司法修習備忘録

多忙な司法修習にめげず、最低月1回、メモを残そうと思います。

二回試験受験心得

2016年11月27日 | 日記
0 注意書き
 タイトルの通り、「司法修習生考試応試心得」ではない。
 「司法修習生考試応試心得」は、こちら。

 なお、受験番号は完全にあいうえお順だが、着席番号はバラバラ。実際、Wさんの隣にはAさんが座っていた。

1 持参すべきもの
 ア 持参しないと受験不可能なもの
 ・「黒の」ボールペンor万年筆or…(要するにインクが消せない筆記具)
 イ 人によっては持参しないと受験困難なもの
 ・サインペン、マーカーペン、鉛筆、シャープペンシル、消しゴムなど
 ・メガネ等
 ウ 持参してもOKだったもの
 ・弁当などの食料
 ・蓋つきの飲料
 ・飴など(チョコレートはOKだった。クッキーまで行くとどうだろうか…情報求む!)
 ・ひざかけなど
 ・上着その他衣類
 ・箱ティッシュ

(なお、以下のものは持ってきても使えない)
 ・受験票(後述のとおり、カバンにしまえ、と言われる。)
 ・六法(貸与されるもの以外使用不可)
 ・付箋(貸与されるもの以外使用不可)
 ・財布(自動販売機も使用不可)
 ・印鑑(使用する機会がない。なお、集合修習とは実施主体が異なるので、登庁簿に押印するという旧態依然とした行為も不要。)

2 物資の調達
 着席時刻以降、修習生は試験場である教室とトイレ以外のおよそありとあらゆる場所に立ち入れなくなる。
 そのため、朝、教室に入る前に、真っ先に行わなければならないのが、物資の調達である。
 ア 売店
  売店は試験日の朝も開いている。9:30頃だと、まだ食料も飲料もそれなりに残っていた。
 イ 弁当の引き換え
  これを忘れる人が相当数いるらしい。
  ちなみに、弁当の引き換えについては、こちらを参照。
(リンク張り忘れに備えて一応説明しておくと、試験期間中でも、ふだん弁当を売りにきている業者だけは、研修所内の立ち入りが認められている。ただし、販売行為が許されていないのかなんだか知らないが、事前(試験期間の2週前)に弁当の引換券を販売し、試験当日の朝に引き換えてもらう、という方式をとっている。2016年は、11月7日から11日にかけてが引換券の購入期間だった。)
  引き換え場所は、業者によって2か所に分かれる。「第一食堂の前」か「売店付近の廊下(?)」。場所は引換券に書いてある。

3 試験場への移動
  試験当日は、西館の階段を除き、ありとあらゆる場所が封鎖されている。
  (物理的には立札が置いてあるだけでスッカスカなのだが、周囲に必ず係員が配置されており、(失格という制裁が伴う点で)この封鎖を突破することは不可能。)
  他の棟の階段も一部使えたりするのだが、肝心要の西館へのゲートがことごとく封鎖されている。
  特に初日は、他の棟の階段を使って上まで登ったのに、また1階まで降りて、西館に移動し、また昇りなおし、という徒労が繰り広げられていた。

4 着席時刻
  応試心得にも書いてあるが、9時45分である。
  この時間を過ぎても、試験場に入ることはできるらしい。
  しかし、(少なくとも当方がいた教室では)全員、着席時刻までに試験場に入っていた。

