若手記者コラム 健大高崎が投手王国で今夏の主役へ カギは昨春選抜優勝の立役者・佐藤龍月の投手復帰か
高校球児の時が過ぎるのは早い。春の選抜、県大会が終わり、夏の甲子園予選まであと約1カ月半に迫った。各チームが新戦力を試す春で、今春選抜王者の横浜の公式戦連勝記録が27試合でストップするなど、波乱が起こった今春の関東大会で健大高崎(群馬)が2年ぶり4度目の優勝を果たした。
プロ注目最速158キロ右腕・石垣元気投手(3年)を始め、左腕・下重賢慎投手(3年)など強力投手陣が控える同チームで、最後の1ピースが復活まであと少しとなっている。
昨春の選抜優勝に貢献した左腕・佐藤龍月投手(3年)だ。昨夏も県大会では背番号1を背負い、春夏連続出場を成し遂げたが、悲劇はそのあとすぐに起こった。左肘が悲鳴を上げ、チームを離脱。左肘内側側副靱帯(じんたい)再建術(トミー・ジョン手術)を受け、甲子園ではメンバーから外れた。
やりたい野球ができない期間が続いたが、苦しい時間もプラスに変えた。スタンドで応援してくれる仲間の気持ち、練習や試合で使う道具を運んでくれる裏方の人への感謝、俯瞰して試合を見ることで学べるベンチワーク。今できることを精いっぱいやることで、一皮むけた状態で復活できるように努力を重ねた。
今春選抜や関東大会では外野手として試合に出場。関東大会決勝では、一回に貴重な追加点となる左前2点打を放つなど全打席で出塁し、優勝に大きく貢献した。
試合後、佐藤龍は投手復帰について、「肘もいい状態。夏で投げられるくらいに回復してきているので、焦らずに調整したい」と見通しを語った。1カ月前からブルペン入りし、多い日では立ち投げ10球、捕手を座らせて10球を投げ込む。変化球もスライダーとカットボールを1球ずつ投げるなど、回復は順調で、球速も140キロまで戻った。
佐藤龍と投手陣をともに引っ張ってきた石垣元も、「本当に待ち遠しいというか、楽しみな気持ちしかない」と、投手としてともに戦える日を心待ちにしている。青柳監督も、「夏に向けて野手でも使えるし、投手としても3イニングくらい投げてもらおうと思っている」と期待を寄せる。
高校生活最後の夏。やり残しがないように残りの期間を大切にする。佐藤龍は、「昨年とは全然違う役割になると思う。いろいろな経験をしながら、チームの勝利に貢献できるように頑張っていきたい」と鼻息を荒くする。
石垣元、下重に加え、佐藤龍という実力者が復活を遂げれば強力な投手王国が完成形へと向かう。県内外で立ちはだかる壁は大きいが、それをも打ち崩す力はある。このまま順調に歩みを進み続ければ、健大高崎が夏の甲子園初優勝を果たす可能性も大いにあると考える。
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