音を入れている説、②長音階のうちの2つの音が規則的に短2度変位している説、③長音階をベースに短2度の動きはまあ時に半音階なら経過音でOK説…どれですかねえ、あるいはまた別かなぁ。

以上はすべて管理人の拙い独断と偏見ですので、ひとつの意見程度としてさらっと流してください。そのうち、作曲者やもっと詳しい専門家の解説が上がることでしょう。

…閑話休題。こういうことは実はちまたで売られている和声やコード進行の書籍ではほぼほぼ無理だと思います。しかしながら実際問題、多くの吹奏楽の曲では上記のような考え方で作曲されており、こういった作曲の仕方はⅤの和音や減5度がドミナント、という考え方だけでは説明がつかず、ドミナントというものをもっと広くとらえなければなりません。つまり、独学による分析ということで言えば、吹奏楽曲の多くはあまりにもハードルが高すぎるのです。そういう意味では「マーチ」は分析しやすい。なんせ裏打ちと低音を見ればだいたい分かりますし、そもそも和声やコード進行で説明がつかないものは、基本的にマーチには向かないので、だいたい何となくわかる曲ばかりです。どれを読むか、というのも重要ですが、その点では課題曲集は便利ですね。

さて、とっ散らかってしまったのですが、まとめておきます。

目指せ!凡人が独学で作曲!⑷
独学目的での楽曲分析に吹奏楽のオリジナル作品は難しすぎるからオススメしない!
そもそも和声やコード進行に則っていない曲があまりに多いので、分かりにくい!

…今年(来年?)の課題曲に関して言えば、Ⅲは機能和声だけど、読むのはムズカシイですなあ。
コメント