こんなニュースが出た。
「政府は23日、上下水道や公共交通、公共施設の管理など国・地方自治体などが独占的に事業を行っている「官製市場」を開放し、民間の参入を進めるため、具体的な要望や規制改革の提案などを広く募集することを決めた」(
共同通信<Yahoo!ニュースへのリンク>)
言うまでもなくポイントは「民間参入を進めるため」に意見・提案を募集すると言うところだ。上下水道や公共交通機関、公共施設などを一緒くたに語ってしまう恐ろしさは言うまでもないが、それ以上に、現在抱えている問題がさも「公共」であるがゆえに起こっていると言ってしまっているのにもひとしい点だ。この記事の最後はこう締めくくられている。
「要望について、
内閣府の
規制改革・民間開放推進室が関係官庁などと調整、規制を撤廃し参入の道を開くよう促す。同推進室は「こんな公共サービスを受注したい」など幅広い要望が寄せられることを期待している」(同上)
上下水道事業にしぼってのみだが、
国際公務労連(PSI)リサーチ・ユニットのデビット・ホールの論文「水を公共の手に(Water in Public Hands)」(
邦訳はこちら)を読んで頂ければ、問題は「民営化していないこと」ではないということは明確に分かる(民営化、とりわけ上下水道の民営化問題に関心がある方は是非一読頂きたい)。
日本の水道事業が多くの負債を抱えていることは、公共事業であるからではない。例えば、先日このブログでも紹介したマレーシアの例もそうだが、福岡の
小石原ダムの建造のように、さまざまな政治的な思惑が絡まり、また市民の事業への積極的な参加を求める体制が整っていないという問題点があるということだ。
来月18日から翌11月17日まで提案募集をする予定だという。そこへは推進室が望む「こんな公共サービスを受注したい」という意見ではなく、もっとよりよく公共で行えるような仕組み作りへの市民の要望を届けていくことが必要だと思われる。