こまきのブログ

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青森市歴史民俗展示館「稽古館」閉鎖について

2006-04-27 20:49:17 | Weblog
青森市歴史民俗展示館「稽古館」が平成18年1月31日に閉館 してからかなりの日にちがたちました。青森市長の閉館に対する公式コメントは以下のとおりです。

「青森市歴史民俗展示館「稽古館」を閉館することについて発表いたします。
 稽古館は、平成10年3月に財団法人「稽古館」から民俗資料を中心とする約14,500点の資料が青森市に寄贈されたことに伴い、郷土文化の振興を図るため、同年7月に青森市歴史民俗展示館「稽古館」として開館し、これまで常設展をはじめ企画展や各種講座等を開催してまいりました。
 しかしながら、稽古館の管理運営にあたりましては、施設の賃借料をはじめとして、年間およそ5,000万円の経費が必要であり、現下の厳しい行財政環境のもと、これまでどおり運営を維持していくことが難しい状況となりましたことから、平成18年1月31日をもって同館を閉館することといたしました。
 なお、貴重な民俗資料等につきましては、散逸や劣化などの防止に留意し、旧市民図書館及び新城庁舎に収蔵・保管するとともに、森林博物館など既存の公共施設において、その一部を展示・公開するなどの、有効な活用方策を検討してまいりたいと考えております。」

 当事者の青森市は、閉館の大きな理由として年間の運営経費が5千万円近くもかかることを上げています。元々、博物館のような文化的施設が閲覧者の入館料収入では維持できないことは常識で、だからこそ公的機関がその運営にかかわっていることが多いといえます。財政難だから閉館しますというのは誰でもできる判断で、それもいきなりの「閉館宣言」で市民の多くは戸惑ったのではないでしょうか。外部からは青森市が閉館に当たってどれだけの苦渋を舐めたかは窺い知れない、というより、全く責任ある立場の人が悩んだような形跡はあまり見られない。

 青森市は明治年間に大火や太平洋戦争時の大空襲などで古い文化遺産の多くを失っています。そのような中、青森市歴史民俗展示館「稽古館」は青森市が運営する市民の文化遺産の宝庫だったのです。それを簡単に閉鎖してしまう「暴挙」には、納税者としては腹立たしくなってきます。時間=歴史はお金では買えないってことを青森市の理事者の方々は知らなかったのでしょうか?財政が好転したからってその間に失われたものは取り返せないのです。

 西欧では、近隣の国々と戦争になると、まず博物館や美術館を徹底的に攻撃するそうです。そこに納められているものが「民族」の精神的バックボーンで、それを破壊することによって復旧への意欲を奪い取ってしまうのが主たる目的だそうです。それだけ彼らにとっては、博物館などの存在意義は大きいということでしょうね。従って、為政者は国民のためにまず、博物館などに収められている遺産の保護を最優先するそうです。

 このようなことからすると、青森市が行った行為は、まさしく、自らの手で市民の文化遺産を葬ったに等しい行為だったと言っても過言ではないでしょう。まだ遅くはないと思います。再開館に向けた努力をお願いします。


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