5 注意事項説明等
 試験場には係官が3名常駐している。
 この人たちは検察事務官だ、と昔どこかで聞いたことがあるようなないような…(結局、ウラは取れず)
 この説明が始まるまでは、「終局処分起案の考え方」などの資料を見ていてもいい。
 個々の説明を開始する時間まできっちり決まっており、構成用紙を配布した後えらく間延びしたのに、答案用紙を配布した際には、すぐにあわてて問題用紙を配布したりするのだ。とっとと全部配って、トイレ休憩の時間でも作ればいいのに、と思ってしまうのはおそらく私だけだろう。
 この段階では、以下のものが配布される。
 ・構成用紙(A4の白い紙)3枚
 ・青と黄色の付箋が各10枚(幅はポストイットと一緒。長さは、ポストイットの倍くらい。)
 ・答案用紙35枚のひとつづり(上のところに「考試用起案用紙」と書いてある以外は、普段の起案用紙と一緒。)
 ・表紙(例の、緑の紙):科目、受験番号、氏名、受験番号、着席番号を記入する。
 ・問題用紙
 ・記録
 【FUCK、もとい、FAQ】
  ・あれ、ひもは?
   勘が鋭いですね!なぜかしらないが、紐は13時30分に配布される。
  ・答案用紙、少なくないか?
   足りなくなったら前方の机まで取りに行ってOK。構成用紙や付箋も同様。

6 試験開始
 ・トイレに行くにも挙手が必要。ただし、係員が気づいた段階で、席を立って移動することはOK(係員が席に来るまで立ってはいけない、とかそういうことはない。)
 ・教室を出たら、トイレまでは自分で行ってOK。ただし、廊下のそこらじゅうに係官がいて、監視している。

7 昼食
 本当に、自分の席以外では飲食不可。

8 起案終了15分前
 係員が、ひものつづりこみ状況をチェックしにくる。つづっていないと、「つづってください!」と大きな声で言われる。それくらい、つづり忘れには容赦ない、ということだ。

9 起案終了後
 17時50分に教室を出られると思ったら大間違い。18時05分くらいまでは事務作業に追われる。
 ・起案済みの答案用紙を教室の左から右へ送っていく
  係員が右端の机で回収し、前方で数とつづりこみの有無を確認する。危なそうなものは実際にひもをつかんでブランブランされる。
 ・記録を送っていく
 ・問題用紙を送っていく
 ・未使用の答案用紙を送っていく
 ・書き込んだ答案用紙その他一切の紙などを送っていく
 ・六法を送っていく
 という作業を延々行う。これが終わるとようやく退室可能となる。
  
  

入寮許可

2016年08月23日 | 日記
0 言い訳

1か月に1回の更新を目指していたのに、気がついたら8カ月も経っていた。
無理もない。
私は、見る人が見れば私を十分に特定できるような文言を、自覚もないままに並べすぎていた。
導入修習が終わることにそのことに気づき、自ら戦慄として、更新をやめてしまった。
しばらく更新しなければ、誰も見なくなるだろう、と思ったのだ。
果たして閲覧数が激減していった。
やれやれ、これで一安心である。
特に、国民の血税を使って(ここ重要!)、自分たちの苛烈な所業が外部に流出しないよう見張っている司法研修所の連中の目をかいくぐったであろうことは大きい。

さて、本題に戻る。

1 入寮許可通知書が届きました
8月下旬になると、B班の修習生のうち入寮希望者に対して、入寮の許否が通知される。
B班の修習生は基本的に東京に拠点がないので、よほどの事情がない限り、許可される。
【よほどの事情】:要するに、東京近郊に拠点があるということ
・東京近郊に実家があり、導入修習では実家から通勤していた
・結婚し、配偶者が東京近郊に暮らしている
(個人的な感覚だが、司法試験合格後に結婚するようなケースは、容赦なく地方に飛ばされるようだ)

ということで、その通知書が、こちら。





2 入寮までの流れ
8月末:寮費27000円を振込
9月末:荷物搬出(修習地に帰ってこない修習生はここで居所を引き払う)
10月1日:荷物到達(司法研修所の職員が寮の部屋まで引き上げるらしい)
10月3日:入寮手続
     入室
     部屋の中を整理
10月4日:集合修習開始


検察修習 1日目

2016年06月21日 | 日記
1 登庁時刻
  9:00。
  ただし、5分前登庁である。
  よって、8:55までには登庁しなければならない。
  私が8:55に登庁すると、すでに他の修習生と事務官が揃っていた!
  すごく早起きなんだなあ、と私は彼らに尊敬の念を抱いた。
  (まったく権力におもねるのが大好きなんだな、と軽蔑のまなざしで彼らを一瞥した、なんてことはゼッタイ、ゼーッタイ無いですから!)

