
オークション評価点がクルマの総合的なコンディションを表すものではないことは、私が常々説明していることです。
なかには「オークション評価点が良いから優良車ですよ。」とうそぶいている業者がいます。
インターネットで検索してみてください。
特にオークション代行店では上記のような説明を必ずしています。
しかし、これは明らかに間違っています。
そもそもオークション評価点と言うのは、「主にクルマの内外装についてのコンディション評価」です。
もっとも主眼とするところは「修復歴車(事故車)がどうかの判定」です。
オークション会場の検査員は、この判定に全エネルギーを傾注しているのです。
何故なら、修復歴でないクルマの評価点が0.5点変わっても、劇的にセリ結果が変わることはありませんが、修復歴車と修復歴無し車では、かなりの違いが生じてくるからです。
(まぁ、修復の程度によってはあまり大差ないセリ値の付き方をする場合がありますが、これには裏があります。それはまた後日・・・)
オークション会場の威信にかけても修復歴の判定は怠れないのです。
クルマの心臓部であるエンジンやミッションという機関系については、評価点にはほとんど加味されません。
厳密に言うと、評価点5点以上のいわゆる「ビカビカのクルマや新古車」については、エンジンの調子が正常であるかどうかは、確認事項に入っていますが、これとて「現状で正常に作動しているかどうか」であって、決してコンディションという分けではないのです。
評価点4.5点以下については、まったく無視です。
添付している画像をご覧ください。某オークション会場の評価点基準ですが、内外装以外の記述はほとんどないことが判ります。これは全国どこのオークション会場でも同様です。
例えば昨日書いた軽自動車のお客様ですが、
このお客様の車を仮にオークションに出品したとします。
エンジンはスラッジまみれの瀕死寸前。
でも、無事故車です。4点は付くでしょう。しかも「ワンオーナー」
一概にワンオーナー車が良いわけではないというのも、私がいつも言うところですが、
どうも世間一般的には誰が吹聴したのか、ワンオーナー車が有難がられます。
オークションでも、堂々とセールスポイントに「ワンオーナー車」と書かれたり、オークションの出品ブロック自体に「ワンオーナーコーナー」があったりします。
でも、本当にワンオーナーが良いのは、そのオーナーが「ちゃんとメンテナンスしていたオーナーである」のが前提でして、ノーメンテナンスのワンオーナー、失礼ですが前述のお客様のようなクルマは、たとえワンオーナー車でも私の前では少なくとも価値はありません。
白煙が出ていても、添加剤を入れて誤魔化して「ワンオーナー4点」なんて評価が付けば、それは高いセリ値がつくでしょう。
何故なら、エンジンの現実の状態は評価点には現れないからです。
私のようにオークション会場でそこまでチェックしていれば当然判ります。
でも、テレビオークションで入札する人には絶対に判りません。気の毒な話です。
いや、もっと怖いのは現車会場に来てても全然ノーチェックで、出品票のデータてだけで買っている業者はいくらでもいます。チェックはしても何食わぬ顔で当たり前の金額で落札していく業者もいます。
何故でしょう?
それは「どうせ素人には判らん」と思っているんでしょうね。
買う消費者もこれには十分に警戒しないといけないのです。
「オークション評価点が4点だから良い車ですよ。」なんて説明を鵜呑みにしてはいけません。
何度も言いますが、「オークション評価点は、けっして車の総合的なコンディションを評価しているわけではない」のです。
実は、私はこの事実を公に確認すべく、オークション検査専門会社の検査を受け、その評価点をつけて、実際にネット販売している大手会社と直接メールでやり取りして、事実を問いただしたことがあります。
そして、その証言内容は私が言った通りなのです。それはまた後日・・・
ただ、語弊のないように言いますが、オークション会場に問題があるわけではありません。現行の制度の中では、このような評価が限界なのです。問題なのは、その仕組みをキチンと消費者に説明することなく取り扱っている業者側にあるのです。
中古車業界はまだまだ嘘や誤魔化しが蔓延しています。
とは言え、正常に健全に経営しておられる会社もちゃんとあるのは確かです。
消費者がいかにしてそこを見極めていくかは実に難しいことではあります。
でも、言えることは「ごく世間一般的な常識と照らし合わせて店を観察」すれば、本当に信頼出来る店かどうか、信頼出来る人かどうかは案外判り易いものです。
さぁ、今日も直球勝負!
