今年の林業機械展は、東京あきる野で開催されました。家から車で1時間かからない距離、日帰りで気軽に行かれます。
林業機械展の楽しみのひとつはハスクバーナのブースで行われる伐木競技(チェーンソー競技)のデモンストレーションです。毎回、同じようなメンバーが同じことをするのですが、いつも何か新しい気づきというか、面白味を感じます。
今回は、あいさつの中でベテランの方(「レジェンド」青森県の秋田さん)たちがコメントした「最初は、ただの競技で、伐倒の実践とはかけ離れたものでしょうという気持ちで取り組み始めました。でも、やっていくうちに、(競技のルールにも厳格に組み込まれている)安全や品質といったことが実際の伐倒現場に通ずるものが大きいと思うようになりました。実際、現場の作業でも常に安全を意識して、意識がだいぶ変わったのを実感しています」という話が印象に残りました。
危険作業をしたいと思ってやる人はいない。怪我をするつもりで作業する人もいない。それでもなぜ安全ルールを守ることができないのか。なぜベテランが大けがをしてしまうのか。コスト(スピード)と品質と安全のバランスのなかで、いつもぎりぎりのところを追及するのがベテランの林業現場作業員の習性です。伐木競技は、安全に厳格なルールを持ちながらスピードと品質を競うものであり、そこには林業現場・林業経営が求める経営要素のバランスを局所的に追求した姿があるのだと思いました。
昨年は香川県の坂出でした。3歳の息子を連れて家族旅行、これはこれで楽しかった※。しかし昨年は強風と寒さで(そのうえチッパーの展示が多くて、風で舞う木くずに目を散々にやられた)ロクに見られなかったのに対し、今年の展示環境は非常によかった。おかげで、ゆっくり見学できました。と言いたいところですが、そこはやはり、4歳男児を連れてでは限界がありますね。ほとんどの時間はノベルティ(重機のミニカーなど)集めに奔走することになりました。
息子は、グラップル、フォワーダ、不整地仕様フォークリフトに乗り、ハーベスタのシミュレータで遊び、あげく古い集材機にも乗って林業機械を制覇していました笑
それでも、ふだんなかなか林業機械を見る機会がない私には、たいへん勉強になりました。(私は林業の経営改善などのお手伝いをさせていただいていますが、私は、ほとんど現場視察には行きません。もちろん、どうしても必要なときは視察させていただきますが、何より現場の安全を優先すれば、余計な視察はなるべく避けたいという気持ちです。現場を見ないことには始まらないとか、現場を見たほうがよりよいお手伝いができるとか、もちろん、そうだと思います。でも現場の人に負担をかけたくない気持ちのほうが強いです。ちょっとの邪魔、ちょっとの呼吸の乱れが、安全に大きく影響するというのを、ふだん夫の様子から感じているためだと思います。)
※去年の林業機械展家族旅行
わざわざオーバーランしまくりの旅程でした。電車→モノレール→飛行機→松山空港→リムジンバス→坊ちゃん列車→道後温泉→路面電車→ロープウェイ⇔松山城→アンパンマン列車→タクシー→坂出で「ベッドがある」ホテル→"山のおしごとの重機のお祭り"林業機械展→寝台特急と、3歳児にも43~8歳児にも大興奮の旅程。それに比べたら、ちょっとドライブで行かれてしまう今年の機械展はイベント性に欠くものではありました。