2 司法修習生室へようこそ
  私が名前を告げると、「では行きましょうか」と事務官が発し、我々はこれに付いていった。
  そのまま牢屋にでもぶち込まれて「今日は皆さんに、ちょっと殺し合いをしてもらいまーす!」とか言われたら面白いなあ、などと思ったが(映画の見過ぎ)、連れてこられたのは、司法修習生室というけっこう広い部屋だった。
  修習生の人数分の机と、その上にPCが備え付けてある。机は普通の事務机だから(客観)、結構大きい(主観)。おそらく、捜査資料を広げてもPCを使えるように配慮しているのだろう。
  PCにはLANケーブルがつないであり、これで決済メモのひな形などを共用PCから取り込むらしい。
  机上にはファイルが一冊置かれており、日誌の書き方から、決済メモ作成の要領など和光で配布済みのものまで、いろいろと挟んであった。
  ロッカーもあるし、ポットもある。他の配属庁の修習生室(そんなものがあるかどうかも知らないが)の設備も聞いてみたいものだ。
  しかも、ここは裁判所と違って、空調がよく効いている!いや、裁判所の空調が切れていただけなのかもしれない。
  そして、部屋の中にはいくつか仕切り(といっても高さ1.5mくらいだから、声は通るし、上からは丸見え。)で囲われた空間があり、机を挟むようにして椅子が2つ、という構造になっていた。取調べブースというらしい。
  「えーっ、こんなところで取調べするんかいな!プライバシーもへったくれもないな。」
  という声を必死に呑みこんだのは、ここだけの話。
  日弁連は取調べ可視化とか何とか言ってるらしいが、要するにこういうことだろ?
  取調べされる側にしてみれば、相当のストレスに違いない。日弁連のセンセイ方は、自分が修習生だった頃にこういう違和感を持たなかったのだろうか?それとも、もうそんなことはとっくに忘れてしまったのだろうか。いずれにしても、取調べ可視化は、かえって被疑者の人権保護に欠ける、と私は思った。
  というか、取調べ中、他の修習生は同じ部屋で作業してていいのだろうか?
  まあ、その辺もおいおいわかるだろう。
  いずれにしても、検察修習のすべてがこの部屋で完結するようになっている。この部屋が、特別権力関係に組み込まれた私にとってのアジールだ、そう言い聞かせてみた(ブラセボ並)。

3 課長挨拶
  椅子に座って数分間、事務官の説明を聞く。それが終わって数分すると、今度はナントカ課長を名乗る人物が部屋に入ってきた。
  「検察庁は…(中略)…5分前行動を厳守するように!」
  最初の挨拶がこれだ。
  やはりここは軍隊だ。しかも、5分前行動といえば我が帝國海軍の伝統である(海軍では、「乗船遅刻=敵前逃亡=死刑」だった(海軍刑法73条~77条)。だから、寝坊して死刑という最悪の事態を避けるため、5分前行動を徹底していたのである。)から、検察庁は海軍の系譜を引いているんだな、と一人合点を打った。
  遅刻なぞしようものなら、精神注入棒で臀部に気合いを注入されるに違いない。これが「意に反する苦役」(憲法18条)じゃない、というんだから、最高裁の判断なんてあてにならんな。

4 修習開始式
  修習開始式は9:40から始まる。
  私たちは5分前行動なので、9:35には式場にいなければならない。
  ということで、9:33くらいから移動を始める。
  式場という名の会議室に入り、指定された椅子に座り、待つ。
  待っていると、ぞろぞろと人が入ってきて、前の椅子に座っていく。
  なるほど、この人たちは、修習でも給費され、その後もこうやって税金で食ってるのか、ふむふむ。
  9:40、検事正が入場。
  件の事務官が進行を務め、式が始まった。
 (1)検事正挨拶
    検事正というのは、地検のトップらしい。(その程度の知識すら無くても修習生はやっていける、ということを示した)
    意外なことに、2分くらいで終わったので、何を話したかも記憶に残っていない。
 (2)列席者から一人一言
    誰がなんだかさっぱりわからなかった。
 (3)修習生挨拶
    代表して班長からあいさつが行われた。
    私は班長じゃないので、ただ立って礼していればよい。楽ちん♪
 (4)終了
    15分程度で終わった。実のあることは一つもなかった。だったら15分遅らせて9:10登庁でもよかったのでは?と思ったのは、ここだけの話。

