2009年から長野県北部の黒姫にあるアファンの森で生き物調査を始めました。この「森」は雑木林で、1980年代には手入れがされなくなって荒廃していたそうですが、C.W.ニコルさんが買い取って松木さんという地元のおじいさんと適材適木、森林は明るくという方針で管理をしてきたか、たくさんの生き物が「戻って来た」とされています。ただ、そのことは直感的に語られてきたことで、科学的に調べられたわけではありません。私たちが調査を申し出たところ、アファンの森財団はむしろ歓迎ということで、それ以来、毎月のように調査に行っています。
はじめにセンサーカメラで哺乳類の調査をし、カモシカとサルを除けば、本州の中大型哺乳類がひととおりいることがわかり、驚きました。
よく管理された落葉広葉樹林
スギ林においたセンサーカメラ
調査が終わって記念撮影。2011.7.10
H22年度に4年生だった嶋本祐子さんと野口なつ子さんは異なる管理の森林における訪花昆虫を調べて、草地>落葉広葉樹林>人工林の順で少なくなることを示しました。嶋本さんは大学院進学をして、その調査を継続発展させています。
ヒレアザミとスジグロシロチョウ ヒメジョオンとアオハナムグリ
H23年に入室した佐野朝実さんはフクロウの餌としてのネズミを、池田由香さんは糞虫と死体分解昆虫を、やはり3群落の比較で調べています。
ネズミを捕獲するためのシャーマントラップ
糞虫トラップ
昆虫トラップ。この中に寿司粉末を入れ、ネットをかぶせる。
H24年に入室した笹尾美友紀さんはマムシグサの生活史を訪花昆虫に注目して調べています。萩原もえかさんはオニグルミとリス、ネズミの関係に、小森康之君はネズミの比較生態に挑戦しています。
全体の精神はありふれた生きものが森林の管理の中でみせる多様な生き方と、そのつながりをきちんとデータで示したいということです。
ひとつの枝の束の下からこんなにたくさんのクルミがみつかった。2012.4.29
リスやネズミの食べ跡のクルミをもつ加古さん
ネズミに食べられたクルミ
リスに食べられたクルミ
12.5.23
マムシグサの花
マムシグサを計測する笹尾さんと記録を手伝う鈴木さん 2012.6.17