wakuwakuなエトセトラ

出来ればこのブログで、読書の経歴と韓流ドラマの変遷を残しておきたいと思っています。

佐野眞一の 遠い「山びこ」  無着成恭と教え子たちの四十年

2012-08-16 14:03:05 | 読書日記
平成24年8月15日(水)読み終わる。
率直な感想は、人間の運命は人との出会いもあるが、大きな社会的な状況や家庭環境が決めるんだなと感じた。
   


私は以前から、研究校などの授業を見たあとに、これから、この先この子達はどういう大人になっていくのかを興味を持っていた。だが、今の教育はその後の変化への追跡はほとんどしていない。
そんな中、この本があると知り、綴方教育という一世を風靡した教育が果たしてどのように影響を及ぼしているかに興味を持った。

たまたま作文を書かせる教師に出会い、働くことの大切さを訴え、厳しい生活環境の中で一生懸命生きる子どもたちに、自分の生活を見つめるということ、イコール生活を素直に綴らせる。それは大切なことだと思うが、でも、それではやはり食べていけない。食べるためには働かないといけない、どの子もまずは働く。それが当たり前の現実であった。

40年経って一人ひとり訪ねてみて、この山元村から出られないでこの村の発展に尽くした2,3人の人を除いては、どの子も特別な人生を歩んでいるわけではなく、ある程度平凡な生活をしているといえると思う。

そう考えると、やはり先に言ったような、その人の人生は教師によってそんなに変わるわけではなく、それよりももっと影響があるのは、社会情勢や教育環境、そして家庭環境であるといえる。親が自分をどう考えているか、はたまた何を望んでいるかが、大きく左右すると考える。

ここに、この本の中で、気になった言葉を列挙しておく。
「頭のいいものは別にかまわなくてもいい。できないと思われている子に自信をつけ、伸ばしてやるのが本当の教育だ。」

「先生がいたから学校へ行くことが楽しくなったし、やる前に考えろという言葉で、責任をもって行動することの大切さを教えてくれた。私は無着先生に教わったことを含めて、自分の人生に満足しています。」

「経済的に必ずとも豊かとは言えなかったが、精神的にぎすぎすしたところは少しもなく、一様に心のゆとりをもって生きているように感じられた。」

きかんしゃの子供わ  いつも力を合わせて行こう
きかんしゃの子供わ  かげでこそこそしないで行こう
きかんしゃの子供わ  いいことを進んで実行しよう
きかんしゃの子供わ  働くことがいちばんすきになろう
きかんしゃの子供わ  なんでも なぜ? と考える人になろう
きかんしゃの子供わ  いつでも もっといい方法はないか 探そう

親が昼も夜も休まず働いている姿を見て育ったおかげで、私も頑張れる、なんて書いてきやがるんだ。オレも、朝早くから起きて牛の体をゴシゴシ洗っている親父の背中をみて育った。学校の教育なんてそれほどのもんでないよ。一つの道を歩む。そうすれば何事であれ食っていける。それを教えてくれたのは親父だったと思うんだ。」