5 あいさつ回り
  開始式が終わると、件の事務官とナントカ課長がやってきて、庁内の各部署に挨拶に行くことになった。
  1時間くらいかけて、10か所以上回った気がする。どこがなんだかさっぱりわからないままに、とりあえず挨拶して回る。
  我々は40日も居ないのだから、おそらくこの挨拶以降、一生会わない人というのもいるだろう。そんな人にまであいさつして回るのだ。こんなことに何の意味があるのか知らないが、まあ、彼らにとっては「実に意義深い」行為なのだろう。私は、どこぞの秘境を訪問して、当地の部族の珍妙な祭りに参加したような気分になった。
  しかも、我々の班は、班長が面倒くさい人で、細々した事までわざわざご丁寧に班員に平等に割り振ってくれるものだから、私も一言挨拶しなければならなくなってしまった。実に面倒である。
  
5 指導係検事による講義
  11:00ころから、指導係検事による講義が行われた。
  講義というよりレクチャーに近いものだった。
  一言でいうなら、「自分で悩まず相談に来てくれ」ということだろう。
  (この辺のスタンスは、各検事の個性により差が出るらしく、修習生で知恵を出し合って解決しろ、という人もいるらしい。)

6 昼休み
  12:00-13:00の1時間。
  裁判所に比べて15分長い。
  庁内に食堂のない地方修習では、この15分があるかないかで雲泥の差が出る(顕著な事実)。

7 弁解録取傍聴
  さっそく、指導係検事が弁解録取を行うことになったため、傍聴。
  メモ禁止。ただひたすら見るのは、なかなか眠い。
  それはさておき、被疑者は、録音録画までされた上に、横にはギッシリと修習生が座っている。こんなんではさぞ落ち着かないだろう。
  まあ、●●罪の被疑者になるくらいだから、この程度で落ち着かなくなるなんてこともないか。
  (被疑者のプライバシーに配慮して、罪名は伏せておきました。)
  共犯事例だったので、3人合わせて1時間半くらいかかった。

8 配点
  刑事事件が発生すると、たいていは警察が捜査を行う。
  そして、警察から検察庁に、捜査記録が送付される。
  送付された記録は、次席検事が一瞥し、そこから検察官に回され、検察官が事件処理を進めていくことになる。
  検察官に事件処理を命じることを配点という。
  そして、検察修習では、修習生も配点を受ける。
  といっても、被疑者の身柄を確保していない「在宅事件」ばかりだ。
  つまり、身柄を確保する必要もないような、軽微な事件ばかり、ということだ。
  私にも配点があったが、高齢者の万引き事案ばかりであった。300円とか500円とか、被害者の方には申し訳ないが、あえて語弊を恐れずに言うなら、誠にしょぼい事件である。
  ただ、地方修習なので、そもそも事件処理に当たる検察官の数が少ない。その上、修習生の数も少ない。
  そのため、通常は、大都市修習よりも事件配点数が多くなる。
  東京修習の連中は、今頃、検察起案の練習をみっちりやっているに違いない。
  そう思うと、最高裁に対して無性に腹が立ってきた(今に始まったことではない)。

9 退庁
  17:00が修習生の退庁時刻である。
  記録を読む以外、やることがないので、とっとと帰宅するに限る。
  検察修習は激務と聞いていたが、最初のうちはそれほどでもない、ということがわかった。


弁護修習 1日目

2016年01月06日 | 日記
1 修習開始式
  よりによって、弁護修習での開始式までやるのか、よほど式典好きな人々なんだな、とあきれていたが、後に私はこう思ったことを後悔するのである。

2 開始時刻
  12時であった。
  しかも、遅れてくる先生がちらほら。挙句の果てには会長が「とりあえず12時になったから始めるだけ始めましょう」と言う始末。地方の弁護士は、未だにこういう牧歌的な世界で生きていけるのだ。実にうらやましい限りである(私にしては珍しく、厭味ではない)。

3 食事
  2000円位はするであろう、豪華な弁当であった。弁護修習における開始式とは、会食のことだったのである。もちろん、食事代は弁護士会費から出る。私は「開始式」などというお題目に踊らされたのだ、と自らを激しく戒めた。

4 会長挨拶
  ①時間と秘密は守ること
  ②とにかくいろんな人と会ってあいさつをすること
  ③二回試験に落ちないこと
  言われたことはこれくらいだったと思う。挨拶してる間に飯が食えるな、と思った私が馬鹿であった。弁護士が面白くもない話を延々し始めたら、あっという間に客がいなくなってしまう。やはり弁護修習は学べることが多い。

5 自己紹介
  それが終わると、指導担当と修習生がひとりひとり自己紹介していく。

6 指導担当
  基本的には弁護士歴10年以上の人から選出するようだが、近年は修習生の増加でそうもいっていられなくなり、60期、61期あたりでも普通に指導担当になっているらしい。(というのが地方の実情だが、大都市はどうなんだろうか。四大のサマクラみたいな修習をやってるんだろうか。今度A班の知り合いに聞いてみて、ここに書き足す「かもしれない」。いかんせん、有言不実行なもので…。)

7 終了時刻
  13時くらいであったと記憶している。食べ終わったから解散、ということなのだろう。
  終了後、修習生は指導担当弁護士の先生と一緒に事務所に向かっていった。

8 事務所での活動
  これは各事務所による。私の場合は、検察庁で国選弁護事件の記録を閲覧し、法律相談を1件受け、それで終わりだった。
  忙しい事務所だと、初日から準備書面の起案を命じられるところもあるようで、どうやら私は当たりくじを引いたらしい。


  

分野別実務修習 1日目

2016年01月05日 | 日記
1 登庁時刻
  各配属地によって、まちまちである。8時30分というかわいそうな事例もあるし、裏日本の雪深いところでは10時30分という事例もある。(もし忘れていなければ詳細をUPしたい。)
  大都市に配属されると、弁護修習から始まる人は弁護士会館に集合、とかいうこともあるらしいが、地方でそんなことはありえない。
  全員、裁判所に集合、である。
  裁判所の一番広い部屋に、全ての班の修習生が集結する。これ以後、修習生は各班に散らばるから、こんな機会はもう二度とない、とのことであった。
  (※後日談:そんなことはない。問研起案、一斉起案の数週間後には、裁判教官や検察教官が配属地まで講評しにやってくる。その日の晩は飲み会で、全ての班の修習生が召集対象となる。もちろん、任意参加の形を取っているので、私は「就活(とは何ぞや、ということを考えながら眠りに就く)」を理由にほとんど欠席したが、参加率は8割を超える。また、ほかの修習生メールやらSNSやらで、「●●食べませんか~(絵文字×3)」などというお誘いが何度も何度も何度も来るので、月2回程度は修習生全体で集まっていると思われる。)

2 登庁の儀式
  ここでもお決まりの「押印」が行われる。
  少なくとも裁判所にいる限り、この儀式からは逃れられないらしい。
  押印すると、厚さ2cmくらいの書類が入った封筒を渡される。
  お盆明けに始まる選択型実務修習の関係書類、各種届出書類、果ては省エネの要領なんていう書類まであった。そんな書類を印刷している時点ですでに省エネじゃない気もするのだが、まあ、役所においては「文書印刷及び配布にかかるエネルギーは0として計算する」という理科のテストみたいなルールが存在するから、一応、彼らなりの説明はついているんだろう。

3 裁判所の徹底した省エネ
  そういえば、さっきからずっと思っていたのだが、寒い!寒すぎる!
  これが11月なら
  「ごめんなさいね~、まだ暖房入ってないんですよ~」
  という話にも納得できようが、もう1月である。隣の修習生など、肩を吊り上げているではないか。もちろん、私はコート着用のままである。これでも暖房は入ってるらしい。まったく、冗談はよし子さん。

4 修習開始式
 (1)地裁所長の「おことば」
    分野別実務修習は、まず、地裁所長の20分にもわたるありがたい「おことば」からはじまる。「おことば」の法的性質については、各自ネットで調査されたい。当たり障りのない話が延々続くので、好きな人にとってはたまらない。(ry
    当たり障りのない話とはいっても、今年もまた初日から遅刻した人がいた、とか、時間厳守は社会人として当然のマナー、とか、復習を忘れるな、といったいわゆる「お小言」のオンパレードであり、これまたこういう話が好きな人にとっては、エクスタシーを迎えてしまうこと必至であろう。我々は30分5000円の世界の住人である。こんな話に20分も付き合ってあげたのだから、3000円くらい貰ってもいいと思う。
 (2)事務連絡1
    ありがたい「おことば」のあとは、事務連絡が延々と続く。
    まずは選択型実務修習に関する事務書類を延々解説され、次にセキュリティが云々、と続いていく。
    このセキュリティとやらは、後で痛い目にあったので、他の項で改めて書きたいのだが、どうせ私はそういうことを忘れるだろうから、一応、ここでも書いておく。
    ① 裁判所では、いろいろと起案の課題が出る。この際の起案は、私物のPCで行う。(なお、検察庁の場合、外部に接続できないPCを貸与される。)
    ② 起案は私物のPCで行うが、常に裁判所で貸与される官物USBを差し込み、それにデータを保存する。PCにはデータを保存してはいけない。
    ③ 私物USBの取り扱いに注意、とか書いてるが、そもそも私物USBには修習関連情報を入れられない。
    よって、実質的に、裁判修習中の作業は、裁判所の中でしかできない。サービス残業不可というとうれしい響きだが、劣悪な執務環境下で全ての作業を終えなければならないから、地獄そのものである。
 (3)事務連絡2
    修習生に対する連絡は、班長を通して行うから、班長が誰か教えてくれ、とのこと。
    班長って何だ?と思っていると、
    「まだ班長すら決めていないんですか!」(ヤレヤレ
    という、よにめでたきご感想を賜った。
    ローカルルールの押し付け、ありがとうございますっ!(ドM並)
 (4)事務連絡3
    自転車通勤はOKとのことであった。バイクとか自動車の話が一切出なかったが、おそらく不可なのだろう。隣町から通勤する人がいたら、と思うと背筋が寒くなる。いや、暖房がこんな調子だから、もうすでに背筋は寒いか。
    それから、休む時は欠席届を出すこと、「海外にはどんどん行ってもらって構わないのですが、」行く時は必ず届を出すこと、と言われた。
    さて、これで海外旅行届を出したらどうなるのか、英語NGの私には到底ご縁も無さそうな話ではあるが、一回出して、事務方の反応を見てみたいものだ、と思った。
    (おそらく、難癖付けて不許可にすることは必定であろう。)
 (5)事務連絡4
    休日出勤は、裁判官の許可が出ればOK。
    【後日加筆】
    (とのことであったが、そんな許可はまず出ない。それどころか、夜の帰れコールも結構厳しい。
     それもそのはず、裁判官・検察官には残業代がつかない。だからこそ、彼らは一刻も早く職場から解放されたいのだ。)

5 各配属庁会へ
  11時30頃になって、ようやく各班に分かれての行動となった。
  とはいっても、私にとっては、顔も知らない修習生の集団から、やはり同じく、顔も知らないグループに移し替えられただけだ。特に感慨はない。とはいえ、弁護修習は1人ずつに分断される。もうまもなく、あの、一体感を求める奇妙な空気から解放され、私は自由の身になるのだ。司法試験に合格してよかったな、と実感する。